ブランドスタートから人と自然に配慮したものづくりを行う「uruotte」とは
「uruotte(うるおって)」は、自然食と石けんシャンプーで育ってきた笹川直子さんが2005年に立ち上げたブランドです。2005年といえば、まだまだ環境に配慮したシャンプーを使おうという人は少数派でした。しかし、家族のアレルギー問題や、関西に住んでいたころ、滋賀県では琵琶湖の水質を守るために有リン合成洗剤の使用が禁止されていることなどを知り、「家族みんなが安心して使える自然派シャンプー」を目指して開発したといいます。
「石けんシャンプーはアルカリ性なので、ごわごわしてしまうんですよね。でも、2000年ごろから使いやすいものがあると知り試してみました。ただ、とても高価だったのとずぼらなので、1本ですむのがいいなあと考えていました。」(笹川さん)
石けんシャンプーの弱点ともいえるごわごわ感を解消するために、リンスやコンディショナーは必須だったようです。それを1本ですむようにと考えたのは、シャンプーのみだと時短になるだけでなく、節水にもなるからです。なんと使用する水や排水を1人当たり1日12リットル、年間約4.4トンも減らせるそうです。また、コンディショナーは、油脂分が多く、シリコンが使用されているものも多いので、それらは下水処理で負担になります。
つまり排水を汚さないことも考えて開発されているのです。もちろん、シャンプー自体も99%が植物由来で生分解性の高い成分で作られています。笹川さんは、自身をずぼらと表現しましたが、かなりのこだわりをもって開発したことが伺えます。オーガニックのホホバオイルや精油を使用し、赤ちゃんが使えるほど低刺激の2 in 1シャンプーは、無香料タイプ1種類からスタートしました。ブランド名の「uruotte」は、アミノ酸シャンプー1本でうるおうことと、「うるおって」という語感から名づけたそう。現在は、香りも楽しみたいというユーザーからの要望に応え、無香料のほか、精油をたっぷり配合したノーブルフラワーやエキゾチックフラワーの香りがあるタイプや、季節限定品も登場しています。
いずれも共通して、契約農家で有機栽培されたオーガニックホホバオイルや黄柏(おうばく)エキスなどのこだわり成分が配合され、シャンプーだけで指通りのよいまとまりやすい髪に導いてくれます。
アートで日常を輝かせてもらいたいとパッケージにもこだわり
よりうるおいたい場合や頭皮ケアのために、アウトバス用の洗い流さないトリートメントやスカルプケアアイテムもラインアップされています。ミニマルで、頭のケアすべてが行なえるだけでなく、2 in 1シャンプーはボディソープとしても使えます。さらに、アートのようにその場に置いておくだけで気分があがるようにと、エルメスのpetit hシリーズのデザインも手掛ける建築家・デザイナー・アーティストの板坂諭さんがパッケージをデザインしています。ボトルにはグラデーション塗装が施され、比べてみるとひとつずつ違いがあります。大量生産品には許されない塗装によるムラも個性として捉えようという多様性へのメッセージが込められています。
キャンプなどに持っていくには250mLのグラデーションボトルが便利ですが、自宅で、家族みんなで使うとなると大容量のポンプタイプがおすすめです。
「uruotte」では、大容量サイズに専用のエコボトルを2006年から採用しています。大容量サイズの場合、プラスチックの削減を考え、詰め替えをしているという人も多いですが、その詰め替え方法はどのようなものでしょうか。ほとんどが、使い終わったボトルに詰め替えパックのシャンプーを注ぐという方法になっています。
筆者は、入れるときに空気に触れるため酸化するのではないかと以前から気になっていました。「uruotte」が採用しているボトルは、中身が空気に触れない構造だけでなく、手も汚れず簡単に詰め替えができるカートリッジ式です。このボトルを採用したのは、ナチュラルなアミノ酸シャンプーが石油由来のシャンプーに比べ雑菌に弱いためです。
「詰め替えるときに空気に触れるのもそうですが、ボトルを洗って、乾かしてから詰め替える人が少ないように感じています。」(笹川さん)
確かに、なくなったと思ったら、底に少し残っていたとしても継ぎ足しのように新たなシャンプーを注ぐことがあります。水で洗ったとしても、乾ききる前に新しいシャンプーを入れてしまうと、水からの雑菌が広がる恐れも。せっかくこだわりのシャンプーを使うなら、安心して使い続けられるタイプがうれしいですね。しかも、一般的な詰め替えよりも、かなり楽ちんです。
ボトルを上下に開けます。
ポンプの先の部分が、レフィルに突き刺しやすいようにとがっています。
レフィルには、特にしるしは付いていませんが、上部のボトルを上からまっすぐかぶせると、レフィルがセットされます。空気に触れず、手も汚れず簡単ですね。もちろん、ボトルは繰り返し使え、プラスチックを最大90%削減しています。(uruotte調べ)
半透明で、中のレフィルが透けて見えるのは、障子越しに眺める景色のようにと、こちらも板坂諭さんのデザインによるもの。どのレフィルが入っているかもわかりやすいですね。空気に触れず、最後までしっかり吸い上げる構造になっています。
30代を過ぎて髪質が変化したり、女性なら妊娠出産で変化したりと、なにかを見直すときに選んだというファンも多い「uruotte」ですが、シャンプーですべてをかなえるのはむずかしいと笹川さんは話します。それでも、長い人生、自分の髪が健康でいられる可能性を広げられるアイテムをとアウトバスのアイテムをプラスする習慣も提案しています。その日の毛先をまとめることだけでなく、頭皮の健康、そして体の健康、さらにゴミを減らすことを意識して、環境への配慮も忘れていません。「自分の健康、そして地球の健康を考えましょう」という笹川さん。ナチュラルなものを選び、プラスチック削減を意識する人も増えていますが、詰め替えるときに、大切な中身にダメージを与えていたかもしれないとなると本末転倒になるかも。自分の健康のためにも、詰め替え方にも意識を向けようと感じました。
uruotte
https://uruotte.com/