天気が悪いのに何故外に行くのか?
北欧には、「悪い天気なんてない、悪いのは服装」ということわざがあります。子供たちが天気のせいで外に行きたくない時は、大人がこの言葉を投げかけて遊びに行かせます。おかげで私は大人になった今でも天気を気にせず、外に出かけます。
天気が悪くても外に行く理由は、ほかにもあります。北欧の多くの国には、自然の中に誰でも無料で使えるシェルターがたくさんあることです。タダで泊まれる小屋のような場所もありますが、特に多いのがVindskydd=ウインドシェルター。これがあることによって自然の中でも雨に濡れなくて済むし、それほど体も冷えないので、天気が悪い日でも割と快適に外で時間を過ごせます。
ウインドシェルターには様々な形がありますが、基本は左右と後ろに壁があって、前だけが空いています。ベンチが付いているのが定番ですが、たまに宿泊することができる床が付いている場所もあります。そしてファイヤーピットも設置しています。
ウインドシェルターは森のハイキングトレイルや湖の横など、山の上にもあります。悪天候時にすぐ避難するなど緊急的に使うものですが、わざわざそこまで行ってゆったりと過ごす人もいます。
タダで使える薪は大体いつも用意してあります。そして、前に利用した人が残したキャンドルや薬缶などもたまに置いてあります。次の人のために役に立ちそうなものは多少置いていっても問題になりませんが、ゴミは捨ててはいけないので、必ず持って帰ります。
知らない人たちが打ち解けあう空間
いきなり雨が降り始めた時には、あらゆる人がウインドシェルターに集まります。おじいさんやおばあさん、小さな子供を連れている家族や学生など。実は、北欧の人たちは比較的人見知りな様子を見せることが多く、相手に冷たい印象を与えてしまいがちですが、ウインドシェルターには不思議とそういった空気はありません。ここに集まる人たちは皆笑顔で挨拶したり、たまに楽しく会話もしたりします。
先に来た人が我がもの顔で居座ってはいけません。あとから来た人も仲間に入れて、皆が楽しくシェアする空間にするのです。
北欧の大自然に行く機会があったら、ぜひウインドシェルターに立ち寄ってみてください。そして自分で焚き火をおこし、コーヒータイムを楽しんでください。もしかしたら、ご機嫌な北欧の人たちと楽しく会話しながら休憩する、素敵な時間が過ごせるかもしれませんよ。
*スカンジナビア半島周辺のウインドシェルターの場所を紹介するウェブサイトはこちら
スウェーデン:https://vindskyddskartan.se/en/
フィンランド:https://www.gone71.com/shelter/
ノルウェー:https://www.gone71.com/wilderness-huts-norway/
デンマーク:https://www.gone71.com/shelters-denmark/
写真:Christian Olsson