標高差約1420メートル、総延長96キロの区間内には、トンネルが102カ所、アーチ状の橋は886カ所もあるそうです。列車は右に左に車体を傾けながら、緑豊かな山の中を駆け上がっていきます。
狭い車内では、乗客たちが文字通り膝を突き合わせながら、トイトレインの旅を楽しんでいます。トンネルを通過するたびにヒューヒューと歓声が上がるほど(笑)。向かいの席に座っていた男の子たちが僕のカメラを見て、写真を撮らせてくれました。ちなみに右の男の子は左の子の膝の上に座っています。それほど車内は狭いのです。
ところどころに、小さな駅があります。プラットフォームから笑顔で手を振ってくれる人たちも大勢いました。
カールカー・シムラー鉄道の区間内には、ソーランなどのかなり大きな街もあります。インドの他の地域とはかなり雰囲気の違うそれらの街並を通り抜け、列車はシムラーへと向かいます。
予定より20分ほど遅れて(インドの鉄道にしてはとても優秀な方です)、列車はシムラーの駅に到着しました。以前から一度乗ってみたかった、世界遺産の山岳鉄道。とても楽しく、味わい深い鉄道旅でした。
◎文/写真=山本高樹 Takaki Yamamoto
著述家・編集者・写真家。インド北部のラダック地方の取材がライフワーク。著書『ラダックの風息 空の果てで暮らした日々[新装版]』(雷鳥社)ほか多数。
http://ymtk.jp/ladakh/