魚の居場所が明確な渓流域と違い、本流域では狙うべき場所が定まりにくいです。しかし、釣れた際の感動はひとしお。
今回は、そんな本流域でのルアーフィッシングのコツを解説します。
本流域と渓流域の違いとは?
そもそも、川の「本流」とはどのような場所を指すのでしょうか?
国土交通省の「川のことば」(https://www.kkr.mlit.go.jp/fukuchiyama/river/seibikeikaku/iinkai/siryou02/cfgovr0000000r4x-att/y_1.pdf)によれば、「一般的に、最も上流に源流を持ち海へ注ぐ河川を本流、本流に合流する河川を支流」と言うそうです。
ただ、今回はあくまでも釣りとしての本流域と渓流域の違いですので、ここでは本流域を「大きくて太い流れの場所」とし、渓流を「谷川など流れの早い場所」と区別したいと思います。
実は初心者に向いている?
ズバリ、本流域で釣果を得るのは難しいです。というのも、日頃から釣り人が入っている場所が多いため、魚がルアーを見飽きているのがその一因です。
しかし、初心者の方に向いている面もあります。
それは、渓流域に比べて河川敷の整備が行き届いているために、エントリー(釣り場に入ること)しやすいこと。また、駐車場所からポイントまで近いことが多いため休憩も取りやすい上、道具類のトラブルにも対応しやすいことも、初心者の方に向いている点です。
これから釣りを始めるという方は、「最初の1日目」を本流域から始めるのも悪くありません。
本流域のタックル(釣り具)
まずは、本流域での釣りに際してどのようなタックルを選べばいいかを紹介します。
今回は、「深場をじっくり探る釣り」を想定してご紹介します。※なぜ「深場をじっくり探る釣り」が本流域でおすすめなのかについては、後述します。
ロッド
深場をじっくり探る釣りの場合、ロッド(竿)は長いほど有利です。というのも、ロッドを構える位置が高くできて、本流域の好ポイントである深場を探りやすくなるからです。
しかし、長くて重いロッドを1日使うと疲労感もそれなりになります。
基本的には8ft~9ft台で、体力に自信がある方であれば9ft以上にする、というのがいいでしょう。
リール
水流による巻き抵抗の大きさ、そして大物が釣れる可能性を考慮すると、リールは渓流域で使うものより大型がおすすめです。
2500番~3000番がいいでしょう。
ライン
ポリエチレンの撚糸であるPEラインは非常に強度があり、細いラインを使用できます。本流域ではルアーを沈める釣り方をするため、水の流れのなかにラインが入る細いラインがおすすめなのです。
そして、水の抵抗などを考慮すると、PEラインの0.8号~1.0号くらいがおすすめでしょう。
しかし、PEラインは結び目の強度が弱い、という欠点があり、緩衝用のライン「ショックリーダー」を組み込む必要があります。
そのため初心者の方は、そのまま使用できるナイロンラインの2.5号程度から始めても大丈夫です。
ルアー
ルアーは、6cm~8cmのミノーか、15g前後のスプーンがおすすめです。
ミノーとは小魚を模したルアーで、水流を受けることで小刻みに泳ぎます。本流域では川底を探る釣り方をすることになるため、よく沈む「ディープシンキングタイプ」という種類がおすすめです。
一方スプーンは、その名の通りスプーンの形状をしているルアーで、金属製のためよく沈みヒラヒラとゆったり動作するのが特徴です。
ミノーはルアーのアピール力が強いため、「食い気のある魚」を手早く探りたい方におすすめです。スプーンは、重さの力でラインが受ける水流の抵抗を相殺することができるので、ナイロンラインを使用する方におすすめです。
本流域ルアーフィッシングの注意点
なお、河川での釣りは遊漁券が必須になります。1日だけなら日釣り券、本格的に挑戦するのであれば年券がおすすめです。
また、本流域では川に腿~腰まで立ちこむ釣り方が多くなります。ウェーダー、いわゆる胴長の着用は必須です。
ソールは、あらゆる状況で汎用的にグリップ力を発揮する「フェルトスパイクソール」がおすすめです。
魚は深場にいる
広大な本流域ではどこに魚がいるのか分かりづらいのですが、深場こそが本流の一番のポイントと言えるでしょう。
盛期の夏であれば「瀬」と呼ばれる白波の中で釣れることもありますが、瀬は人間にとって暴風域と言えるような環境です。
捕食などの理由があって魚がいることもある、と予測できますが、日常的にそこで魚が生活しているとは考えづらいです。
私は、魚は居心地のいい深場でじっとしていると考えています。
探り方のコツ
そんな、一番のポイントである深場の探り方のコツを紹介します。
ルアーを沈める
まずはルアーを沈めます。
ルアーを沈めるためには、上流側へキャストします。
通常、キャスト後はラインを巻いてルアーを動かしますが、ラインが張るとルアーが浮き上がってしまうので、巻きすぎないのがコツです。
また、水の流れがラインを浮かせる働きをしてしまうので、ロッドを高く構えてラインを水の外に出すことが重要です。
沈ませるが沈ませすぎない
ここが、本流域の釣りにおいて一番難しいところです。
着水から少し経つと「コツコツ」という感触が伝わってくるはずです。これは、ルアーが川底を転がる感触です。
しっかり沈められている証拠ですが、川底を転がっているということは、石などの障害物にルアーが引っかかってしまう「根掛かり」が発生しやすくなるということでもあります。
根掛かりを避けるために、コツコツを感じたらロッドを軽く煽りルアーを浮かせます。これを繰り返しながら、川底スレスレをルアーが流れていくように調整します。
反転……その瞬間に食いつく
ルアーを流していくと、やがて下流側でラインが張り、ルアーが水の抵抗を受け泳ぎ始めます。
このタイミングがルアーの反転で、魚が食いつく確率が最も高いです。「ルアーの反転」とは、上流から流れてきたルアーが、ラインが張ると同時に釣り人のほうを向くことを言います。
流れてきたルアーを魚が発見し、「あれは何だ?」と追いかけ、ルアーが反転して泳ぎ出した瞬間に反射的に食いつくのだと私は考えています。
本流域には大物の感動がある
大きい魚を釣るという意味では海釣りに軍配が上がりますが、大型の川魚には感動があります。
渓流域よりも難しいといわざるを得ない本流域のルアーフィッシングですが、感動を覚えるほどの魚を手にする挑戦をしてみませんか?
Youtubeチャンネルあります。