いったいどんなキャンピングカーなのだろうか?ハンドビルドの成果を見せていただいた。
60代と70代の夫婦が日本一周の車中泊旅を実現するために改造したキャンピングカー
「いつか車中泊をしながら夫婦で日本一周をしたいと思ってましたが、軽自動車のN-VANでは少々狭いし、もう少し大きなクルマがあったらええなと。中古のバンを買うて自分たちでキャンピングカーに改造すれば、安くできるんちゃうかなって。そんでやってみたんですわ」
winpy-jijiiさんは、中古のマツダ/ボンゴバンをおよそ80万円で購入。自ら設計し、夫婦で試行錯誤しながら約2か月半を費やし、キャンピングカーに改造した。その様子を記録したタイムラプスを観ると、winpy-jijiiさんが培ったモノ作りのワザのレベルの高さは感動ものだ。
すべての内装を剥がし、快適性を追求して作り上げたインテリア
工程は、こんな感じ。まずは内装をすべて剥がし、清掃。サビついたパーツは取り外し、サビを取り、サビ止めを塗装。ルーフの内側には、走行中に出る音を防ぐための制振シートを貼り付けた。バックカメラ、ナビゲーションなどもすべて自分で配線を通して装着。内装は、断熱シートを入れたあとに、木の板を切って張り合わせた。収納スペースを兼ねたベッド、可動式の室内テーブル、引き出し収納が付いたカウンターキッチン、ルーフ下の物入れ、リアゲートに展開できる折りたたみテーブルなどを作り付けた。室内の照明は、ダウンライトを埋め込み、明るさを調整できるようマリン用スイッチパネルを装着したという。ベッド用のクッションは、ニトリの10cm厚の高反発マットを使い、カバーは奥様がミシンをかけて縫ったもの。
完成したキャンピングカーは、プロが作ったようにしか見えない仕上りだ。これが予算30万円でできるとは。内外に様々なこだわりとギミックがありそうなので、winpy-jijiiさんに各部を説明をしてもらった。
「テーブルは、使い勝手がいいように、回転するアームがある脚を使っています。端に寄せたり、前後に移動したり、その時々で使いやすい位置にセットできます」
「リアゲートを開いたときに、外に展開できるテーブルも取り付けました。景色のいいところに出かけたら、外で食事をしたりコーヒーを飲んだりしたいですから」
テーブルが水平の位置で止まるよう、パラコードで吊っているのがなんともwinpy-jijiiさんらしい。左右の物入れのドアは、走行中にガタついたり、リアゲートを開いたときに勝手に開かないようロックが付いている。
「着脱式のボードを左右の収納ボックスの間に置いて、その上にクッションを載せます。前側は跳ね上げ式で延長できます。だいたい175~180cmぐらいの長さのベッドになるので快適ですわ。寝室の広さ、とくに幅は広くして欲しいと嫁さんからリクエストされましたんで。マットは、いろいろ悩みましたが、ニトリの厚さ10㎝の高反発マットを買うて、カバーは嫁さんがミシンで縫ってくれました。カラーは、全体に落ち着きのあるグレーで統一してます」
板を張り合わせて作った美しきインテリア
圧巻は、ウッディなインテリアだ。ホームセンターで購入した木材を使い、まずは細い木材でフレームを作り、そこに美しいパイン材の板を加工し、それを組み合わせて完成させた。しかも裏側に配線を通し、ダウンライトまで埋め込んでいる凝りよう。これがDIYとは、驚かずにいられないクオリティだ。
「ダウンライトは、使うシーンによって明るさを変えたかったので、船舶用のスイッチパネルを使って、スイッチのオンオフのほか調光もできるようにしました」
「キッチンの上のライトは明るさを変える必要がないので調光できません。天井には数か所にフックを取り付けて、必要な物を吊るせるように工夫してます」
「どこにしまったか考えるのが面倒なので、コーヒー関係の道具はすべてキッチン上の棚に収納してます。走行中に落ちないように、ゴムのストラップも付けました。取り出しやすいのでええですわ」
まだまだある収納スペース
ハイルーフの室内高をいかしたリアのルーフ下と、カウンターキッチン下など、隙があればそこに収納スペースが作られている。
「ポリタンクは、L字カウンターの下にある収納スペースに入れてあります。水が入って重くなったポリタンクも、スライドドアを開けばすぐに積み下ろしできるから楽ですわ」
細部まで徹底してこだわるのがwinpy-jijii流
凝りに凝ったインテリアのみならず、外観にもwinpy-jijiiさんは一仕事していた。「mazda」のロゴを自らデザインし、カッティングシートを切り出して貼り付け。リアやサイドウインドウにもwinpy-jijiiさんのロゴや愛着のあるアウトドアブランドなどのステッカーを貼って、自分らしさを演出していた。
winpy-jijiiさんは、このクルマがある程度完成するや、ご夫婦でフェリーに乗って北海道へ。約2,600kmの車中泊旅を満喫したという。そして、旅の途中で気になったことがあれば、帰ってから改造して、愛車をアップデートしているそうだ。
「今年は九州に行ったり、いつかは日本一周もしたいですね」
winpy-jijiiさんのキャンピングカー製作の様子や、このクルマで出かけた旅の記録は、「winpy-jijiiのアウトドアチャンネル」で公開されているので、ぜひチェックしてみよう!
(取材・構成/yamabon)