5膳目「茶碗蒸し」
どーもこんにちは!
元自衛隊芸人のトッカグン小野寺耕平です!
「戦場でもコメが食いたい!」という兵士達の声を叶えるために日本軍が開発し、ドイツ軍のメスキットM1893を参考にして明治31年に誕生した、機能美溢れるそら豆型の日本の飯盒。
円形より省スペースで携帯性よし、熱効率が高く角がないので洗浄が容易で使い勝手良しと、開発の際に当時の日本軍がこだわったポイントが現代のキャンプ事情にもマッチし、今なおアウトドア界隈で愛されています。
そんな飯盒を使用して作る極上サバイバル飯。炊く、煮る、焼くなど飯盒のさまざまな調理法を紹介してきましたので、第5弾の今回は、蒸してみたいと思います。数ある蒸し料理の中から、みんな大好き茶碗蒸しを作ってみましょう!!
今回、調理器具兼食器として使うのが飯盒なので、料理名としては『飯盒蒸し』が正解かもしれませんが、ややこしいので茶碗蒸しでいきますね。
茶碗蒸しの歴史を少々
さて、茶碗蒸しの歴史。
和食店や寿司屋などでもいただけますし、自宅でも手軽に作れますので、高級なような身近なような、日本人には幅広く馴染みがある料理ですよね。和食の定番で上品な感じがするので、なんとなく貴族が食べているようなイメージで、平安時代くらいまで遡ってもあるんじゃないかと思いましたが、調べてみたら江戸時代に生まれたようです。意外と最近の料理でした。
そしてこの茶碗蒸し、かつて日本軍で提供していた食事にも採用されていました。以前紹介した鱈昆布汁も掲載されている大日本帝国陸軍の『軍隊調理法』という本に掲載されているレシピです。基本的には蒸籠で調理しているので食堂で作っていただろうと思いますが、もしかしたら野営の際には飯盒本体でたっぷり作っていたかもしれません。
ただ、そうなるとお湯用の大鍋が必要になるので、やはり掛子(中蓋)を使っていたと考える方が自然。飯盒って本当に調理器具としても便利で汎用性が高いです。
ということで、今回は掛子を使って1人分の量で作っていきます。
私が使っている兵式飯盒(4合炊きサイズ)よりも、アウトドア好きに人気の戦闘飯盒(2合炊きサイズ)の方が掛子に蒸気が通る穴が空いているのでより蒸し料理に向いていそうです。
キャンプで蒸すと言えば、焼売や肉まん、野菜蒸しなどさまざまなバリエーションがあります。豪快なアウトドア料理が続いて胃もたれしがちなときには、ヘルシーな蒸し料理も並んでいると余計美味しさが染み渡りそう。
かつて、塩分や脂質が強めなメニューで大量の白飯をかき込んでいた帝国陸軍の軍人たちにも、茶碗蒸しはホッとするメニューだったかもしれません。
【材料(1人分)】
卵•••1個
白身魚(又はちくわ、かまぼこ等)•••20g
出汁・・・270g
ゆりね・・・20g
干し椎茸・・・1g(2切れ)
三つ葉・・・適量
醤油、塩、砂糖、味の素・・・少々
蒸すための水・・・分量外
【作り方】
※干し椎茸を戻すには、厚みにもよりますが、半日ほど時間がかかります。キャンプに出掛ける前日にじっくり冷水で戻して食べやすく切っておきましょう!
※うっかり干し椎茸を戻し忘れていた場合、乾燥している状態で細かく砕いて、水に触れる面積を増やすことで時短になります。タンブラーなどに砕いた干し椎茸と冷水を入れて出掛け、キャンプ場への道中の時間を使って戻すようにしましょう。最短1時間ほどで柔らかく戻ります!
①全卵を溶き、出汁を全て入れて醤油、塩、砂糖、味の素を加えて卵液に味付けをする
②掛子に具材を並べ、卵液を8割ほど流し入れて表面に三つ葉を飾る
③飯盒の本体に水を入れ、掛子をセットして蓋を閉める
④弱火で約18分蒸す
これだけで熱々フルッフルで出汁の旨みたっぷりの茶碗蒸しの完成です!
レシピにある3つの備考
現代語訳すると
・茶碗蒸しの中には普通アナゴの素焼き、栗、銀杏、鶏肉、魚肉など色々な材料を使いますが、なるべく消化しやすいものを使いましょう
・材料の中にうどんを混ぜたら『小田巻蒸し(※大阪の郷土料理)』となり、豆腐だけ使うと『金銀蒸し』になり、どちらも軟菜に適しています
・茶碗蒸しの出来栄えは、卵と出汁の比率によるので、一人前の分量を基準として正確にその量を計り、目分量で配合してはいけません
となっています。
原文の「目分量によりて配合すべからず」という強めの記述に炊事兵のこだわりを感じますね。
因みに、元のレシピ通り作ろうと、ゆりねを探しにスーパーを4軒ハシゴしましたが、たまたま正月明けだったこともあり、見つけられませんでした。
好みの具材で簡単にできるので是非皆さんも試してみてください。
本日はこれまで、それじゃーまた!
飯盒を使った様々な料理レシピは、動画(公式チャンネル:トッカグンの東京サバイバル)でもご覧いただけます。