この時期、海岸へ行くと波打ち際に海藻が打ち上がっているのを見かけます。打ち上がった海藻を見ると不思議な形をしているものや色鮮やかなものなど、さまざまな海藻を見かけます。
今回はこのように漂着した海藻を見ていると出会える「カゴメノリ」という海藻の話をお送りします。
カゴメノリってどんな海藻?
カゴメノリは沢山の輪が集まったような不思議な形をしています。
籠(かご)の目の形をしているので「カゴメノリ」という名前になったと言われています。
カゴメノリは冬~春にかけて大きく育ち、浅い海の潮流がない穏やかな海底に見られます。手で握ると崩れてしまいそうな、お菓子のシュー生地の手触りに似ています。
カゴメノリと海の生き物
カゴメノリをよく見ると、生き物たちが隠れています。
カゴメノリの穴から顔を出すタツノオトシゴの仲間、タツノイトコです。
カゴメノリの上で小さな生き物が動いていました。ハマタニミドリガイというウミウシの仲間です。
カゴメノリに着底するリュウグウハゼです。このように生き物たちは、カゴメノリを隠れる場所として活用しているのです。
海藻から白い煙?
カゴメノリが大きく群生した頃、海底から白い煙のようなものが見えました。
海底付近のカゴメノリは茶色が抜けて朽ちているようです。
白い煙のようなものを撮影してみると小さな白い粒が見えました。カゴメノリの遊走子(ゆうそうし)です。遊走子とは無性生殖の際に用いる胞子の仲間で、様々な海藻が同じような方法で命を繋ぎます。
地球温暖化の影響による海水温上昇や沿岸の埋立なので海藻が減少していると言われていますが、このように海藻が命を繋ぐ珍しいシーンを見ることができました。
来年も立派なカゴメノリに出会えるのが楽しみです。
撮影協力: ダイビングショップSB
陸編
海藻から遊走子が見られる頃、陸上でも命を繋ぐシーンが見られます。風が吹く晴れた日、地面から出てきたつくしは胞子を飛ばしていました。