童謡『雪』に歌われているように多くの犬は雪遊びが大好き。コアも雪遊びが好きで、真っ白な雪原を見るとわくわくが止まりません。日帰り圏内で行ける雪のドッグランで走ったり、雪玉キャッチをしたりして遊ぶだけでも楽しいものですが、私とコアはよくスノーシューハイキングを楽しみます。
今回は、犬との雪遊びの装備や心がけ、スノーシューハイキングの提案、そして、初心者でも楽しめる長野県小谷村の雪遊びスポットを紹介します。
安全に楽しく雪遊びするために揃えておきたい装備
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●犬用コート
長毛のダブルコート(※)を持つホワイトスイスシェパードのコアは寒さに強いため、犬用コートを着せることはほとんどありませんが、子犬や老犬、シングルコートなど寒がりの犬にはコートを着せてあげましょう。
動きやすく、防水加工されているものを選ぶのが良いと思います。コートを着せていても、愛犬の身体が冷えていないか、飼い主さんは気をつけましょう。
※犬には種類によって「一次毛/上毛(オーバーコート)」と「二次毛/下毛(アンダーコート)」の両方をもつ“ダブルコート”と、前者だけの“シングルコート”がいます。
●ハーネス&リード
スノーシューハイキングでは、犬が嬉しくて走りだしたり、飼い主が転んだりしてリードにテンションがかかるアクシデントがあるかもしれないので、首輪よりハーネスの方が安心。リードは3〜5mくらいのものを選び、引っ張ったり引きずったりせず、犬の動きに合わせて調節しながら使うと、犬がよりリラックスして雪遊びを楽しめるでしょう。
●ゴーグル
コアは長時間の雪遊びをしないようにしていますが、もし長い時間雪遊びする時はゴーグルを着用するようにしています。人間だけでなく犬も、紫外線の影響による白内障や角膜炎、雪眼炎を防ぐためにゴーグルの着用が安心です。
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●基本の装備
スキーウェア、スノーブーツ、ニット帽、ネックウォーマー、サングラス、手袋、日焼け止め。
●お湯を入れた水筒
水は凍ってしまうことがあるので魔法瓶タイプの水筒を使います。お湯の量は犬のことも考えて多めに入れておきましょう。
●スノーシュー
雪の上を歩行するための道具。西洋かんじきとも言われ、スノーブーツに装着して使用。モデルによっては平地のみ対応というものもあるので、購入時に店員さんに相談してみましょう。
楽しい時間がたくさん共有できるスノーシューハイクのすすめ
スノーシューを装着していれば、バージンスノーを自由に歩いてふかふかの雪の感触を楽しんだり、愛犬と一緒に動物のあしあとを見つけたり。雪のフィールドでの遊びがぐんと広がります。
まず、平地を歩いて充分にスノーシューの扱いに馴れてから、初心者でも短時間で歩ける丘などに登ってみましょう。スノーシューハイクのツアーもいろいろなところで開催されています。最初は、装備レンタル付きツアーに参加するのもいいでしょう。
犬連れスノーシューハイキングで注意したいこと
スノーシューハイキングは両手にストックを持って歩きますが、愛犬と一緒だとリードを持たなければいけなかったり、おもちゃで遊んだりするので、ストックは伸縮してリュックに付けておけるものが良いと思います。
歩く時には、スノーシューが犬にぶつかったり、犬の足を踏んでしまわないように充分気をつけましょう。雪がさほど深く積もっていなかったり、積もった雪がよく締まっていて歩きやすい場合は、スノーシューは使わず、スノーブーツに滑り止めスパイクを装着すれば歩くこともできます。
長野県小谷村の雪遊びおすすめスポット
ここからは初心者でもスノーシューを楽しめる「ウッドチップロード」、ちょっとステップアップしてスノーシューでハイクアップする「前山」、ガイド付きで安心な「かまくら雪遊びパーク」の3種類を紹介します。
本連載vol.9『小谷村「勝手に観光大使犬」の柴犬メルと行く秋の里山の旅・後編』にも登場した、柴犬の“メル先輩”と一緒に歩きました。
【ウッドチップロード小谷村】
小谷村にはウッドチップロードという遊歩道が数か所にあり、冬はスノーシューが楽しめます。平坦で整備されているので初めてのスノーシューでも安心。歩き出す前に地図を確認して、体力や時間に合わせてコースを選びましょう。
コースは1kmから選ぶことができますが、スノーシューに馴れないうちは、疲れてしまう前にコース途中でも引き返すことも大切です。
自分たちの前にスノーシューで歩いた人たちがいて、雪が踏み固められているうちは、スノーシューを着けなくても歩くことができました。踏み跡がなくなり雪が深くなってくると、雪国育ちのメル先輩は上手に歩いていきますが、人間たちはスノーシューを履いていないと深雪に足をとられてズボッとはまってしまいます。深雪にズボッと足がはまってしまうことを、北信州の方言で「がぶる」と言うそうで、がぶったらスノーシューを装着して歩きましょう。
