シンガーソングライター東田トモヒロさんの連載エッセイ、2024年第一弾は昨年のスリランカ旅のお話です。前後編でお届けします!
デビュー20周年を記念したスリランカツアー
いや〜行ってきました、スリランカ。自身のデビュー20周年ツアーの一環って事でね、2023年の大きな山場となる旅でした。そしてそれはね、僕にとって16年ぶり2度目のスリランカへの旅でもあったのです。
そもそもなぜにスリランカでライブをってことになったかという、その経緯をお話ししなければなりませんね。
アニバーサリーイヤーだからといって、よくある様に少し大きめの会場を借りて派手にライブなんてのはなんとなく性に合わないし、他の誰もやらないような面白くて濃いことをやりたいななんて思っていたんです、ぼんやりと。
そんなことを考えていた時、ある東京の友人と昨シーズン「スノーボードとライブ」という企画で一緒になりましてね、群馬のスキー場近くに滞在していたのですが、彼とのふとした会話から今回のアイディアが生まれたのです。その友人はさまざまな事業を幅広く展開している方なのですが、そのうちの一つとして一風変わった旅行会社も運営していらっしゃってね、
友人「日本からお客さんを連れて行って、どこか海外でライブとかどうすか?東田くんデビュー20周年だし」
東田「そうね〜、みんなで波乗りできるところが良いよね〜、スリランカとか」
友人「じゃそれで行きましょう」
とんとん拍子を絵に描いたような展開でしたね、まさに。なんでスリランカって、言っちゃたのかな〜。かつて撮影で行ったきりで、ずっと行けてなかったのと、その友人も含めて他のサーファー達から聞かされるポイント、「ミリッサ」に行ってみたかったからかも、ズバリ。
サーフポイント「ミリッサ」を目指して
かつて訪れた時は、スリランカでもっとも名前の知られたサーフポイント「ヒッカデドゥア」とその周辺でしかサーフィンができなかったので、ぜひその噂に聞く「ミリッサ」に行ってみたかったのですね、僕としては。
成田からの直行便、スリランカ航空のフライトでコロンボ空港まではおおよそ9時間。なかなかのロングフライトなのですが、憧れのミリッサのことを思えば、全然平気です。搭乗口では参加者のうちの約半数の方々と合流しました。その中には気心の知れた友人もいますが、ライブに熱心に足を運んでくださるファンの方や、ファンクラブの方々もいらっしゃいます。
波乗りもセットの旅なので、この際行ってみようかなって方なども加わり、全国各地さまざまな職種の方々が集まってくださいました。基本的に現地集合という大胆なツアーでしたのでね、中には格安の航空券をゲットして、20時間ほどかけて上海経由などで来られる方なんかもいらっしゃいましたよ。
コロンボからはツアー会社が用意してくれた貸切りのマイクロバスに乗り込みます。もう一台のワゴンには、僕も含め参加者それぞれのサーフボードを積み込んで、「東田トモヒロスリランカライブツアー御一行さま」みんなでミリッサへと向かいました。
高速道路を3時間走って、海沿いの一般道をさらに30分ほど走ります。それでもかつてに比べれば、随分と道路状況は進歩したようです。
田舎然とした自然豊かな原風景がそこかしこに残っていますのでね、幹線道路を走っていても目に映る街並みの佇まいはとても素朴で、車窓を眺めているだけでなんだか落ち着きます。
そしていよいよミリッサの街に到着した時は、現地時間で夜の9時をすでに回っていました。長い長い旅路ではありましたが、気持ちのいい海風と常夏の島独特の甘い香りが、旅の疲れを一気に吹き飛ばしてくれます。
日本からこの面白いツアーに参加してくれたのは、現地合流組の方も含めますと、約20名。到着初日のディナーは、砂浜のレストランで潮風を浴びながら。もう「最高」の一言に尽きます。それはおそらくそこにいる誰もが、来てよかったと思えた瞬間だったと記憶しています。
噂に違わず、まさにサーフ天国
僕らが訪れる前は雨季の名残でね、雨降りがちの様子だったらしいのですが、結果的に滞在期間中は運よくほとんど晴天に恵まれました。
そして肝心のミリッサの波、これも見事に当たったようです。胸、肩、頭、時に頭オーバーの豪快なレギュラーブレイクが途切れることなく届けられるではありませんか、しかもほぼ毎日ね。なんて幸せなことでしょう。
