多様な植物と野生動物に癒やされて
水と緑の街、シアトルを象徴するような公園
シアトルと言えば、スターバックスの本拠地。日本の店舗に立ち寄ると、店内の壁いっぱいに広がるウォールアートに、湖を一周する人々、自転車、緑豊かな自然が……。シアトルの風景をイメージしているようです。
「これって、もしかしてグリーン・レイクなのでは?」
グリーン・レイクは、シアトル市内北部の住宅街に広がる湖。湖畔一帯は緑あふれる公園として整備され、湖沿いを一周する4.5キロのトレイルは地元民のお気に入りです。5万年前に氷床によって形成された氷河湖のひとつだそう。
生まれたての赤ちゃんからウォーキングに精を出すシニアまで、トレイルには幅広い顔ぶれ。歩きながら、あるいは走りながら、春は桜などの花々、夏は緑、秋は紅葉と、四季折々の自然を満喫できるのが魅力です。多様性に富む周辺の植物は数百種とも言われ、「クロマツ(Japanese Black Pine)」との表示を見つけてビックリしたことも。1年を通して自然の息吹が感じられる市民の憩いの場となっています。
野球場、サッカー、バスケットボール、テニスなどのコート、コミュニティーセンターとプール施設、トイレを完備。さらに、さまざまな遊具が配された子どもの遊び場もあります。
いざ、湖沿いのトレイルへ!
この公園は、ほぼ360°どこからでもアクセスできるのがポイント。公園を囲むように道路が走り、高級住宅が並び建つ中、入り口は限定されていません。ただ、東に位置する駐車場近くに設備が集まることから、ここを起点とするのが一般的です。
まずは道路側から、遊び場や運動場すべてを素通りして湖沿いまで歩きましょう。やがて、舗装されたトレイルに突き当たります。筆者はウォーキングの際、いつも反時計回りで一周しますが、もちろん時計回りでも、一部だけの往復でもOK。好みのスタイルで、いつでもどこからでもスタートできます。
野鳥の大群を横目に進むと、右手に貸しボート屋さんが見えてきます。暑い日には、ここで販売されている冷たいアイスクリームやドリンクを目当てに列ができることも。広々とした芝生の上には、のんびりとピクニックや読書、日光浴、昼寝でリラックスして過ごす地元民の姿があります。
この辺りはトレイルで最も人出があり、晴れた週末ともなればかなりの密集度。逆に、ここさえ抜ければ混雑は皆無とも言えます。
美景を眺めながらのハイキングで気分爽快
トレイルは歩行者が左側、それ以外が右側通行と決まっています。アップダウンもなく、ひたすら平坦な舗装路は、ベビーカーの赤ちゃんの外気浴や自転車を練習中の幼児にうってつけ。車椅子、歩行器・歩行車にも親切な設計です。犬の散歩をする人、はたまたジョガー、ハイカーが通る横を、たまにローラーブレードや自転車がサーッと追い越していきます。
春は桜や水仙といった花々が見頃を迎え、目に鮮やか。小鳥のさえずりもあちこちから聞こえてきます。青空を映し、光を受けてきらきらと輝く湖の美しさは言うまでもありません。
自然の中での生き物観察もグリーン・レイク・パークの醍醐味。渡り鳥の飛来、亀の甲羅干し、カルガモ親子の行進も、季節の風物詩です。子どもだけでなく、大人もスマートフォンを取り出しながら大興奮! 水中には魚も生息し、南端のポイントではマス釣り、バス釣りに興じる人たちをよく見かけます。
じつはこの日、ちょっとした騒ぎがありました。トレイルから少しそれた木陰で、親子連れが立ち止まって何かを見上げています。それに気付いた若者グループ、筆者と、どんどん人の輪が後ろにでき……私たちが見守っていたのは、1羽の立派なハクトウワシでした。
北米の水辺に生息するハクトウワシは、白い頭部と尾が特徴的なアメリカの国鳥。数分の間に、迫力の滑空も目撃でき、まさにレアな体験となりました。
一周してスタート地点に戻ったら、目の前のスターバックスでひと休みしましょう。程良く汗をかいたあとは、ひんやりドリンクでクールダウン。この界隈は飲食店がそろい、喉が乾いた人にもお腹を空かせた人にも、そして冷えたビールでプハーッといきたい人にも、さまざまなオプションがあります。誰もが訪れる有名観光地とはまた違う、普段のシアトルを発見してみませんか?
■グリーン・レイク・パーク
7201 E Green Lake Dr. N, Seattle, WA 98115, USA
https://www.seattle.gov/parks/allparks/green-lake-park