10歳になっても元気な愛犬センポ
まずはマルのよきパートナーとなったセンポを紹介しておきたい。
東京を歩く旅や家島の旅でも同行したように、センポは生後3ヶ月から僕とともに日本全国を旅している。(関連記事「黒ラブと東京の山を歩く!新宿、青山、浅草の低山を犬連れでハイキングしてきた」「シェルパ斉藤、愛するラブラドールと瀬戸内海の家島諸島を旅する!」)
10歳になる高齢犬になってしまったが(人にたとえれば還暦くらいかな)、うちの庭や近所の公園でボールを追いかけて全力疾走しているので、体力と脚力は衰え知らずだ。ウエストがくびれて体が引き締まっているから、ラブラドール・レトリーバーとしては小柄で、ボーダーコリーのマルとほぼ同じ体格に見える。従順で賢くて、環境の変化に適応する能力にも優れ(親バカですみません)、歩く旅のパートナーとして申し分ないんだけど、難点がひとつだけある。
それは体毛が黒いこと。艶のある美しい黒毛なんだけど、写真を撮ると露出の関係で、黒い影になってしまうのだ。誌面では表情がわかりづらいので、センポの顔を紹介しておきたい。10歳なのにこんなあどけない顔をしているセンポを、僕は美魔女だと思っている(またも親バカですみません)。
羽田空港でマルを預かった僕とセンポは、八ヶ岳山麓の自宅に直帰せず、東京郊外のキャンプ場に1泊した。
ペットと車両の乗り入れが可能な条件で検索して見つけたキャンプ場だが、そこはサバイバルゲーム、略してサバゲーのフィールドでもあった。午前8時半から午後5時まではサバゲーのフィールドとして営業し、午後5時以降は駐車場をキャンプ場に活用している。そのため、受付開始が午後5時以降で、翌朝8時半までには退出する決まりになっている。
バリケードなどがあるサバゲーのフィールドは、単菅で組まれたフレームをネットで覆っている。事務所はプレハブの建物で味気ないし、駐車場も砂利が敷かれていて、工事現場にテントを張っている気分である。なぜか放し飼いのヤギもいて、牧羊犬であるボーダーコリーのマルが興奮するかもと思ったが、マルがヤギに反応することはなかった。似ているように思うけど、羊とヤギはまったく違うことをマルが教えてくれた。
工事現場のようで写真映えしないキャンプ場であったが、日が暮れると一変する。サバゲーのフィールドが闇に溶けて見えなくなり、街の夜景が眼下に望めるのだ。
さらにここは薪が使い放題になっている。形や大きさはバラバラだけど、薪としては良質なクヌギやヤマザクラが棚に積まれていて、キャンパーは好きなだけ燃やせる。
きらめく夜景と揺らめく焚き火の炎、犬たちの温もりも感じられる贅沢なキャンプとなった。
友達になれる存在がいるという幸せ
短期間だったけど、2頭の犬と暮らす八ヶ岳の生活は満ち足りていた。
これまで僕はゴールデン・レトリーバーのニホにはじまり、黒ラブのサンポ、サンポの娘のトッポ、柴犬のカイくん、そしてセンポというように5頭の犬とつきあってきた。ニホが3歳の年にサンポが加わって以降、多頭飼いの時期が長く続いた。3年前にカイくんが亡くなってからはセンポのみの生活になったが、それまでの約25年間は常に複数の犬が家にいた。
犬は祖先であるオオカミがそうであるように、群れで暮らす動物だ。僕たち人間は犬にとって良き主人にはなれるけど、友達にはなれない。それができるのは犬だけだ。仲睦まじいセンポとマルの様子を見て、多頭飼いが犬にとっての理想の環境であることを再認識した。
息子の同僚7人も加わり八ヶ岳で遊び尽くす
マルがうちに来た翌日、大阪で暮らす長男の一歩が会社の同僚7人を連れて帰省した。祝日と週末と有給を組み合わせて4連休をとり、一歩を含めて8人の若者がわが家に滞在して、マルとセンポのよき遊び相手になった。
若者たちは僕の日課に合わせて6時30分にラジオ体操をして、公園まで散歩。昨日は僕と妻だけのキャッチボールだったが、プラス8人もいるから、センポとマルも大喜びでボールを追いかけまわした。
キャッチボールのあとは、5人ずつにチーム分けして草野球だ。ビニール製の柔らかいボールを使うから、グローブはいらない。守備で大活躍するのはセンポだ。水鳥を回収(レトリーブ)するレトリーバーだから、打球に向かって全速で駆けていき、すぐにボールを回収する。ボーダーコリーのマルはセンポほどボール遊びに固執しない。最初はセンポとともにボールを追いかけていたが、やがて飽きて公園から脱走しそうになって、「マルーッ!」と僕らに呼び止められることもしばしば起きた。
翌日は僕の友人たちも加わって、草野球は一段とヒートアップした。たくさんの人々が遊んでくれるものだから、マルがホームシックにかかるはずもなく、よく遊び、よく食べて、よく眠る、充実した毎日を過ごした。
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