許可証の取得手続きが予定より早く終わったので、レコン・ピオから山を少し登ったところにあるカルパという村に来ました。キナウルでもこのあたりまで来ると、ヒンドゥー教と仏教の両方が併存しているところが多く、カルパにも両方の寺院が存在します。
カルパで出会ったキナウル人の男性。テパングと呼ばれる、緑色の折り返しのある帽子をかぶっているのが、この土地の人々の特徴です。
村ではこの日、伝統的な歌と踊りのパフォーマンスのコンテストが開催されていて、民族衣装を身にまとった若者たちのグループが、伝統的な楽器を演奏しながら歌と踊りを審査員たちに披露していました。
キナウルの女性の盛装は、目が完全に隠れてしまうほど顔の前にアクセサリーをつけるのが特徴です。ほとんど前が見えてないんじゃないかと思います。カメラを手にした僕を見て、「私たちの写真を撮ってよ!」と親しげに声をかけてくれました。
コンテスト会場から少し離れた場所で会った女の子たちですが、さきほどの盛装していた女性たちも、顔飾りを外せば、きっとこんな感じの子たちなのでしょうね。
学校の近くの空き地では、ちっちゃな生徒たちが、先生に手取り足取り教えてもらいながら、歌と踊りの練習中。この子たちはこうしてキナウルに伝わる伝統を学び、受け継いでいくのだろうと思います。
レコン・ピオを発つ朝、ゲストハウスの窓の外に、聖山キナウル・カイラスが雲間から姿を現しました。冬になると、西チベットの聖山カイラスにいるシヴァ神がこのキナウル・カイラスにやってきて、ハシシを吸うのを楽しむ、と信じられているそうです。
◎文/写真=山本高樹 Takaki Yamamoto
著述家・編集者・写真家。インド北部のラダック地方の取材がライフワーク。著書『ラダックの風息 空の果てで暮らした日々[新装版]』(雷鳥社)ほか多数。
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