一日の中でいちばん、みんなが盛り上がるイベントはハナパアの瞬間です。魚がハンドライン(手釣り)にひっかかったのを見つけた人が”ハナパア!!!”と叫びます。つまり、”魚がかかったぞ”の合図です。フィッシャーマンの手伝いをしているとき、これが聞こえた瞬間に、どこにいても、グローブを引っ掴んで、ハンドラインのとこまで飛んで行きます。そして、ギャフ(魚かぎ)をつかみ、魚がカヌーまでたぐり寄せられたところを狙って、ひっかけます。実際はとても危険なクレアナの一つなので、フィッシャーマン以外の人は絶対にラインを触ってはいけないことになっています。でも釣れた瞬間は最高の気分です! 魚以上に新鮮な食べ物はカヌーの上にはありません。海からの恵みに感謝をし、プレ(お祈り)をしてからみんなで食べます。
釣れるのは、ほとんどが大型の魚で、シーラ、カマス、かつお、マグロ、かじきなどです。不意にトビウオが飛んできて、つかまえることもあります。
魚が釣れないときは、カヌーに積んである食料を食べます。カヌーに乗っている荷物の中で一番場所をとり、重いものが食料と水です。食料は1日分を防水のプラスチックボックスに分けて入れて、だいたい30日分の食料を積んでいます。なるべく両方のハル(船体、ホクレア号もヒキアナリア号も双胴船です)が均等の重さになるように、クオーターマスターとキャプテンの指示で積みます。食事のメニューは6日後にまた1日目のメニューが戻ってきます。始めの6日間は野菜やフルーツなどの食品がありますが、6日間を過ぎると、だいたい缶詰や乾燥食品になっていきます(もちろんのこと、冷蔵庫はありません)。なので、島に着く頃にはほとんどのクルーが新鮮な食材に飢えています。
それでも、陸に着いてから1週間ぐらいすると、カヌーに、海に、戻りたくなってしまいます。しばらくカヌーで生活をしていると、陸での生活と海での生活の違いが目に見えるようになりました。はじめのころは気がつかなかったのですが、港からカヌーが離れる、ロープが手から離れたその瞬間に、クルー全員の”気”が変わります。未知の海へ旅立つからなのでしょうか。陸との世界から完全に離れてしまうので、私たちだけになってしまいます。そうすると、カヌーとクルーの心が近づいて、なんともシンプルな気持ちになるのです。気まぐれな天気に合わせて生きていくには、自分たちも気まぐれに、気ままに生きるしかない。この”気”の変化に気づいてしまってからは、いつもカヌーでの生活を恋しく思います。航海者、船乗りの性なのかもしれません。
(第2回は古代式カヌーで訪れた太平洋の島々についてのレポートです、お楽しみに!)
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