そんな中、ロウソクランタンやオイル/ケロシンランプを楽しむキャンパーもいます。電気的な明かりとは違い“生の火”に暖かみがあって、そして生き物のような揺らぎが自然とマッチする良さがあります。でも、ちょっと待ってください!LEDもオイルランプもいいですが、もっと使って楽しいランタンを忘れていませんか?それが加圧式のガソリン/ケロシンランタンです。
一昔前まではキャンプのメイン照明だった、ガソリンや灯油を燃料とする加圧式ランタン。今となっては絶滅危惧種級にレアになくなってきてしまいましたが、今のランタンにはない素敵な魅力があります。今回は加圧式の液体燃料ランタンの魅力を3つ紹介します。
加圧式ガソリン/ケロシンランタンの特徴とデメリット
最新ギアは小型、軽量、高性能、見た目の良さなどメリットだらけです。自宅の収納スペースや使用時の手軽さなどを考えると最新ギアが正解。でも、数世代前のギアにも良さがあるのです!
1:無骨なつくりと大きさ
加圧式ランタンの魅力はなんといってもその存在感です。LEDランタンとくらべると圧倒的に大きくて重いので、電気で光るランタンと比べて配置したときに道具自体が放つ魅力が違うと思いませんか?
また、空気を圧縮するポンプに燃料注入口、そして光量調整のツマミと、クラシカルなメカ感がたまらなくカッコいいのです。もちろんその分、輸送が大変だったり、取り扱いに気を使ったりとデメリットがありますが、そこは所有感がカバーしてくれます。
2:面倒くさい…でも!
加圧式ランタンは、その名の通り液体燃料を空気を圧縮し、さらに空気と混ぜて霧状にして噴射させ点火します。そのため、「ポンピング」「噴出調整」「点火」「使用中の再圧縮」など、様々な手順が必要になります。
また、光源には「マントル」といって、発光塗料をほどこした合成繊維の小さな袋を用いています。マントルは、使うのにも一手間が必要な上に衝撃に弱い。つまり強い衝撃ですぐに光源が壊れてしまいます。
マントルをガードするホヤもガラス製で、こちらも強い衝撃で割れてしまう可能性があります。しばらく使わない時は液体燃料タンクを空にしておかなければならないし、消耗品の交換も必要になります。
さらには燃料を燃焼させて明かりにするため、火傷をするくらい熱くなるので、使用に注意も必要……といったように、とにかく面倒くさい道具なのです。
でも、EVが未来のクルマだといわれるなかでガソリンのマニュアル車を楽しむユーザーがいたり、電子書籍のほうが便利で安いのに紙の書籍を愛読する人が絶えないのと同じように、ガソリンやケロシンのランタンが持つアナログ感には、ほかにない独特のよさがあり、使うのがとにかく楽しい。所有欲もたっぷりと満たしてくれます。
3:音
加圧式ランタンは、光を放っている時「シュゴーッ」という音を常に出しています。自然の音を楽しみたいという方にとってはちょっと邪魔な音かもしれません。
でも、「必死に光っています!」とアピールしているかのようで、けなげでもあり、自然の中で数少ない自分のギアが発する音を聞いていると、ちょっと守られているような安心感を感じさせてくれたりもします。
取り扱いには注意が必要ですが、これを持ってキャンプ場内の森を散策すると、ランタンが照らしてくれる範囲が自分のセイフティーゾーンのように感じられます。
寒冷地や冬場の利用に強いとか、明かりの色が柔らかいなど、他にもいろいろメリットはあります。でも、加圧式ランタンは何よりも使用時やメンテナンス時に楽しいアナログ感があります。
キャンプ場でレンタルをしていたり、デッドストックや中古、新品でもまだ手に入る圧縮式ランタン。ぜひフィールドで使ってみてください。