防災啓発、そして、災害支援まで様々な活動をするためのベースカーが完成!
「災害支援さばいどる号」は、災害があった地域に活動に出かけるために、ダイハツと協力して製作した特注車。実際にどんな装備が搭載されているのか、かほなんに教えてもらった。
「ベース車両はダイハツのアトレーです。日本の狭い山道でも走れるよう、積載力に優れる軽自動車を選びました。カラーは災害地でも目立ちやすく、自分のイメージカラーでもあるイエローです」
荒れた道にも強そうなワイルドなパターンのタイヤを装備。フロントにはアンダーガードもある。ルーフには、大型のラックや照明、スピーカーなどが装備されている。これは、いったいどんな場面で使うのだろう?
大型のカーサイドタープを広げて支援基地に
「このクルマは、駆け付けた場所で支援物資を配布するための本部を作る機能があります。大きめのカーサイドタープを開いて、その下にテーブルをセットして、積んでいった食料などの配布をする場所となります。カーサイドタープの下には、LED照明も付いているので夜間でも活動できます」
かほなんによれば、このクルマには、200名分の非常食を積むことができ、災害時にはそれを届けに行くというのが、ひとつの目的になるそうだ。さらに機能性について聞いた。
「ルーフラックは上に展開できます。梯子をつけてラックに上ってから、柵を組み立てます。フロントには2つの明るいライトがあり、さらに高照度のサーチライトを三脚にセットして高い位置から遠くを照らせる仕様です。フロントには、スピーカーも搭載しているので、マイクを使って物資の配布などのお知らせをすることもできます。長時間の活動になることを想定して、キャンプ用の椅子を置けるようにしています」
インテリアにも使い勝手を考えた工夫がいっぱい
気になる内装はどんなだろう?
「まずリアゲートを開くと、右側には防災アイテムを収納する棚があります。サイドには、サーチライト用の三脚、バール、クリッパー(鉄筋を切る工具)が収納されています。上部には、投げる消火器を置いていて、棚の後ろ側には、消火器とジャッキが積んであります」
軽自動車の荷室という限られたスペースを効率よく利用できるよう考えられた棚はお見事。
「この棚は、引き出せるようになっていて、中にはいろいろな器具が入っています。中央にはスコップ、斧、バッテリー式のチェンソーが入っています。これは、災害地に行く途中に木が倒れて進めなくなっても、自力で木を切って道を開いて進むための道具です。棚の空いているところには、その時の状況に合わせたものを入れたり、これから使ってみて便利なものを入れていきます。今、車載用防災ミニボックスが入っているところには、AEDを積む予定です」
必要な道具は、この棚に整理して収納。左側の荷室スペースは、非常食などの物資を積むために開けてあるそうだ。
「そのほか、ポータブル電源とソーラーパネルも積んでいます。細かいところでは、シートカバーも特注で、物を掛けたり、積んだりできる工夫がされています。運転席の上部にあるトレーには、無線機とスピーカーの機材(アンプとマイク)を搭載しています。リアシートは、人が乗ることも、倒して物資を積むためのスペースにもできるよう、そのままにしています」
カーサイドには、キャンパーズステッカーのようなロゴステッカーが貼ってある。これは、どんなブランドなのだろう?
「これは、さばいどるの災害支援活動に協力してくれている企業のステッカーです。ホームセンターバローは、スコップ、バール、クリッパーなどの工具類を提供。オールパワーズは、ポータブル電源とソーラーパネル。ファイテックは、投げる消火器。ハスクバーナは、チェンソーと斧(大小2本)。食べ物系を支援してくれるのは、尾西食品がアルファ米。白鶴が、甘酒など。K&Kは缶詰のフルーツや飲料です。
今後は、防災の啓発活動と災害時の支援活動に使っていきたいです。非常食は各社200名分を提供していただきました。人口規模100~200名程度の市町村と災害協定を結んで活動する予定です」
かほなんは、2月14日には、日ごろからサバイバルの活動拠点として利用している「フォレンタ」がある、岐阜県東白川村と災害時の支援活動に関する協定を結んだ。災害時に村からの要請を受け、このクルマとともに積載した支援物資の配布などを実施する。協定を結ぶことで、一早く駆けつけることができるメリットがあるそうだ。
「サバイバルの途中で身に着けた知恵や技術を、防災啓発や支援活動に結びつけたいですね」
今後、「災害支援さばいどる号」に乗って、各地の防災関連イベントや、被災地支援などに積極的に利用していくそうだ。
(取材・構成/yamabon)