第6回は、もしものときに飯盒すら手作りして米を炊く方法です。災害への備え、防災の意識が高まっている今、知っていると安心な、“極上サバイバル飯”です。
6膳目「アルミ飯盒での炊飯」
どーもこんにちは!
元自衛隊芸人のトッカグン小野寺耕平です!
「戦場でもコメが食いたい!」という兵士達の声を叶えるために日本軍が開発し、ドイツ軍のメスキットM1893を参考にして明治31年に誕生した機能美溢れるそら豆型の日本の飯盒。
円形より省スペースで携帯性よし、熱効率が高く角がないので洗浄が容易で使い勝手良しと、開発の際に当時の日本軍がこだわったポイントが現代のキャンプ事情にもマッチし、今なおアウトドア界隈で愛されています。
そんな飯盒を使用して作る極上サバイバル飯第6弾は、もしものときに飯盒すら手作りして米を炊く方法。アルミ飯盒での炊飯です!
手作りと言っても、安心してください。皆さんに鈑金をしてみようと提案しているわけではありません。材料は皆さんのご家庭にもあるアルミホイルです。
飯盒を使った米の炊き方は初回でご紹介していますが、今回ご紹介するのは『サバイバル』に寄った内容。
毎回次のキャンプで試してみようと思って頂ける楽しい記事をお届けしたいのですが、楽しいだけでなく「知っていて良かった」もお届けしたいので、災害への備え、防災の意識が高まっているタイミングで少し私の故郷の話をさせてください。
私は宮城県の南三陸町出身。もしかしたらこれをご覧になっている皆さんの中にも、南三陸町という地名を聞いたことがある方がいらっしゃるかもしれませんが、私の故郷は東日本大震災による津波で甚大な被害を受けた場所です。
実家は津波で流されたのですが、当時1人で実家の敷地内にある職場にいた母は急いで高台に避難しました。そして、インフラが完全にストップした山の上で、同じ場所に避難してきた人達と協力して、雪を溶かして米を炊いて4日間孤立した状態で命を繋ぎました。別の場所では卒塔婆を燃やしてその焚き火で暖をとったことで、低体温症にならずに済んだという話も聞きました。
万が一のことがあった際には、「炊飯器を使わずに米を炊くことができる」「火起こしのメカニズムを理解していて焚き火ができる」という、多くのBE-PAL読者の皆さんが持っているスキルは生き残るための武器になります。
皆さんが持っている多くのギアは災害時に役に立つものばかりですし、普段から楽しくアウトドアの趣味で培ってきた知識やスキルはサバイバル状況になったときに使えるものばかり。
私は米を炊くということにおいて、サバイバルでは結果(=とにかく食うことで生き残る)を重視し、アウトドアでは過程(=炊飯器を使わない炊飯方法を楽しむ)を重視するという違いがあると考えています。
緊急時には「こうでなくてはならない」という考え方は一切捨て、柔軟性をもって選択肢の中からマシな方を選んでください。
さて、前置きが長くなりましたが、早速アルミ飯盒を作って米を炊いてみよう!!
この方法は災害時に限らずとも、キャンプに持ってきた飯盒・クッカー・メスティンなどを別の調理に使うことにして、米を炊くのはアルミ飯盒にする、というように同時調理を叶えて荷物を減らすワザにもなりますよ。
【材料】
アルミホイル・・・適量(本体3枚重ね、蓋1枚)
米・・・計らずとも良し
水・・・米の表面に指を立てたときに第1関節の位置になる量
※米と水の比率が1:1.2という数字だけ覚えて下さい
【作り方】
①アルミホイルを3枚重ね、底が平らで深さのある楕円柱の形になるように成形する
②アルミ飯盒の本体を覆えるサイズの蓋を成形する
③米をアルミ飯盒に入れ、水を加える。サバイバル状況では節水のため研がずに吸水も不要
④弱火〜中火で火にかけ、中でお湯が沸騰するボコボコという音だったものが、ピチピチいう音に変わるまで加熱する
⑤そのときの気温に応じて3分〜10分程度蒸らす
今回、敢えてざっくりした説明にさせて頂いてます。
量や時間を明記することで「こうでなくてはならない」というバイアスがかかってしまいがちなので、サバイバル状況を想定したレシピとして紹介させて頂きました。
方法を知らないより知識がある方が、知識だけあるより、経験もある方が生き残る確率が高まります。今夜の米は試しにアルミ飯盒で炊いてみてはいかがでしょうか。
今回紹介したレシピ含め、飯盒を使った様々な料理レシピは、動画(公式チャンネル:トッカグンの東京サバイバル)でもご覧いただけます。