雪が大好きで身体の大きなコアは力強くラッセルしていきます。雪遊びでは興奮して疲れていることに気づかない性格の犬もいるので(コアもそうです)、飼い主さんがよく観察して、冷えたり疲れ過ぎる前に休ませてあげるようにしましょう。
【前山】
平坦な場所でスノーシューの扱いに馴れたら、スノーシューで少しハイクアップを楽しんでみましょう。
栂池高原スキー場の正面にあるクロスカントリーコース横に前山という往復1時間ほどで歩けてしまう小さな山があります。ガイドブックなどには載っていませんが、むかしから地元の人達に親しまれていて、私と先代犬もよく歩いた思い出の場所でもあります。今回はコアと一緒に歩いてみました。
バス停「前山スキー場」付近からスタートして、しばらく緩やかに登り、尾根道を歩いていきます。前山にはクロスカントリーコース側にスキージャンプ台もあり、子どもたちが練習する場所もあるので邪魔にならないように、また、荒らさないよう気をつけましょう。
前山は丘のような小さな山ですが傾斜があるので、無理をせず、ゆっくり自分のペースで登っていきます。木の根のまわりは雪が溶けて空洞になっていることがあるので避けましょう。また雪庇(※)には危ないので絶対近づかないようにしましょう。
※ 雪庇(せっぴ)とは稜線や尾根で雪が強風によって風下側に吹き溜まった積雪のこと。 雪の下には地面がないため、雪庇に乗って歩いてしまうと抜け落ちて滑落する危険があります。
深雪をラッセルしながらのハイクは体力的にも大変ですが、30分ほど時間をかけてゆっくり登っていくと、今まで樹林帯で見えなかった絶景が現れます。前山登頂です!
前山の山頂からは栂池高原と白馬三山の絶景が広がります。がんばって登ってきたごほうびのようです。持参したお茶を飲みながら、しばらく愛犬と一緒に景色を楽しみます。
雪遊びの時、私は紅茶を、犬用に暖かいヤギミルクをサーモスに入れて持っていきます。絶景を眺めながら愛犬と飲む暖かいお茶は美味しさもひとしおです。
前山は、週末には地元の小学生がジャンプの練習のためにスキー板を担いて何度も登っていくような小さな山です。それでも安全のために単独行動は避け、2人以上の小さなグループで犬連れハイクを楽しみましょう。
【かまくら雪遊びパーク】
自分たちだけでスノーシューハイクや雪遊びをするのはちょっと不安、そんな方にぴったりなのが、小谷村のコルチナスキー場のすぐ近くにある、おたり自然学校主催の「かまくら雪遊びパーク」。 愛犬との雪遊びが初めてでも、安全にさまざまな雪遊び体験ができます。
おたり自然学校は、小谷村を訪れた人が元気になり、日常生活に役立つ学びを得て「明日を昨日よりも少し豊かに生きる」活力が得られるような、様々な体験を企画・提供しています。その活動は地域おこしにもなっています。
DAY(11時〜14時)と NIGHT(17時〜20時)の2部に分けてあり、それぞれで違った体験ができるようになっています。今回、私たちが行ったNIGHTでは、雪の中でライトアップされたかまくらがとても幻想的でした。
3月24日までの営業予定とのことですが、雪が少なくなったら早めに営業終了してしまうので、興味のある方はお早めに!
雪遊びの最中も後もケアが大切!
遊んでいるうちに雪を食べてしまったり、身体が冷えてしまったり、興奮しすぎた疲れから、体調を崩す犬もいます。怪我がないか身体をよくチェックして、被毛を乾かし、ゆっくり休ませてあげましょう。
雪玉対策
比較的気温の高い日に新雪で遊んでいると、犬の被毛についた雪が溶けて再び固まり、玉のようになった雪玉がびっしりくっついてしまうことがあります。雪玉が大きくなると被毛がひっぱられて痛いので、固まって雪玉になる前に被毛についた雪を払ってあげます。
雪玉になってしまったら、引っ張っても取れないので、ポットで持参したお湯に浸したタオルを当てて溶かして取ってあげましょう。
凍結防止剤を除去
雪の多い地域では道路に凍結防止剤として、塩化ナトリウムや塩化カルシウムが散布されていることがあります。雪遊びから帰ったら、足をよく洗いましょう。
肉球ケア
雪遊びの前後に肉球ケアを。肉球に異変がないかチェックするとともに、しもやけ防止に「肉球クリーム」を塗ってマッサージしましょう。
最後に‥‥
今回、ここで紹介したコースは安全に遊べる場所ではあるのですが、万が一に備え、タイムスケジュールと行き先を家族や知人に連絡しておきましょう。
一緒に歩き、一緒に遊び、一緒にお茶をする。犬と雪のアウトドアフィールドに出ると、普段より仲良くなれる気がします。週末に、雪遊びに出かけてみませんか?