軽トラックをベースにした「普通車8ナンバー登録(キャンピング車登録)」のキャブコンは今までも存在していましたが、新たにこの市場にキャンピングカービルダーの老舗であるRVランドがニューモデルを投入しました。そこで今回はこの「ポニト」をじっくりと見ていきたいと思います。ベース車両はダイハツ・ハイゼットトラックもしくはトヨタ・ピクシストラックの4WDになります。
軽量化でパワー不足を解消
他メーカーではFRPによるオリジナルシェルを搭載しているのですが、ポニトはシェルのサイド部分にアルミを主とすることで強度と断熱性能を両立させる「ハイドロバックパネル」を採用しているのが大きな特徴。ハイドロバックパネルとはアルミパネルと堅牢なフレームを真空接着するとともに、フレーム間に断熱素材を組み合わせてひとつのシェルとして作るパネル製法のこと。
このハイドロバックパネル製法は、過去にも紹介しましたがハイエースのキャブコンで知られるセキソーボディの十八番。そう、このポニトは企画や家具などの製作はRVランドですが、同社にシェル製作を依頼しています。これにより車両総重量は約1.25トンとFRP製のキャブコンに比べてもかなりの軽量化が計られています。軽自動車をベースにしていることもあり、架装による重量増や荷物や乗車人数など、走行性能でみるとどうしてもパワー不足になる軽キャンピングカーですが、この軽量化によりその負担を軽減しています。
RV LAND「PONITO」全長×全幅×全高:3730×17000×2570mm/乗車定員:5人/就寝定員:2人+子供2人。写真はL字ソファのリビング。暖色LED照明が備わり夜には温かい光で車内を包み込んでくれる。手前側の横座りソファがシートとしても利用できる。
インテリアのほうは室内高が173cmと車内の移動や着替えも楽に行なえて、明るいトーンの家具により開放感もたっぷり。またL字ソファにロングカウンターでリビング&就寝スペースを構成。移動時は横向きのソファ部分に3人乗車ができ、運転席・助手席と合わせて計5人乗車が可能。軽トラックだと2人乗車ですが、これなら家族で旅に出ることもできます。
ロングカウンター(1280×365mm)の中央にシンクを搭載。脱着式テーブルに引き出し収納、エントランス脇に靴が入るスペースも備わる。
横座りソファの下には引き出し式の30Lビルトイン冷蔵庫を搭載。エントランスから飲み物などの出し入れもしやすい。
カウンター奥にはレトロなデザインの電子レンジも標準で装備。
飾り板付きのベンチレーションは車内への換気ができ、夏場のこもった暑さを逃がすのにも有効。LED照明も付属。
キッチンと後方の上部には収納庫が備わり、荷物の整理もしやすい。
横座りソファの上部にはハンガーフックを装備。
就寝はリビングのソファ展開で大人2人、フロントシート上部にあるバンクと呼ばれる空間もベッドスペースになっていて子供2人と計4人が就寝できるようになっています。ウインドウには3面にアクリル二重窓を採用し、採光性や断熱性も本格キャンピングカーと同等。天井のベンチレーションや電子レンジ、ツインサブバッテリーも搭載し快適性能にも不安はなく、納車後すぐに旅に出られる仕様。
ソファの背もたれを通路にセットすればベッドに。サイズは2080×1200mm。
バンク部分には折りたたみ式のバンクベッドを搭載。ここは荷物置きとしても使えるほか、写真のように手前に倒すと1510×1450mmのチャイルドベッドになる。
軽トラ純正のシートだと長時間のドライブで疲労も蓄積されやすいため、レカロシートへ変更。
ソファ下に電装系を集約。1500Wインバーターにサブバッテリー50Ah×2個を装備。サブバッテリーは古川電池製FCR型を採用。鉛タイプだがサイクル回数は4000回と長寿命。
リアには外部扉があり、外から後方ソファ下のスペースにアクセス可能。キャンプチェアやテーブルなどの荷物を出し入れする際に便利。
気になる価格は498万円〜。本日から開催の「ジャパンキャンピングカーショー2024」にも出展される予定(取材時点)。
小さいボディで家族みんなと旅やキャンプに出たいという人は要チェックです。
問)RVランド
大学卒業後、自動車専門誌の編集者として勤務し、その後独立。1999年から2年ほどカリフォルニアに住んでいたこともあり、アウトドアと旅が趣味。ニュージーランドでのキャンピングカー旅が特に好きで南北計4回ほど走破。現在は旅やキャンピングカーを中心にアウトドアやオートバイなどの誌面や動画を製作。愛車は1967年式イノチェンティ・ランブレッタと日産エルグランドをベースに自身で製作した車中泊カー。他誌にて全国のRVパークを巡り、その魅力を紹介中。