ブラックホールと呼ばれるこの場所は、共有スペースでもあり、食堂でもある(宿から徒歩圏内には飲食店はないので、ごはん付きで予約するのがオススメ)。大きなガラス窓からみえる、ぶわっと迫ってくるような、あおあおとした緑の草原。そのむこうには、先ほどのトド島を見るコトができる。
そんな景色を眺めながらの夕ごはんは島味づくし♪ ニシンの刺身、ハツメの唐揚、ホッケのいずし、カニ! そして、礼文島のウニ。ただ、残念なことに、近頃、ウニの値段が高沸したために、格安の宿では食事に出すコトが難しくなって来ている。星観荘も類に漏れず、今年はウニが出せないのだそう。海水温などの変化によるモノだろうか? ウニが苦手な私が、唯一、自ら嬉々としてくらいついてしまう礼文島のウニ。あの甘く、つるるんとした味わいが恋しい…。「今、礼文島で一番ウニを食べてるのはカモメとカラスだよ」と、彦さん。海辺に打ち上げられたウニを獲り、空から地面に落とし、それを車に踏まして割って食べているのだそう。な、なんたるコト! 日本全国のカラスさんよ、礼文島に行くと高級ウニが食べられるらしいよ。と、言うか人間の分も残しておいてください(切実)! でも、元はと言えば、人間が獲りすぎたコトもウニが減っている原因かもしれないけれど。
晩ごはん後は、各々持ち寄ったお酒やお菓子で、しゃべくりタイム。その中に、礼文島の植物はガイド並に詳しいというゲストさんがいた。明日も花を観に行くと言うので、便乗させてもらうコトに。ガイド並のゲストさんいはく「毎夏、何度も島に通ううちに、自然と花の名前を覚えたんです」と。礼文島は、一度訪れると虜になってしまう媚薬があるようで、このように同シーズンに何度も頻繁に訪れるリピーターは数知れない。私も何気に2回目の訪問だ。そして、いつか真冬の礼文島にも行ってみたいと密かに想い焦がれている。
「港へ行く人は、車に乗って~」翌朝の朝食後、玄関先で彦さんの声。港周辺へ行くメンバーは、娘さんを学校に送迎する彦さんの車に乗せてもらうのだ。島っ子の日常に混ぜてもらう楽しさったら! 旅人には非日常でも、その土地の人にとっては日常というシーンに、私はたまらなくトキメキを覚えてしまう。途中、娘さんの同級生もピックアップし、校門前で彦さんとゲスト全員で「いってらっしゃ~い」と娘さんたちを見送る。毎朝、ゲストさんに囲まれながら通学する気もちって、どんな感じなのだろうか? その後、「今なら、たくさんいるから」と、彦さんが寄り道をしてくれた場所があった。