「なんとかしなくては!」と編集スタッフが一念発起。DIYの師匠とともに、すべてのアウトドアアイテムがスッキリ収まる押し入れを作り上げました。
どんなテクニックを使ったのか…ぜひご覧ください。
DIYでおうち大改造に挑戦!がさばるアイテムは全部入る?
師匠 長谷部雅一さん
アウトドアプロデューサー。株式会社ビーコン代表。本誌イノッチパークの知恵袋。アウトドア関連のイベント企画ならおまかせあれ!
兄弟子・大下
アウトドア2年生に進級し、キャンプ道具も揃いつつある。最近凝っているのはおつまみ作り。DIYはまったくの素人。
弟弟子・梶原
包丁よりもインパクトドライバーがサマになる、24歳年女。大雑把な性格が功を奏し(!?)、メキメキと腕をあげた!
BE-PAL編集長宅の押入れを本気で大改造!
テントやクーラーボックスなどの大物から、ランタンなどの割れ物、ヘッドランプやバーナーなどの細かいものまで。とにかくバラエティに富んでいるアウトドア道具。道具好きが高じてついつい買い足し、押し入れがあふれかえっていませんか?
「押し入れを有効活用するには、まず道具の指定席を決めること」
と、長谷部師匠。重い物は下段、小間物や普段よく使う物は上段に。押し入れは下にいくほど湿気が溜まりやすいので、湿気を嫌うシュラフやマットなどは天袋に収納するといい。
「奥行きは80〜90㎝で意外と深いんですよ。奥の物を取り出しやすくすることも重要。空間を仕切って立体的に使う。バックパッキングの基本と一緒です」
今回は弟子の大下と梶原を従え、編集長・沢木の押し入れを大改造。荷物量を確認し、掃除するところからスタートだ。
梶:「色は明るくしたいなぁ」
長:「じゃあ、先に塗装して、乾かしている間に、パーツの切り出しかな。サイズ測って!」
大:「これ何ですか〜?」
長:「待て、丸ノコはまだ早いっ」
梶:「ドライバーが勝手に回るぅ」
長:「電動だからなっっ」
DIY初心者ふたりは、無事免許皆伝となるのか……。まあ、お手並み拝見といきましょう!
Before
下段にテントや長物類が詰め込まれ、上段はシェルフで仕分け中。大物が外にあふれている。
収納物に合わせて高さを変えられる可動棚
キャンプ道具は大きさがバラバラ。「収納物に合わせて高さを簡単に変えられるように、可動式の棚をチョイス!」
有孔ボードを設置! 見える収納で迷子を防ぐ
小物類は壁に取り付けた有孔ボードに掛けてわかりやすく収納。S字フックやバスケットを取り入れれば使い勝手も良い。
準備を手際よくこなすために、棚の前にスペースを確保
可動棚の手前には物を置かず、スペースを空けておく。「道具が取り出しやすいし、簡単なメンテナンスもできますよ」
使用頻度が低い物や湿気を嫌う物は上部に収納
湿気を嫌い、なおかつかさばるマットやシュラフは、天袋に収納。軽いブランケット類や、使用頻度の低い物、季節品などもしまっておくといい。
普段使いするウェアはハンガーラックに掛けて
ウェアやザックなど、日常でも頻繁に使う物は重ね置きすると下の物が取り出しづらく、出すときゴチャゴチャになるので掛けて収納。
デッドスペースになりがちな壁面はフック使いがミソ!
大型のフックは壁面収納の強い味方。ふたつ使えば、パドルやポールも掛けられる。扉を使う場合は前框の裏側に設置するといい。
キャスター付きの台車で重い物も楽々移動
奥が見えにくく、重い物を多く収納する下段は、台車で取り出しやすくすると効率が良い。長物を積めるよう、支えの側板を装着。
図面でサイズ確認
押し入れを空にしたら、各所のサイズを採寸する。柱などがあるので、パーツ作りには内寸も必要。中板のだいたいの厚さや、前框の高さも測っておくといい。
今回使った改造道具
右上からインパクトドライバー&替え刃、木材の表面を削るサンダー、曲線カットも可能なジグソー、直角を測る差し金、メジャー、木材の面取りや溝彫りをするトリマー、棚板などの水平を測る水平器、ノコギリ。
DIYに突入!
STEP1
掃除&塗装で土台作り
荷物をすべて出し、中板から壁面まで水拭きして乾かす。その際、壁から飛び出している釘や画鋲などは抜き、梁や柱が通っている箇所をチェックしておく。
壁裏センサーを使い、壁の裏にある間柱の位置を確認しておくと安心。
塗りたくない場所にマスキングテープ付きの養生シートを貼る。「塗装は刷毛を木目に沿って上下に塗るとムラなく仕上がるのだ!」
室内はにおいが少なく、カラーも豊富で扱いやすい水性ペンキが◎。木の風合いを活かしたい場合は、浸透性のワックスを使うといい。
STEP2
木材を切り出して準備
収納道具のパーツをカット。細かい物はノコギリで、大きな部材は丸ノコがあると直線カットが正確で速く切れるので便利。
木材の切り口はトリマー(ヤスリでも可)で研磨して面取りし、角を丸く整える。「ササクレも取れるから、安心安全〜」
木材を再利用する場合は、サンダーで表面を研磨すると、凹凸や毛羽立ちが取れる。
表面が滑らかになったら、アクセント付けしたいパーツにワックスを塗り込む。
STEP3
パーツ作り&組み立て
2時間ほどで完成!
台車
土台の板に穴を開けて、持ち手を作る。先にドリルで穴を開け、ジグソーを通して切り出す。
底にキャスター(4個耐荷重300㎏)を装着。大きな台車は6か所に。ブレーキ付きが安心。
荷崩れ防止に、前後に側板(ワックス塗装済み)を取り付ける。高さは荷物の量によって調整。
折りたたみ式の棚受け金具を利用すれば、不要なときはたためて便利。
可動棚
棚支柱を取り付けるために、まず柱板を装着。「間柱の上ならネジ留めできて頑丈です!」
壁面収納の可動棚用に、棚支柱と棚受け金具を用意。
柱板に棚支柱をネジ留めする。「ちゃんと垂直とらないと傾くよ!」「これで大丈夫かな」
棚支柱に棚受け金具をセットし、棚板をのせて金具に固定。「下から取り付けるのって大変……」
ドライバーは慣れました!
ハンガーラック
押し入れの奥行きサイズに合わせ、ステンレスパイプをカット。「突っ張り棒を使ってもいいよ」
パイプを挟んで固定し、グルグル回すだけで切れるパイプカッター。
パイプを取り付けるための横受けの片方を固定し、パイプを入れてからもう片方を固定する。
有孔ボード
ボードの裏にフックを取り付けるための隙間が必要なので、上下に支柱を入れてから固定する。
フック
前框や柱など厚みのある板部分にはフックの取り付けも可能。中板裏の梁に取り付けてもいい。
完成〜!
3人がかりで1日半かけて完成。1間の押し入れが、機能性抜群のギア倉庫に大変身。「ふたりとも押し入れ改造の免許皆伝!」
テント8張りに椅子11脚、テーブルにコット、寝袋などなど大量のキャンプ道具がスッキリ収まった。しかも見える化したので、出し入れもスムーズ。まさに最強の押し入れ改造だ〜!
まさに圧巻の見晴らし!
※構成/大石裕美 撮影/三浦孝明
(BE-PAL 2024年3月号より)