山岳テント「最強」の条件
『最強』の山岳テントの条件とは何でしょうか。その答えは、『軽量性』『居住性』『耐久性』の三つです。まずは、山岳テントに欠かせない条件と、その理由について詳しく解説します。
持ち運びやすいサイズと軽量性
山岳テント第一の条件は、携帯性です。登山では全てのギアを背負って移動するため、体力を温存できるように、できるだけ身軽な装備にする必要があります。
体の動きを制限されることなく自由に動けるよう、コンパクトであることも重視しましょう。負担を減らすことで、より安全に行動できるようになります。
また、山岳地でのテント設営スペースは、樹木や岩などの障害物があったり、傾斜がついていたりすることもあります。キャンプサイトのように広々と使えるとは限らないため、狭いスペースにも適応できるコンパクトなテントが便利です。
人数や季節に合った居住性
利用する人数や季節に適した居住性も、重要なポイントです。一般的に、テントに記載された収容人数は最大使用人数なので、ゆとりを持つなら1人でも2人用テントがちょうどよいでしょう。
山岳地帯は大型テントの設置には不向きなため、大きくても2~3人用テントが目安となります。グループで登山する場合は、複数のテントを用意しておくことをおすすめします。
また、季節に応じた機能を備えていることも大切です。冬用のテントは機密性を重視し、風や寒さを防げるものを選びましょう。一方、春から秋にかけては、通気性の高いテントが適しています。
強風や雨に負けない耐久性
山岳地帯は、強風や突然の雨に見舞われることも多いため、テントの耐久性は非常に重要です。
構造がしっかりしていても、高さのあるテントほど風にあおられやすくなります。高所では風が強まることが多いので、風を受け流しやすい形状のものを選びましょう。
さらに、日本のように雨が多い地域では、インナーテントとフライシートの2重構造になった、ダブルウォールのテントがおすすめです。雨水が内部に侵入するのを防ぎやすくなり、雨天時でもテント内を快適に保てます。
【軽量性】最強の山岳テント4選
山岳テントは軽量性が重要ですが、かといって機能を無視するわけにもいきません。そこで、超軽量かつ高性能な山岳テントをピックアップし、その特徴を紹介します。
ビッグアグネス「フライクリークHV UL1 ソリューションダイ」
UL(ウルトラライト)テントとして大人気の、ベストセラー商品です。総重量は約907gと超軽量ながら、居住性の高いダブルウォール仕様になっています。
インナーテントはメッシュになっているため通気性がよく、湿気や熱気を逃がしやすくなっています。春・夏・秋の3シーズンを通して活躍するでしょう。
屋根に傾斜が付いていて、内部は入り口側のみ約102cmの高さを確保できます。テント内で座って食事を取る際でも、首を起こしておけるのでストレスがありません。
別売りの『フットプリント』というシートを敷いて、フライシートとポールのみで素早くシェルターを設営することも可能です。
- 商品名:ビッグアグネス「フライクリークHV UL1 ソリューションダイ」
- ビッグアグネス公式サイト:商品はこちら
MSR「ハバハバシールド」
約1,470gという軽さにもかかわらず、非常に高い性能を持った山岳テントです。
ポールの弾力性が高く、軽い力でもしなやかに曲がって元にもどります。強風をうまく受け流せるため、強風時も安心して過ごせるでしょう。
フライシート・フロアシートには、独自開発した『エクストリームシールド』加工が施されています。一般的なコーティングよりも約3倍効果が長持ちするとされており、高い防水性を実現しました。
ベンチレーションや入り口を開け閉めすれば風通しがよくなり、結露を防止できます。
- 商品名:MSR「ハバハバシールド」
- MSR公式サイト:商品はこちら
プロモンテ「超軽量アルパインテント」
「軽さと強度のバランスがよいテントが欲しい」という人には、プロモンテの『超軽量アルパインテント』がおすすめです。
2人用で約1,510gとほどよい軽さで、雨天時にも使いやすいダブルウォールテントです。オプションの外張をかぶせれば雪山にも対応可能になり、年間を通しての登山やトレッキングに使用できます。
ポールが交差している部分を半固定し、テントの隅をスリーブにポールを通して固定することで、風を受けても破損しにくい構造です。テントの内部には特殊なシーム処理が施され、雨天時の浸水を防ぎます。
- 商品名:プロモンテ「超軽量アルパインテント」
- プロモンテ公式サイト:商品はこちら
プロモンテ
超軽量アルパインテント
サイズ:間口205×奥行90×高さ100cm 収納サイズ:本体25×ø14cm、ポール/43×9.5cm 重量:約1190g(総重量1340g)
ライペン「SLソロ」
メーカー最軽量となる、本体・フライシート・フレームを合わせて約900gのソロ用テントです。専用のアンダーシートと合わせても約1,050gという軽さを誇ります。
本体とフライシートを収納すると約25×19×8cm、フレームはたたんだ状態で約38cmになり、リュックの容量も節約できます。体力を温存しながら、テントを担いで身軽に登山を楽しめそうです。
