お散歩しながら危険なところをチェックしておこう!
未来防災課 斎藤啓之さんファミリー
What is 未来防災課
東日本大震災を機に立ち上げた防災webメディアで、防災士の斎藤さんと、カレーを愛する竹中さんが運営。ぼうさい散歩や被災者にインタビューした防災知識を届ける。https://miraibo.net/
未来防災課ファミリーが行く!
“ぼうさい散歩”この聞き慣れないワード、知ってますか?
「いろんな街に行って、“被災したらどこに逃げるか”を考え、散歩しながら、その街の避難方法を検証するんです」
と話すのは、’15年からこの活動を続けている、未来防災課の斎藤さん。普段は何も見ず、動物的勘を働かせて歩き回り、最後に街の防災マップを広げて答え合わせをしている。今回は、家族で家の近所のぼうさい散歩に挑戦し、防災マップを作ることに。
「子供には何もないとハードルが高いので、地図を見ながら、避難しようと思います」
今回家族を率いるのは小学1年生(3月当初)の悠月ちゃん。
父「いま、ここにいるよ。地震がきた! どこに逃げる?」
地図を見て考える悠月ちゃん。
娘「駅! 家に帰るでしょ?」
父「災害が起きると、まず駅に向かう人が多いから、行き交う人でパニックになるんだよ。家に帰るよりも、まずは安全な場所に避難することが大事」
娘「じゃあ、ここ」
悠月ちゃんが指さしたのは、大きな緑のマーク。公園だ。
父「それじゃ行ってみよう」
狭い道を避け、なるべく広い道を通って進んでいく。
父「この道は?」
娘「なんか、壁が高くて怖い」
父「学校があるけど寄る?」
娘「ガラスの窓がいっぱい…」
父「落ちてくる危険があるね」
危険ポイントをチェックしては、地図に書き込んでいく悠月ちゃん。1㎞ほどの道のりだったが、ゴールの公園まで1時間ほどかかった。
父「ここが避難場所。ここで安全を確認したら、次は避難所の小学校まで戻ってみようか」
娘「普段は危ないものないって思ってたけど、地震が来るといっぱいあるんだね」
次の休日に子供とご近所ぼうさい散歩、試してみませんか?
防災マップに必要な情報集め、START!
現在地をマップ上で確認し、目標とする避難場所を決める。悠月ちゃんはこの辺で一番大きな公園を選択。
1.道幅を確認だ!
幅が狭い道は危険度が高い。とくに身長より高いブロック塀などがあると、倒れてきたとき逃げられないので回避すること。
2.避難できそうな場所を把握する!
都立の高校を発見。看板には一時集合場所(避難所ではない)となっているので、家族の待ち合わせ場所として目印にするにはいい。
3.電柱の数を視認する!
電柱が多い場所も要チェック。電柱が倒れたり、電線が切れて感電の恐れもある。上部の大きな柱上変圧器が落下する危険も!
頭上にある危険も察知
4.井戸の位置を知ろう!
災害時の非常用水として、個人や地域で災害用井戸の需要が高まっている。飲用はできずとも、生活用水として使えるので、場所をチェック!
災害時の使用認定あり!
家族で並んで歩けるぐらい広い歩道がいいね
今回歩いた品川区では、無電柱化された道路が続々と整備化・計画されている。防災はもちろん景観も美しい。
避難場所の目印看板をチェックしよう
公園の入り口に掲げられた看板には、「広域避難場所」の文字が。悠月ちゃんが避難場所として選んだのは大正解!
5.避難場所に到着!!
1時間弱で避難場所に到着。娘「急いで近道するだけじゃダメなんだね」。父「危険な場所と、安全な道をちゃんと地図に書いておいてね」
よーく見るとこんなところにも防災ギアが!
給水施設の目の前に設置されていたのは、なんとかまど! 普段は公園のベンチとして使われ、災害時にはかまどに変身。
6.給水施設は重要ポイント!
公園内にある災害時の給水施設。ひとつの区に多くて5〜6か所設置されている。水道局のホームページで場所を確認できる。
散歩中に発見したのは小さな防災広場
街中の数か所に設置されている防災広場。名前のどおり、災害時には避難場所や緊急物資の集積場所などに。
道が広くても自分の背より高い塀は危険!
外側から調べられるブロック塀の危険度は、傾きやひび割れ、表面に茶色のにじみが出ているものも要注意。
7.家屋の密集地帯をチェックしよう!
建物の倒壊ととともに都心で怖いのは火事。家屋が密集している場所は、火災の際に逃げ道を塞がれるので、通らないようにしよう。
GOAL
8.避難所に到着
避難場所で危険が去るのを待った後、避難所に移動。基本、区立の小中学校は地元の人の避難所、都立の学校は帰宅困難者の避難所だ。
斎藤一家の持ち出し袋拝見!
↓
火災の際の煙よけゴーグル、ヘッドランプ、瓦礫から足を守る極厚のインソール、防刃グローブ、折りたたみ式ヘルメット、水、除菌アルコール、簡単なファーストエイドを一式保存袋に入れ、家族4人分玄関に並べている。「安全に避難するための道具なので、会社にも置いておきたい」
防災マップを「楽しく作る」五か条
1 わかりやすい目標を設定する
2 迷路を歩く気分で道を選ぶ
3 ときには寄り道して休憩もあり
4 気づきはその場で書き留める
5 記憶が新しいうちにマップを作る
※構成/大石裕美 撮影/小倉雄一郎
(BE-PAL 2024年5月号より)