僕らのホテルから海までは歩いて2分ほど。朝一番の波チェックは気持ちの良い散歩タイムでしたね、ほんと。普段の暮らしは海から遠く離れていますのでね、この時間が僕にとってはたまりません。
ミリッサの海は風の向きが変わりやすく、必ずしも朝夕の波がいいとは限らないので、慌てる必要はありませんでした。ゆっくりと朝食をとってコーヒーあるいは紅茶、時にはパッションフルーツやマンゴージュースなんかも嗜んだりしてね、朝二番手ぐらいに海へとエントリーする方が優雅です、まさに。
ローカルのサーファーも勿論いますが、基本的にリゾート地なので、強いローカリズムをまとったサーファーは皆無に等しく、彼らはいつも僕らビジターの存在を尊重してくれます。
メインポイントはレギュラーのリーフブレイクで、インサイドに要注意のウニが生息する一帯や岩場があったりするので、どちらかというと中級者以上向きのゾーンといえるでしょう。でありますから、逆にそれほど混んでいないのです。時間帯によっては僕のツアーに参加してくれたメンバーだけが海に入ってるなんてこともあったりしましたもの。海の上が混雑していないところが、僕にとっては波質以上に魅力的に感じられました。
僕はといえば、うん、自分でも唸りが出るほどにいい波に、気持ちよく何度もライドできたと自画自賛しております。
時にインド洋のダイナミックな洗礼とも言うべき、少し恐怖を感じるサイズの波にボードごと絡め取られるような場面もありましたが、大体においてはメロウなファンウェイブを楽しむことができました。レギュラーフッターの方には是非いつかミリッサの波を体験してほしいなと思います。
ライブの熱気は予想外の国際交流へと発展!?
2日目の夜、旅のハイライトとなるライブを行いました。滞在しているホテルのプールサイドのレストランを貸切りにしてね、スリランカカレーのビュッフェとライブはフランクなディナーショウといった趣きです。日本から友人のミュージシャンが二人駆けつけてくれていてね、おかげで思いきりバンドスタイルで演奏を楽しむことが出来ました。
ライブの参加者も、みんなすっかり開放感に満ち満ちている状態からのスタートでしたからね、良い雰囲気にならないはずがありません。それに加えて地元の音響機材は思った以上に程度がよくてね、おかげでライブはコンパクトな人数の割には最終的にかなり盛り上がりました。
そしてライブの熱気が自然と伝播したのか、終演後にレストランのシェフが「私も皆さんのためにスリランカの歌を歌いたい!」と言いだして、スマホの音源を機材から流して、カラオケスタイルで演歌調の歌を歌い始めたりして。思いがけず本格的な国際交流の場として発展したのも嬉しい誤算となり、とても素晴らしい時間が過ごせました。
ライブでツアー参加者同士もすっかり打ち解け合いましたし、翌日のモーニングから、僕らに対するレストランのシェフやスタッフのフレンドリーさにはさらに磨きがかけられて嬉しいことばかり。僕としてはこのような音楽の不思議で温かい作用に、改めて感動することになりました。ミュージシャン冥利に尽きるとはまさしくこのことです。兎にも角にも、僕はすっかりミリッサのことが気に入ってしまいました。
後編へと続く……。
※スリランカレポートは、ツアーに参加してくれた網走在住のカメラマン、Abechan の写真を交えてお届けしました。https://www.instagram.com/the_day_photography?igsh=MWFkbnRsMno3NnhnOA==
今回のアウトドアにおすすめの一曲
砂浜のレストランでビール片手にこの曲で軽く踊りたいです。
東田トモヒロNEWS
サブスクリプションコミュニティTSC(Tomo Surf Club)
シンガーソングライター東田トモヒロとつくる、持続可能な音楽のコミュニティです。
月額制のサブスクリプションで、独自の配信ライブや、インターネットラジオ配信等いくつかのオリジナルコンテンツを用意して、みなさんとコミュニケーションを図っています。ぜひご参加ください。
https://community.camp-fire.jp/projects/view/338326