日本の実権を握っていた平家を滅ぼし、のちに後鳥羽上皇の挙兵「承久の乱」や、1274年・1281年の2度にわたるモンゴル帝国からの侵攻「蒙古襲来」を乗り越える彼らを支えたこの天然の要害。
現在、要塞都市鎌倉は歴史を感じられる観光名所となり、鎌倉北部を守った鎌倉アルプスと呼ばれる山々は人気のハイキングコースとなっています。
今回は、そんな鎌倉アルプスの山々の、歩いて楽しいコースを紹介していきたいと思います。
日本を守るために働き続けてくれた鎌倉とそこに住んでいた先人たちに、ハイキングという形で会いに行きましょう。
※歴史的背景などは鎌倉市、鎌倉市観光協会公式HPを参照しています。
鎌倉アルプスを縦走!天園ハイキングコースのおすすめポイント
鎌倉の北部、勝上山・大平山・天台山・胡桃山などは総称して「鎌倉アルプス」と呼ばれています。これらを縦走するのが、ハイカーに人気の「天園ハイキングコース」です。
この天園ハイキングコースの醍醐味は、所々で見られる鎌倉を見下ろす景色や歴史的遺構。中でも、若宮大路など鎌倉の主要地を見下ろす絶景は、神奈川の景勝50選にも選ばれるほどです。
ここからは、鎌倉アルプス天園ハイキングコースの中の、深い歴史を感じる遺構ポイントと鎌倉と相模湾を見渡せる絶景スポットを紹介していきます。
勝上山
まずは、勝上山です。こちらは、建長寺の真後ろに位置する山。
頂上には展望が設置され、ここからも鎌倉の街が見下ろすことができます。
上の画像にはありませんが、右側は伊豆半島までを見渡せる景色になっており、広く山々の絶景を楽しむことができる場所です。
十王岩
続いて、鎌倉の有名なパワースポットである十王岩。
夜な夜な不気味な音を立てるという、少しばかり怖い噂から「喚き十王」とも呼ばれています。
長い年月による風化で、今では十王のお顔は確認ができません。長い歴史を感じさせられる姿となっています。
また、この十王岩は鎌倉市街の中央奥部分に位置している鶴岡八幡宮の真後ろにあたり、そこからの景色はまさに絶景と言えます。
鎌倉市街の主要部、まっすぐに伸びる若宮大路、どこまでも続く相模湾の景色を一望。
ここは、攻めも守るも鎌倉の地においては戦略的に重要な地点だったのかもしれません。
鎌倉を見守るようにその場所に鎮座する3体の彫像からは、やはり不思議とパワーを感じてしまいます。
やぐら郡
天園ハイキングコース内では、山肌や岩を方形に削ったやぐらが至る所で確認できます。
これらは中世鎌倉時代に流行した横穴式の墳墓です。
山地に囲まれた鎌倉には平地が少なく、従来のような墓郡を設けるスペースが存在しませんでした。そのため、山に囲まれた地形を活用できる横穴式の墳墓が流行したと考えられています。
戦乱の多かった鎌倉時代、多くの横穴。時折切ない思いもこみ上げてきました。
大平山
鎌倉アルプス最高峰の大平山。
少し先には休憩にうってつけの広場があり、ここからも相模湾から鎌倉市街、奥には伊豆半島を見ることができます。
旧国である武蔵・相模・上総・下総・安房・伊豆の六国を見渡せたことから、この一帯は六国峠とも呼ばれました。
裏側からは、条件が良ければ横浜ランドマークタワーなども小さく確認ができるでしょう。
岩肌を進む道のり
神奈川県南東部の三浦半島は、今から50万年前に海底から隆起してできあがった土地。
鎌倉はその三浦半島に近くに位置しているため、丘陵地帯として岩盤が突き出ている部分も多くなっています。
そのため道は人工的に岩盤を切り通したものも多く、歴史を感じさせる岩肌ハイクを楽しむこともできるのです。
人の手で削ったような跡も確認ができ、道を開いた人たちの苦労も感じられます。
鎌倉の歴史を感じに行こう
戦乱が絶えず、悲しみの歴史も多く持つ鎌倉。
日本を他国から守りながらも、自国の勢力に責められた鎌倉は恵まれない最後を遂げました。
平和と温寧を願った彼らが遺していったもの、そして自然が遺した絶景にぜひとも会いに行ってください。
幼少期から亡き祖父と登山をはじめ、低山高山問わず全国様々な山に登る。現在も祖父の意志を継ぎ、強い情熱で日本の自然や山の魅力を発信している。