従来のテントよりも布地が薄くなっていますが、ダブルウォール仕様によって居住性の高さが確保されています。天気のよい日であれば、問題なく使用できるでしょう。なお、こちらの商品は2024年6月に発売予定です。
- 商品名:ライペン「SLソロ」
- ライペン公式サイト:商品はこちら
アライテント
SLソロ
設営時サイズ:間口205cm×奥行90cm×高さ95cm(前室張出38cm) 収納時サイズ:25X19X8cm(フレーム38cm) 重量:980g
【居住性】最強の山岳テント2選
厳しい自然環境下での登山では、就寝中にしっかり体を休めたいものです。そこで、スペースを広く取れる、居住性の高さが特徴の山岳テント2選を紹介します。
ライペン「エアライズ1」
1人用テントとしてはやや幅広で、短辺が約100cmあります。フライシートとインナーテントの間にできた空間を前室として使えるため、ゆったりとした居住空間を確保できます。
収納すると本体は約29×14cm、ポールは約38cmとコンパクトになり、移動時に邪魔になりません。耐久性が高く、軽量な素材が使われており、総重量は約1,360gとなっています。
ポールは全てショックコードでつながっており、インナーテントへの固定はスリーブに通すだけです。設営が容易であるため、初心者から上級者まで幅広く支持されています。
- 商品名:ライペン「エアライズ1」
- ライペン公式オンラインストア:商品はこちら
アライテント
エアライズ1
重量:1360g(本体+フレーム+フライシート) 設営時サイズ:間口100×奥行205×高さ100cm 収納時サイズ:本体29×14Φcm、フレーム38cm
ファイントラック「カミナドーム2」
その名の通りドーム型で、風や雪に強い構造となっています。2人用の広々とした空間があり、居住性と快適性が追求されているため、長期の登山やキャンプに最適です。
前室が広く取れるので、靴や荷物置き場として使えます。フライシートは前室を張ったまま開閉できるダブルファスナー仕様で、雨風が強いときの出入りに便利です。
入り口のメッシュ窓を開ければ風通しがよくなり、結露や湿気対策に効果的です。耐水圧はフライシートが約1,600mm、フロアシートが約1,800mmで、ぬれた地面や雪の上に設営しても水を通しません。
- 商品名:ファイントラック「カミナドーム2」
- ファイントラック公式オンラインストア:商品はこちら
ファイントラック
カミナドーム2
https://www.finetrack.com/c/gear/gear-tent/gear-tent-kamina-dome/FAG0312
【コスパ】最強の山岳テント2選
初めて山岳テントを購入する場合、自分にとっての最強テントの条件があいまいな人も多いでしょう。そんなときには、予算に配慮した定番テントから選ぶのも一つの方法です。
モンベル「ステラリッジテント1」
お手頃価格でアウトドアギアがそろう、モンベルの山岳用テントです。本体パーツをポールに引っ掛けるだけの吊り下げ式で、組み立てに迷うことがありません。登山初心者でも、素早く設営できるでしょう。
ポールの交差部にジョイントパーツを使うことで、スリーブ式テントに劣らない防風性能を実現しました。試験により耐風性が実証されているため、突然の悪天候にも対応できる安心感があります。
なお、こちらは本体のみの商品です。はっ水加工はしてありますが、雨の日に使うのであれば、『ステラリッジ テント1 レインフライ』を別途購入しておきましょう。
- 商品名:モンベル「ステラリッジテント1」
- 公式オンラインストア:商品はこちら
mont-bell(モンベル)
ステラリッジテント1
【素材】本体:10デニール高強力ポリエステル[はっ水加工]
フロア:30デニール・バリスティック®ナイロン・リップストップ[耐水圧1,500mmウレタン・コーティング]
ポール:アルミニウム合金(ポール径)∅8.5mm
【本体重量】0.80kg(1.00kg) ※別売のレインフライを含む重量は1.14kg(1.34kg)
ニーモ 「アトム オズモ 1P」
初心者が最初に購入する山岳テントとして、開発されたテントです。シンプルで扱いやすく、高い居住性と耐久性を備えています。
フロアシートは約90×210cmの広さがあり、寝るスペースのほかに荷物を置くスペースも取れます。中央の最も高い部分は約105cmの高さがあるため、狭さを感じることもほとんどないでしょう。
また、後部には大型のベンチレーションがあります。フライシートのベンチレーションは、テントの内部から開けられるため、気になったときに小まめに換気できます。
- 商品名:ニーモ 「アトム オズモ 1P」
- ニーモ公式サイト:商品はこちら
まとめ
登山ではできるかぎり負荷を減らしておきたいため、テントは軽量でコンパクトであることが基本です。十分な休息を取るためには、使用環境に応じた広さや機能も重要になります。
また、山岳地帯は管理されたキャンプサイトと異なり、必ずしもテントを設営しやすい場所とは限りません。天候が急に悪化することもあるため、防水・防風など耐久性も考えておく必要があります。
初めて山岳テントを購入する場合は、機能と価格のバランスのよいものを選ぶとよいでしょう。自分の活動スタイルに合うテントの条件が分かったときに、最強の山岳テントを選べるはずです。