大型バイクに乗り始めて数年。ふと「でけぇ山を走りたい!」と思い立ち様々なトラブルや高山病に見舞われながらも(記事最後の「あわせて読みたい」vol.4参照)、
ついに!!インドのヒマラヤにある『標高5600m越えの車やバイクで走れる世界一標高の高い峠越え』を初日で達成したのである!!
1日目でヒマラヤツーリングの目標を達成!!だが…まだまだ冒険は始まったばかりだった
まさかの1日目にして、標高5602mの「車とバイクで走れる世界一標高の高い峠」に到着しちゃったのだ。
普通だったら「それでいいだろ!」と思うところだが、私はこれからヒマラヤ山脈を10日間ほどかけて走る予定だ。まさか、初日でピークを迎えてしまったのではないか?…とすでに燃え尽き症候群になっていた。
明日から同じテンションで走れるのだろうか、余生みたいなツーリングになってしまわないか。そんな不安を抱きながら2日目の朝を迎えた。
高山病の病み上がりでガチガチに緊張していた初日とは打って変わっての「ヒマラヤっすか?もう自分、余裕っす!」と言わんばかりの緊張感のない顔で、朝のミーティングに参加。
そこでチームリーダーから衝撃的な一言を聞くことに。
「今日は昨日より過酷ですが、頑張りましょう!」
『えっ…昨日より?世界一標高の高い峠より?』
「あとレインウェアを着たほうがいいです」
『こんなに天気いいのに雨降るんですか?』
「走り出したら分かるよ」
とりあえず言われるがまま、ワークマンで買ってきたレインウェアを着て出発した。
※ちなみにワークマンのレインコートはバイク用に作られているものもあり、ブーツや長靴の中にイン出来るように足元がマジックテープで調節出来るタイプなど様々な形があり、カラーバリエーションも豊富。そして何よりお値段がお手頃なのでオススメ!
そんな晴天の中、走り出すこと1時間。レインウェアを着込む理由がすぐに分かった。
道のど真ん中に「何個あるんだ?」と驚くほどに大きな水たまり。そしてヒマラヤの雪が溶けて自然発生して出来た川がいくつも流れていたのである。
自然な道過ぎて…どこを走っているのかもう分からん!
もうこれは「道なのか池なのか川なのか…」。道の概念を忘れさせるほどに大きな水たまりや底の見えない川を、水飛沫を上げながらバイクで走っていく。
しかも標高は4000m。昨日よりは標高が低くなったとはいえ、富士山よりも標高が高い。転倒しないよう気をつけながら走るが、どんどん過酷になっていく道。酸素が薄く呼吸がしづらいこともあり、想像以上に体力を使った。
「はぁ…はぁ…ヒマラヤって色んな顔を持ってるんだな…」
たかだが一日走った程度でヒマラヤを知った気になり、余裕をかましていた今朝の自分をビンタしたくなった。ヒマラヤ山脈からも「舐めてもらっちゃ困るわ!」と怒られているようだった。
最初は恐る恐る走っていた私も、水たまりや川にガンガン飛び込んでいった。
途中ワークのレインウェアの上着を脱いで走るほど汗をかいていた。もうガンガン濡れてもいい。小学生だったら「もう洗濯物増やして!」と親に怒られているところだが、ヒマラヤでの私はマリオでいうスター状態。もう無敵だった。
途中「水に飛び込みすぎてバイクが壊れてしまうんではないか?」と心配になったが、さすがヒマラヤ山脈を走る為に作られたバイク【ロイヤルエンフィールドの〝HIMALAYAN″。】
故障一つせず、エンジンを吹かしながらご陽気に進んでいく。
そんな過酷な川渡りにも慣れ「これが本当のスプラッシュマウンテンだわ!楽しい!」とバイクハイになりながら走ること…11時間!
「燃えたよ……真っ白に……燃え尽きた」
ケガなく走れた安心感と疲労感に、宿泊先に到着した頃には〝バイクハイ″ではなくあしたのジョー並に〝灰”になっていた。
そして灰になるほど疲れ果てた私が何より驚いたことは、11時間かけて走った距離が120キロだったということ。
120キロといえば、東京から私の地元である群馬県の赤城山ぐらいまでの距離。平坦な道なら2時間ちょっとで到着出来るであろう距離を11時間もかかってしまったのである。
「くくく、おもしれー山だぜ」
さすが世界のヒマラヤ。それだけ規模がでかい高山だという事に改めて気付かされた。そして「1日で知った気になってすみませんでした!!」とヒマラヤ山脈に深々と頭を下げた。
夕食時「ヒマラヤすごかったです!」と疲労感から語彙力を無くした私にリーダーが一言。
「明日はもっと過酷な道だから頑張ろう!」
……え……ウソ…だよね?
まだまだヒマラヤツーリングは始まったばかり。果たして、ケガなく帰ってこれるのだろうか?
次回もお楽しみに!