登録者数30万人超とYou Tubeも人気の自衛隊出身芸人トッカグン小野寺さん。そんな小野寺さんが、初心者にはややハードルが高く、「うまく使いこなせない…」という人も多い“飯盒”の活用法をレクチャー。飯盒を使った簡単でうまい!サバイバル飯を紹介します。
第2回は、寒い季節にうれしい飯盒でつくる「鱈昆布汁」です。(第1回はこちら)
2膳目「鱈昆布汁」
どーもこんにちは!
元自衛隊芸人のトッカグン小野寺耕平です!
「戦場でもコメが食いたい!」という兵士達の声を叶えるために日本軍が開発し、ドイツ軍のメスキットM1893を参考にして明治31年に誕生した機能美溢れる、そら豆型の日本の飯盒。
そら豆型飯盒は——円形よりリュックの中で省スペースで携帯性良し、熱効率が高く角がないので洗浄が容易で使い勝手良し——と、開発の際に当時の日本軍がこだわったポイントが現代のキャンプ事情にもマッチし、今なおアウトドア界隈で愛されています。
そんな飯盒を使用して作る極上サバイバル飯第2弾は、冬キャンプにもってこいの体が温まる料理をご紹介します。
寒いからといってお鍋を作ろうとすると、ついつい欲張って具沢山にしてしまうので1品でお腹がいっぱいになってしまいがち。折角キャンプに来たからにはBBQをしたりして、野外だからできるダイナミックな直火料理で色々食べたいですよね。
他の料理を楽しみつつ、具がゴロッと入った満足感のある汁物で体をホッと温めたい。そんなときはかつて日本軍が作っていた鱈昆布汁だ!
これは『軍隊調理法』という大日本帝国陸軍のレシピ集に記載されているもの。かつての兵士たちも作って食べたというこの料理は、冬の野営で冷えきった体にじんわり染みたに違いない。
材料(1人分)
塩昆布……10g
青菜……60g
鰹節……8g
醤油……10g
水……350cc
作り方
①鱈は1口大に切り、青菜も4〜5cmにザク切りする
②飯盒で水350ccを沸かし、切った鱈と塩昆布を入れる
③鱈に火が通ったら鰹節と醤油を加える
④最後に青菜を入れて煮立ったら完成
鱈のホクッとした感じに鰹と昆布の合わせ出汁が効いて、旨味がすごい!!最後に加えた青菜にはシャキシャキ感も残っていて、ホッコリ温まる鱈昆布汁は日本人の舌に昔から刻み込まれた美味しさです。
兵士たちが野外でサッと調理していたこともあって、作り方が簡単で下準備などの手間がかからないのも魅力的ですね。
実はこの鱈昆布汁、元々のレシピでは塩鱈が使われていました。これは大日本帝国陸軍が実際にこの料理を作っていた当時は保存技術がまだ発達していなかった関係で、ナマモノを手に入れた際は当日食べる分以外は塩漬けにして保存し、次の食事で使うために携行して行軍していたと考えられます。釣りや狩りで食材を現地調達して、手に入れたものを無駄なく全て使い切るための工夫ですね。
前回(第1回)紹介した味噌汁に米の研ぎ汁を使うというのも、限られた水を無駄にせず研ぎ汁に含まれる栄養すら無駄にしないという工夫ですが、この『軍隊調理法』に記載された様々なレシピには随所に「手に入れたものを無駄なく全て使い切る」という意思が見て取れます。
そのため、鱈昆布汁も本来のレシピでは材料が塩鱈と刻み昆布となっていましたが、私の作り方では現代に寄せて塩漬けになっていない鱈の切り身を使う代わりに塩昆布を使っています。鰹節の代わりに煮干粉4gでも美味しくできますよ!持っていった塩昆布で翌朝おにぎりにしても良いですね。
この汁物は色んな魚でアレンジできるので、釣りを楽しむ方は飯盒をバケツ代わりにしてその日の釣果をサイトに持ち帰って作るのも楽しそう。
容量がたっぷり2リットルある兵式飯盒は深さがあり、今回のレシピのように汁物を調理するのにピッタリ。ファミリーで冬キャンプを楽しむ場合も4人分一気に作れます。
ソロキャンプにオススメの戦闘飯盒は容量が半分になりますが、それでも一般的なメスティンより深さがあるので汁物の調理がしやすいのも嬉しいポイント。
皆さんのスタイルに合った使い方で、是非とも飯盒のポテンシャルを最大限引き出してみてください。
本日はこれまで、それじゃーまた!
今回紹介したレシピは、動画でもご覧いただけます。