なかでも2019年の発表以来注目を集めているのが、「サイバートラック」(Cybertruck)だ。2024年2月15日、日本で初めて披露されたこのEVについて解説する。
ビッグサイズで際立つ大胆なデザイン
「サイバートラック」が2019年に発表されたときは、その斬新すぎるデザインに注目が集まった反面、本当に市販されるのかを疑問視する声も多かった。それでもついにアメリカでの発売が始まり、今回はそれを記念して日本で初披露することとなったしだい。
会場はチームラボとDMM.comが設立したデジタルアート施設「チームラボプラネッツ TOKYO DMM」(江東区豊洲・展示イベントは終了)。EVならではの静かな走行音とは裏腹の圧倒的な存在感で現れた「サイバートラック」は、全長約5.6m、全幅約2.4mという、アメリカ規格のフルサイズボディ。
横から見ると三角形に見える車体は、「ウルトラハードステンレススチールエクソスケルトン」と呼ばれる強力なステンレス素材から成り、優れた防弾能力と衝突安全性を実現したという。
直線的なデザインは、加工が難しいといわれるステンレスの特性を逆手にとったものであり、大きな車体から漂う無機質な印象は従来のピックアップトラックから完全にかけ離れている。しいて言えば、1970年代のモーターショーで展示された、スーパーカーのコンセプトカーに近い。
サバイバルも想定した性能を誇る
強固な車体には3種類のパワートレインが搭載され、それぞれ2WDモデル、4WDモデル、最上級4WDモデルとして販売される。一充電あたりの最大航続距離は、荷台に設置するオプションのレンジエクステンダー(バッテリーパック)付きで755km以上。給電機能も付き、電源のない森や海辺で電化製品を使うことができる。
タイヤは20インチのオールテレイン(全天候型)を履き、432㎜のクリアランスを実現する電子制御式アダプティブエアサスペンション(車高調整距離は100㎜)で過酷な状況の路面を走り抜ける。
ピックアップトラックとしてのポイントとなる荷台は、電動トノカバー付き。容量は1,897ℓと広く、後席をたたんだ最大収納量は3,423.5ℓにもなるという。荷台の最大積載量は1,134kgなので、バイクなどの重量物も無理なく積める。コンセプトカー的なデザインとは裏腹に、発揮する性能や機能はサバイバルをも想定した、超冒険仕様なのだ。
「サイバートラック」の運転感覚は…?
今回のお披露目ではインテリアをじっくりと観察することができなかったものの、大まかな印象はこれまでのテスラ車と同じで、クリーンかつシンプル。17インチの大型タッチスクリーンに運転に直結する以外の操作系を集中し、一般的なクルマの運転とはひと味違う、モダンで快適なドライブ時間を提供する、はず。
仮定の表現としたのは、今回はお披露目だけで試乗が叶わなかったためだ。参考までにBE-PAL取材陣がこれまでに乗ったテスラ車(モデルS、モデルX)の運転感覚をお伝えすると、発進時のパワーは他社のEVと比べて強く、一方で操縦性と加減速の協調表現は自動車メーカーが作るEVよりもアバウトな感じがあった。
ただし、試乗したのは数年前のことであり、テスラ車は随時アップデートしているので、多少は進化しているかもしれない。
全国展示ツアーに行って実車を確かめよう!
ひとついえるのは、テスラは「クルマとの一体感を好む人」と「移動できる快適デバイスを求める人」で、好みが分かれるブランドであること。そこに優劣をつけるべきではないと思うので、皆さんもぜひテスラ車を体験してほしい。
特に「サイバートラック」は、そこにいるだけで周囲の雰囲気を一変させる、無二のオーラに満ちている(その点では実にスーパーカー的な存在だ)。
現時点では正式な日本での発売時期や価格も発表されていないが、ベーシックモデルでも1,000万円前後になるのは確実。サイズも含めて多くのアウトドアズパーソンにとって現実的とはいえないだろうが、遊びや暮らしの未来を提示する興味深い対象として、注目したい。
※今後、「サイバートラック」は全国展示ツアーとして関東、東海、関西、九州で実施予定。開催場所はテスラ ジャパンのX アカウント(@teslajapan)で随時告知予定。
【TESLA Cybertruck】
- 全長×全幅×全高:5,682.9㎜×2,413.3㎜×1,790.8mm
- 0~100km/h加速:2.7秒
- 最高速度:209km/h
- 最大航続距離:約547~約756km(前輪駆動モデル)、約515~約708km(サイバービースト)
※最大数値はオプションのレンジエクステンダーを装着した場合。
問い合わせ先:テスラ ジャパン