富士山、紅葉、下山後の温泉。すべてそろった充実の2時間コース!
みなさんには「ホームグラウンド」ならぬ「ホームハイキングコース」や「ホーム登山コース」はありますか? 私の場合、日本一時帰国した際にほぼ必ず訪れるコースの一つが、丹沢山系の「表尾根縦走コース」です。
どうも、オーストラリア在住ライターの柳沢有紀夫です。
で、今回はその「表尾根縦走コース」を紹介…ではありません。いや、当初の予定ではそのつもりだったのですが、じつは日本に着いてしばらくしたらぎっくり腰になりまして…。
今回出かけたのは発症のちょうど1週間後。「山中で再発したら困るな~。短いコースで、いざとなったらエスケープルートから簡単に車道に出られるハイキングがいいよな~」と考えたのです。
はい、つまり「自重」です。「賢明な判断」です。…ギックリ腰になった1週間後のハイキングが「自重」で「賢明」なのかは置いておき(笑)。
まずは最初の頂「浅間山」へ
というわけで2023年12月中旬の某日。「表尾根縦走コース」と同じ小田急線の秦野駅で下車する「弘法山公園・吾妻山ハイキングコース」に向かうことにしました。
いわば「代案」というか「妥協案」だったのですが、実際に行ってみたら想像の何百倍も魅力的でした。正直いうと「いやいやいや。わざわざ行きも帰りもバスに乗って、標準コースタイムが7時間以上の表尾根縦走コースに行く必要ある?」とまで思いました。マジで。いや、元気になったらきっと行くんだろうけど(笑)。
では出発です。スタート地点の秦野駅から一般道を歩くこと20分強。「弘法山公園入口」の道標からハイキングコースが始まります。
標準コースタイム2時間10分、歩行距離は7.4キロ。距離的には「表尾根縦走コース」の約半分で、アップダウンも少ないので所要時間は3分の1未満。その名のとおり登山ではなく「ハイキング」コースです。
そして登り始めてすぐに梢の間から見える霊峰富士! このときにふと頭に浮かんだ言葉は「秦野市に移住してえ~」でした。やっぱり大きな山が見える場所はいいですよね。
歩いたのは12月14日。紅葉はほぼ終わっていましたが、ところどころにポツンと残されていて。ふと「小さい秋みつけた!」という気分になります。
ハイキングコースに入って20分弱。最初のピークである浅間山に到着です。読みは「あさまやま」ではなく「せんげんやま」。ちなみにウィキペディア先生によると日本には少なくとも30以上の「浅間山」があり、読みは音読みの「せんげんやま」または「せんげんさん」が主流。訓読みの「あさまやま」は少数派のようです。
山頂は平らでそれなりのスペースがあります。のんびりしようかと思ったけれど、秦野駅から歩き始めてまだ40分。先に進みます。
頭の中では映画「となりのトトロ」のオープニングテーマ曲の「さんぽ」がループ状態に。
360度絶景の「権現山」
そうこうしているに次の頂に到着。浅間山からわずか12分の権現山です。
大きな広場の端に展望台があります。
もちろん上に登っています。
展望台からは360度の景色が楽しめます! ネタばれ気味になってしまいますが、「展望」という意味ではこの権現山が今回のルートで最高でした。「なんで弘法山公園・吾妻山ハイキングコースという名称なのかな? 権現山の名前が入らずに」と思うくらい。
ちょうどいいベンチが空いたのでここでランチにすることにしました。
ここでもふと頭に浮かんだのが「丹沢表尾根縦走コース」との比較。今まで少なくとも10回は登っている塔ノ岳では、登山途中は晴れていても山頂付近はガスっていることが多く、快晴だったことは2回しかありません。
わざわざ高いところに行っても、霧で視界が遮られる可能性があることを考えたら、こと富士山を眺めるという観点からすると、こうした低山ハイキングコースのほうが正解かもしれませんね。もちろん登山には景色以外の魅力もあるのですが…。
「低山ハイキング侮りがたし」。そんな感じです。
錦繡鮮やかな「弘法山」
さて権現山を出発してからも基本的になだらかな稜線歩きが続きます。
権現山からわずか15分足らずで弘法山に到着します。本当にもうメインイベントの連発状態。
吾妻山、そして「下山後温泉」の楽しみ
ちなみにこの弘法山は所要時間的にこのコースのちょうど中間あたり。この先、次の目的地の吾妻山まではちょっと長くて50分弱かかります。
そして吾妻山に到着。
あとは鶴巻温泉駅方面に下るだけ。10分もしないうちに舗装道路にたどり着きます。ただし私が行った冬は落ち葉で多いので、特に足元が濡れているときは滑らないように注意してください。
「鶴巻温泉駅」という名の通り、ここには温泉が出ます。「弘法の里湯」という公共温泉もあります(平日の入館・入場料は2時間まで800円、1日券1000円)。
ちなみに隣の東海大学前駅にも「秦野天然温泉 さざんか」という温浴施設があったのですが、2023年3月に閉店してしまいました。ここの露天風呂からは雄大な丹沢山系が眺められたのに、ちょっと残念。
さてこの「弘法山公園・吾妻山ハイキングコース」、ちょっと登りが増えますが、もちろん逆コースも可能。そうなると「温泉でゴール」とはならず、かつ山から降りた後の一般道を歩く時間が10分近く増えます。ただし中間地点の弘法山から権現山、浅間山とこのコースの最大の見どころ3ヵ所が次々に現れます。
どちらにするかはお好み次第ですが、順光で日が当たる富士山を眺めたいのであれば、午前中あまり遅くならない時間に権現山と浅間山に着いているのがオススメです。今回は昼前に歩き始めたので、次回は朝一で来ようかな?
本当に「低山侮りがたし」と思った今回のハイキングでした。
「弘法山公園・吾妻山ハイキングコース」マップ
https://www.kankou-hadano.org/hadano_hiking/hikingmap_ka.pdf
弘法の里湯
https://www.city.hadano.kanagawa.jp/www/contents/1001000001157/index.html