
フィリピン人の旅行仲間から「歴史ある港街で雰囲気があっておススメ。観光名所もイロイロあるよ!」と言われ行ってみました。
歴史ある街並みにワクワク!
イロイロ市は首都マニラから南へ約440キロ。飛行機で約1時間半です。人口は約45万人(2015年調べ)、フィリピンで9番目の都市だそう。空港からジプニー(乗り合いバス)に乗り市内へ到着、早速、散策を開始しました。
せっかく街を歩くんですから、ちょっと歴史のお勉強をしておきましょう!
イロイロの歴史は古く、もともと先住民が住んでいた所へ、13世紀にボルネオの領主の1人がやって来て、先住民から土地を譲り受け、町を発展させます。16世紀にはスペインの植民地となり、要塞都市へと変貌、この地域の防衛の要となります。その後も繊維や砂糖の輸出で栄え、今もこの地域の経済的中心地となっています。
街をぶらついていると、植民地時代からの建物が今も健在。写真を撮りたくなる風情ある光景にたくさん出くわします。思わず興奮して、「ナイスだね、ナイスだね~!」と何度も独り言を繰り返していました。

街の中心部に残る別な歴史的建物。
それらの建物は住居やオフィス、商店として今も活用されています。商店街の軒下で靴修理をしているオジサンを発見。「もう、この道30年だよ~」とニコニコしながら説明してくれました。名前はジョージ・マグナブアさん、“別名スゴイ靴修理人”と看板に書いてあります。

ジョージ・マグバヌアさんさんの路上靴修理店の看板。
「はは、周りがそう呼んでくれるからね。看板にも書いてみたんだ」
ジョージ・マグバヌアさんさんのようにマニラに比べると人が穏やか、街を歩く人たちの表情もノンビリしているように感じます。

明るい靴職人のジョージ・マグバヌアさん。
市庁舎でスターのような大歓迎!
立派な高層ビルの前を通りかかると、それは市庁舎。ちょうどツーリスト・インフォメーションのカウンターがあったので寄りました。

近代的で立派な市庁舎。
日本から来たんですと言うと、「あらあら、ジャパニーズ?」と物珍しがられ、ちょうど退庁時刻だったせいもあって職員が群がり、「日本のどこ出身なんだ?」「イロイロはどうだ?」など大騒ぎ!ちょっとしたスター気分でした~。

「お~い、みんな日本人だぞう!」と一人が声がかけると大勢集まってきた。
次に向かったのは、コースタル・ロード。ここから綺麗なサンセットが見られるのです。時刻は午後6時頃、私と同じように夕日を拝もうとする人々で海沿いは一杯。食べ物屋台も出ていて、そこでまた地元の若者たちと交流できました。

その日のサンセットは今一つなレベルの美しさ。

海岸沿いは若者のたまり場になっている。
「あなたバッチョイもう食べた?イロイロの名物よ、絶対食べなきゃダメ!」
そこで近くにある店を紹介してもらい、試してみることにしました。バッチョイですが、豚や牛ベースのスープに豚皮を揚げた物やホルモンなどの具材をのせた麺類。一杯70フィリピンペソ(約180円)で量がたっぷり。これ、クセになる味です!

街の食堂の他、イロイロの空港でも食べられる名物。
正直、その日の夕焼けの光景は今一つでしたが、良い思い出ができました。
そして、翌日の朝。日課のジョギングをイロイロ川沿いにしていると、屈強な男性たちが走っていました。声をかけて見るとフィリピン軍の方々でした!訓練の最中だったのです。今もイロイロは地域的に防衛の要なのでしょう。

朝から楽しい出会いがあった。
世界遺産の教会とコウモリ保護区
イロイロの郊外にはミアガオという町があります。この小さな町の誇りが1797年に建てられたサント・トマス・デ・ビリャヌエバ教会です。海に面していることから要塞としての役割も果たしていた場所でもあります。厳めしい外観からその様子が今もうかがえます。

要塞も兼用していた教会。
その歴史的価値から”フィリピンのバロック様式教会群”の一つとして、1993年、マニラのサンアグスチン教会などと一緒にユネスコ世界遺産に登録されました。

教会の脇にある見張り台が要塞の面影を残す。
同教会を訪れると、ちょうど結婚式の最中!入口に教会のスタッフがいたので質問しました。
“結婚式はよく行われるんですか?”
「ええ、月に2~3回は行われていますよ」
“日本人カップルでも挙式することができますか?”
「もちろんです国籍は問いません。ただ、カソリック教徒でないとダメですが」
世界遺産の教会の中で結婚式って最高の思い出ですね!カソリックのカップルさん、おススメですよ~。

新郎新婦にとって忘れられない結婚式になった。
「あなた、バット・サンクチュアリ(コウモリ保護区)はもう見た?」
“いえ、行っていません。それ何ですか?”
「この町の教会と並ぶ名物なの。良かったらそこの観光案内所の人を紹介するわよ」
ということで、教会から道路を挟んだ所にある観光案内所へ連れて行ってもらいました。

この観光案内所の人たちも優しかった。
「バット・サンクチュアリかい?この建物の裏の辺りにね、フルーツバットが約7000羽生息しているんだ。生息区域に住む人間はたった500人なんだがね。コウモリの好むヤツデアオギリの木がたくさん生えていて、そこに昼間ぶら下がっているんだ。1960年代から住んでいることが確認されているんだよ。当時の数はもっと少なかったんだけどね」

ヤツデアオギリの木の近くに寄ってよく見ると……。

コウモリたちが一杯いる!
増加するコウモリについて、以前、町では討論を交わしました。「処分すべき」という声もありましたが、ヤツデアオギリの木がこの町で聖なる物とされていて、そこに生息しているということもあり、コウモリを保護する方向で進むことになりました。そして、今ではバット・サンクチュアリとして観光名所になっているのです!
昼間町の木で休んでいるコウモリたちは、夕方になると、一斉に近くの森へ食糧である果物を求めて飛び立って行きます。

こんな風に昼間にコウモリを見たことはなかった。
見所も人情も一杯のイロイロ、そのノンビリぐあいも含め、リピートしたい場所の1つになりました!
