「東京オートサロン2024」レポート【番外編】
「働くクルマ」を作るプロならではの視点で開発
昨年の東京オートサロンで注目を集めた、キャラバンベースの「Powered Base for Pro」。日産自動車のこだわりが作り上げたこのコンセプトモデルは、キャラバンを使って仕事をする多くの人々の快適さを追求したもの。「仕事に、遊びに。本物のプロが選ぶ日産キャラバン」。このキャッチコピーのとおり、仕事のプロのための快適な空間を提案した1台は、キャラバンを使う『親方と弟子』という2人の設定で、仕事の道具を運ぶためのクルマ、仕事先でオフィスや休憩スペースの役割も果たすクルマとしての快適性や利便性を追求して製作されました。
開発は日産自動車のグローバルアフターセールス商品開発エンジニアリング事業本部で、市販されてもおかしくないほどのクオリティと実用性を兼ね揃えており、市販化の声も大きいコンセプトモデルでした。
自治体などへの配備が望まれる、実用化が期待されるコンセプトモデル
今回の「ディザスター・サポート・モバイルハブ」はモデル名を直訳すると「災害支援移動拠点」。緊急・災害時には支援や救援の拠点にもなる支援車両(Mobile-Hub)をコンセプトに開発されています。もう少し細かく言うと、災害時に自治体の施設などが使えない場合にでもその代役として補える機能を持たせられるよう、指令室や医務室、充電施設といった機能を搭載しています。
見どころは数多いですが、まずは左スライドドアから。ドアは引き出し式に変更されており、収納棚が装備され、そこには2023年9月に発売した「ポータブルバッテリー from LEAF(17万500円)」が6台と30台ものスマホが充電できるチャージボックスを搭載され、充電スポットとして活躍。
リアゲート部分も引き出し式にすることでスペースを拡大し、そこに1部屋設けることで簡易トイレスペースや授乳スペース、着替えスペースなどのマルチルームとして機能。ここは防音仕様なので安心です。荷室にある給水&キッチンユニットは外に出して簡易水道や簡単な調理場所として利用でき、ユニットを下ろすことで荷室部分は医務室や救護室として利用ができる設計。ここには昨年も展示されていた電子調光シェードが装備されています。
ノーマルではセカンドシート部分にあたる車両中央部分は指令室となるべく、テーブルにはPCがセットされており、プリンターやホワイトボードに加え、衛星通信システムのスターリンクも搭載しインターネットによる情報の収集や発信できるようになっています。
この指令室をはじめ、車両には17台もの「ポータブルバッテリー from LEAF」を搭載し、避難時のライフラインをはじめ、さまざまな問題をサポート。昨年の「Powered Base for Pro」もそうでしたが、この「Disaster Support Mobile-Hub」も制作側のつよいこだわりが感じられる作りには脱帽。地震をはじめ災害の多い日本において、この災害支援移動拠点となりえるコンセプトカーがコンセプトにとどまらず、特殊車両などとして実用化されることを切に願いたいと思う1台でした。