この塔ノ岳は山頂に至るのに複数のルートが存在しますが、中でも”バカ尾根”と呼ばれるルートが大変人気です。
正式名称は大倉尾根と言い、大倉バス停から塔ノ岳をひたすらに直登する体力的にも心肺的にもハードな道のりになっています。ただただ、ひたすらに登っていくその様に愛をこめて“バカ尾根”と呼ばれるようになったルートです。
今回はその塔ノ岳と、大倉尾根ルート通称“バカ尾根”を紹介していきます。バカ尾根は、他の山を登る上でのご自身の体力度を測るのに適したルートです。大倉尾根で行われる体力度のテストについても解説しますので、ぜひ参考にしてください。
バカ尾根とは?
バカ尾根とは、神奈川県秦野市にある大倉バス停から塔ノ岳を直登するルートの通称で、正式名称は大倉尾根と言います。
標高差は約1,270mで、標準コースタイム3時間半をひたすら登る心臓が試されるルートです。
しかし、シーズン中にはかなり多くの登山客がこのバカ尾根を通じて塔ノ岳を登ります。その理由はどこにあるのでしょうか。
素晴らしいアクセス
大倉尾根、通称バカ尾根のスタート地点は先述した通り秦野市の大倉バス停付近にある登山口からスタートします。
そのバス停も小田急小田原線渋沢駅の北口から出ており、都心からのアクセスも良好。帰りのバスも多く用意されているため日帰りで登る人が多くいます。
マイカーでのアクセスも素晴らしく、大倉の駐車場へは2022年に新設された新東名高速道路・秦野丹沢スマートICから約5分で到着です。ただ24時間運営の駐車場は限られ、シーズンオフでも早くに満車となる日が多いため、マイカーでアクセスする場合は注意が必要です。
とにかくアクセスが良く、気軽に日帰り登山の計画を立てることができるため、大倉尾根はライトな登山客からも人気を誇っているのでしょう。
中盤から終盤にかけての絶景
道のりは厳しい大倉尾根ですが、序盤は林道をあるく単調なコースです。しかし、そこからは展望の良い道があるため登る人を飽きさせません。
秦野市の街を見下ろすことができ、雄大な相模湾を見渡すこともできます。
天気が良ければ伊豆半島までも見ることができるでしょう。
塔ノ岳の山頂はまさに絶景!
しんどい思いをした後の山頂、それが絶景なら達成感と感動を味わえることでしょう。
塔ノ岳は、まさにその条件を満たした優れた山です。
丹沢の山々の奥に、存在感のある富士山をみることができます。
この自然が生み出す大迫力の絶景を目の当たりにすれば感動間違いなしです!
大倉尾根で体力度チェック!?
大倉尾根はひたすらに登っていくコースであるため、山好きの間では、他の山を登るときに必要な体力を持ち合わせているか否かのベンチマークテストとして用いられることもしばしあります。
ここからは、その目安を詳しく解説していきます。
マイペース登高能力テストとは
長野県山岳総合センターが作成した「マイペース登高能力テスト」では、1時間あたりにどれだけの標高を獲得できるかによって体力度をグレーディングできます。
同じく、長野県と長野県山岳遭難防止対策協会が作成した「山のグレーディング」において、どんなルートをどの程度のリスクで登れるかを指標として確認できます。
以下にある技術的難易度は、「山のグレーディング」に記載のある山を難易度別に分類したものになりますので、ご参照ください。
- 500m/1h 「山のグレーディング」の全てのルートにおいて体力的なリスクはかなり少ない。
- 400m/1h 技術的難易度A・Bの一般登山ルートにおいて体力的なリスクはかなり少ない。C~はもう少し体力をつけてから挑戦しましょう。
- 300m/1h 技術的難易度A・Bの一般登山ルートにおいても体力的なリスクが多少あります。時間をかけて歩けばリスクを少なくすることができます。
- 200m/1h 技術的難易度A・Bの一般登山ルートでも登るには体力が不足しています。
「マイペース登高能力テスト」長野県山岳総合センター:https://www.sangakusogocenter.com/topics/docs/mypace.pdf
「信州山のグレーディング 」長野県公式HP:https://www.pref.nagano.lg.jp/kankoki/sangyo/kanko/gure-dexingu.html#hyakumeizan
大倉尾根のコースタイムに置き換えてみよう
大倉バス停の登山口から塔ノ岳山頂までは、およそ1,270mの標高を獲得する必要があります。
ほぼ登り一辺倒なこのルートは、あくまで目安ではありますが、この獲得標高とタイムを用いて先述した「マイペース登高能力テスト」を実施することができるのです。
ここではわかりやすいよう、目安の時間として計算上の余りや端数などは切り捨てます。
※タイムは登頂までの時間を表しています。
- 2時間30分…「山のグレーディング」全てのルートにおいて体力的なリスクはかなり少ない。
- 3時間…技術的難易度A・Bの一般登山ルートにおいて体力的なリスクはかなり少ない。C~はもう少し体力をつけてから挑戦しましょう。
- 4時間…技術的難易度A・Bの一般登山ルートにおいても体力的なリスクが多少あります。時間をかけて歩けばリスクを少なくすることができます。
- 6時間…技術的難易度A・Bの一般登山ルートでも登るには体力が不足しています。
これらを長野県と長野県山岳遭難防止対策協会が作成した「山のグレーディング」に合わせて参照すれば、ご自身が今どんな山に登ることができるのかをチェックすることができます。
自分に合った楽しい登山を!
登山において、無理は禁物。自然の絶景を楽しく見るには、自分の体力に見合ったルートを見定める能力が必要不可欠です。
大倉尾根、通称“バカ尾根”でテストしてみましょう!