真下は海!断崖絶壁を渡る「ヴィア・フェラータ」にポルトガルで挑戦してきたよ
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    2024.02.14

    真下は海!断崖絶壁を渡る「ヴィア・フェラータ」にポルトガルで挑戦してきたよ

    真下は海!断崖絶壁を渡る「ヴィア・フェラータ」にポルトガルで挑戦してきたよ
    みなさん、「ヴィア・フェラータ(Via Ferrata)」ってご存知ですか?

    「ヴィア・フェラータ」は、イタリア語で「鉄の道」という意味。岩場に固定されているワイヤーと身体をハーネスや特殊カラビナでつなぎ、ワイヤーを辿っていく岩登りのことです。日本ではまだそれほどメジャーではありませんが、ヨーロッパでは、山岳地帯を中心にたくさんのコースがあります。

    ロッククライミングなどと違い、それほどの装備や経験がなくても(高所恐怖症でさえなければ)気軽に挑戦できることが魅力のひとつだと言われています。

    ここポルトガルでは、海沿いにヴィア・フェラータが完成したのだとか。早速、私も挑戦してきました!

    自然公園の岸壁に作られた「海の道」

    ポルトガルの首都、リスボンからテージョ川を渡ったセトゥーバル半島の最南端に自然保護地域「アラービダ自然公園 (Parque Natural da Arrábida)」があります。

    この白砂の海岸は、サーフィンなどで知られるリスボンやリスボン北の海岸とは違い、入江になっているためほとんど波がありません。また、セハ・ダ・アラビダ(Serra da Arrábida)と呼ばれる山岳地帯と海岸線が融合し、独特の美しい景観を作り上げています。

    ビーチを散歩して美しい海岸線を楽しむのもいいですが、近年、設置されたヴィア・フェラータコース「カミニョ・ド・マー(Caminho do Mar:海の道)」なら海岸にそびえ立つ岸壁からその景観を感じることができます。

    Caminho do Mar

    岸壁に設置されたCaminho do Mar。(Photo by Corina Tudorache)

    コースを設置したのは、アラービダ自然公園でのさまざまなアクティビティを提供する「ヴェルテンテ・ナトゥラル(Vertente Natural)」。個人でコースを使うこともできますが、初ヴィア・フェラータの私は彼らのツアーに参加させてもらいました。

    まずは、山岳地帯を抜けて海へ

    待ち合わせ場所の公園に現れたのは、ガイドさんと今回一緒にヴィア・フェラータを体験するルーマニア出身の女性とイタリア出身の男性。女性の方は自国でガイドを務めるほどの経験者で、男性の方は初挑戦だとか。

    Caminho do mar

    こちらのメンバーでヴィア・フェラータに挑戦。

    まずは、ヘルメットとハーネス、手袋を装着し、カラビナの使い方を学びます。アドベンチャーパークなどで使うものと同じような感じで難しいことはありません。

    ヘルメットは落石もあるので必須とのこと。石が落ちたら、下の人に聞こえるように大声で「石〜!」と叫ぶようにと指示されます。また、警告が聞こえたら、岩肌にできるだけくっついてやり過ごすようにとのこと。声の方、つまり上を見てはいけません。

    Caminho do mar

    いざ、出発!

    そして、早速、セハ・ダ・アラビダの中を徒歩で海の方へと歩いて行きます。この地域は、多様な植生で知られていて、道中もさまざまな植物をみることができます。筆者は1月末に参加したのですが、ちょうど小さなペチコート水仙(Narcissus bulbocodium)が満開でした。また、この地域に固有の種だというユーフォルビア・ペドロイ(Euphorbia pedroi)も花をつけていました。

    Caminho do mar

    ガイドさんの前にある植物がユーフォルビア・ペドロイ。

    20分ほど歩くと、海を見下ろせる岸壁に到着。ここからヴィア・フェラータが始まります。

    初ヴィア・フェラータにアドレナリンがダダ漏れです

    コースの始まりはワイヤーのない場所なのですが、ガイドさんが安全対策とカラビナの練習も兼ねてロープを張ってくれました。この辺りは細いとはいえ、道になっていて、余裕があります。

    Caminho do mar

    持参したロープを張ってくれるガイドさん。

    この感じなら大丈夫、と思っていたら、早速「まずひとつ目の難所」に到着。

    ここは、身体的にというよりも精神的に難しいという、つまり「怖い」場所だそうです。

    Caminho do mar

    岩場をゆっくりと移動して行きます。

    なるほど。確かにガイドさんが教えてくれないとどこが足場か分からない、小さな岩の窪みに足をかけて、岸壁を張り付く感じでの横移動。どこだよ、足場は……と見下ろすと、青い海がずーっと下の方にあるのが目に入ります。

    「今は引き潮だから、いつも以上に高さがあるように見える」とガイドさん。これは、高所恐怖症だったら無理だろうなあ、と思いつつ、無事、反対側に到着。

    それから崖を下って……、

    Caminho do mar

    ロープとワイヤーを使って崖を降りる。(Photo by Corina Tudorache)

    しばらく歩くと、2つ目の難所に到着。

    こちらは、身体的に難しいところ。確かに身長156センチの私には、思いっきり手や足を伸ばさないと届かないポイントがあったりでかなり難しい……。ガイドさんの「もう少し左!」「同じ場所に両足をおいて!」などといった指示がなかったら、絶対に動けなくなってました。

    Caminho do mar

    道なき道を進むエキサイティングな体験。

    この難所を越えた頃には、ジャケットもセーターも脱いでバックパックにしまいました。崖が風から守ってくれ、太陽が当たり、また運動量が多いので暑く感じるのです。曇りだったので残念がっていた私に、ガイドさんが「今日は最高のヴィア・フェラータ日和だよ」と言っていた意味がわかりました。私たちの他にもロッククライミングやヴィア・フェラータを楽しむ人の姿があり、ガイドさん曰く「この天気を狙ってやってきたはず」。

    ちなみに夏場は直射日光が岸壁に当たるため、このヴィア・フェラータツアーはお休みだそうです。

    この後は、垂直に近い崖上り。この辺りは、たくさんホチキスの針のようなステップもあり、難しくはありません。ただ「石!」の声が頻繁に上がります。

    Caminho do mar

    崖を今度は上ります。(Photo by Corina Tudorache)

    Caminho do mar

    1月末なのにTシャツでも暑い!

    そしてたどり着いた頂上からの眺めは、達成感も相まって最高でした。海風が気持ちいいです。

    Caminho do mar

    崖の上からの眺め。

    ガイドさんがこの地域、セシンブラ(Sesimbra)の名物だと配ってくれたエナジーバーのようなお菓子「ファリーニャ・トハーダ(Farinha Torrada de Sesimbra)」も美味しくいただきました。

    Caminho do mar

    チョコチップとシナモンがアクセントのファリーニャ・トハーダ(Photo by Corina Tudorache)

    帰りはまた山岳地帯を歩いて戻ります。所要時間約4時間。満喫しました!

    リスボンに来る際には、ぜひ挑戦してみてくださいね。

     

    Vertente Natural

    https://vertentenatural.com/

    サイトから予約できます。

    rikah
    私が書きました!
    フリーライター
    東リカ
    アウトドアが盛んなオレゴン州ポートランドからポルトガル・リスボン近郊へ移住したフリーライター。著書に「好きなことして、いい顔で生きていく ~風変わりな街ポートランドで、自分らしさを貫く15の物語~ 」(イカロス出版)など。旅行、お酒、食事、キノコ狩り、カヌーなどが大好きです。

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