夕方、外へ出ると西陽が眩しく空が澄み、時より吹く冷たい風が身に染みます。
色づいた紅葉の葉も散り今年も本格的な冬がやってきました。
今年も鹿児島本土ではカサゴの繁殖行動が見られるようになりました。
以前、オス同士の闘争をメインにカサゴの繁殖期について記事を書きました(「冬はカサゴの繁殖期!」)。
今年も海水温が少しずつ下がり鹿児島本土では海水温が21℃ぐらいになるとカサゴたちが慌ただしく動いている姿を見かけるようになりました。
カサゴは魚類の中でも珍しくオスとメスが交接をしメスはオスからもらった精子を体内で受精させ数ヶ月後、仔魚を産出する卵胎生の魚類です。
カサゴの繁殖行動は秋〜冬、日の入り時間前が活発になります。
カサゴの求愛行動
カサゴの繁殖行動が活発になる時間帯に潜水を開始します。
西陽に照らされ海中は明るく、海底へ進むと次第に薄暗くなってきました。
大きな岩が敷き詰められた斜面の海底がうっすら見渡せます。
そこにカサゴの姿が見えました。
カサゴのオスです。観察し後を追ってみると慌ただしく泳ぎ回っていました。
カサゴは昼間、岩の上でジッとしていることが多いですが、
繁殖期のオスは縄張りにいるメスを巡回し泳ぎ回ります。
急いで泳いでいる時は胸びれを閉じて水の抵抗を無くすようにスマートな姿のカサゴです。
泳ぎまわるオスを観察していると、オスは縄張りにいるメスの様子を少し遠くから伺っています。
オスは自分の存在をアピールしながらそっとメスへ近寄ります。
このオスはメスの背びれに顔をのせ、求愛行動をしている様子でした。
「僕のもの!」と言っているかのようです。
オスがメスへ求愛行動をしていると1m程離れたところから別のオスが縄張りに入ってきました。
オスは縄張りに入ってきたオスの方へ俊敏に移動し、倒れるように背を向け背びれを立て大きな口を開けて吠えるように威嚇しました。
威嚇されたオスはその場を静かに去っていきました。
カサゴの交接
オスは縄張りに入ってきたオスを追い払うと、すぐメスのところへ戻ってきました。
メスへ寄り添いながらの左右に胸びれをパタパタ振るわせ、メスを交接へ誘います。
メスがふわっと少し浮上すると共にオスも横並びになり交接し、メスを胸びれで強く抱きかかえます。
精子が漏れ出ないようにするためのようです。
交接を終えたオスは白い小突起のような交接器が見られました。
オスは次のメスの方へ移動し求愛を始めました。
メスは交接を終えると少しずつお腹が大きくなり、数か月後に仔魚を産出します。
冬の夕方の海中では、カサゴたちは慌ただしく動き回り生命を繋ぎ、年明け頃からメスは仔魚を産出します。
今年も力強いカサゴの繁殖行動を観察することできました。
これからの時期カサゴ釣りをされる方は、
もしお腹の大きなメスの個体を釣り上げた時はリリースしてあげてくださいね。
撮影協力: ダイビングショップSB
陸編
年末年始、日の出を見に行かれる方も多いのではないでしょうか。
冷え込む冬の朝は海面で幻想的な毛嵐が見られる時があります。
行かれる際は温かい服装で行かれてくださいね。