大型バイクに乗り始めて数年。ふと「でけぇ山を走りたい!」と思い立ち、インドにあるヒマラヤ山脈まで走りに行ってしまった女の記録であるこの【爆夢旅】もついに第6弾!
今回は番外編!と称し、標高5600m越えの峠を経験した私がヒマラヤで驚いた事を発表したいと思う。
その1!トイレ…全然ない上に、視界が良すぎて隠れるところもないっ
まずはトイレ。トイレの衛生面は日本に比べると残念な場所が多く「トイレットペーパーがないところが多いので、日本から持って行った方がいいよ!」と聞いていたが、話が全然違った。何故ならヒマラヤ山脈にはトイレットペーパーどころが、トイレがないのだ!
そんなに多くはないだろうな…と思ってはいたが、ここまで無いとは、予想だにしていなかった。これはもう“野ション”をするしないのか…。私は38歳という「ドラえもん」でいうのび太の母親と同い年。立派な大人だ。そしてまだ嫁入り前。なるべくなら“野ション”は避けたい。
しかし、標高が高くなればなるほど、身体の水分が勝手に蒸発していく。脱水症状や高山病にならないように1日6リットルの水分を取らなきゃいけないのだ。常に水分を摂取できるドリンクバックを背負いながらのバイク走行。しかも高山病にならないようにと予防薬も飲んでいたが、この薬にはなんと利尿作用があり、頻繁にトイレに行きたくなってしまった。
最初はトイレぐらい我慢出来るだろうと思っていたのだが、これがなかなか難しいことがすぐに分かった。身体に負担をかけないようにと、ツアースタッフのインド人にすぐさま質問。
「近くにトイレある?」
「10キロ先にあるよ!」
「うーん…ギリ間に合うかな…」
「ギリギリなら、トイレ用のテントを張るからここでするかい?」
「…テント、ノーノー!レッツゴー!」
こんな時の為に、ツアースタッフがトイレ用の簡易テントを用意してくれていたのだが「私、今ここでトイレしてます!」と分かるのが恥ずかしかったので我慢した。そして10キロ先のトイレを目指すことにした。
どうにか間に合わせたい。ところが相手は、泣く子も黙る過酷なヒマラヤツーリング。ガタガタ道のオフロードが続き、ちょっとやそっとじゃ目的地に到着出来ないっ。
「早く着け!早く着け!」とツーリングのはずが、いつしかスピードレースに変わっていった。
ただ、少しでもスピードを出すと、バイクの振動も相まって膀胱が悲鳴を上げるのだ。あぁ…限界突破ギリギリ。このままではヤバイ!「私、もう覚悟は出来てます!」と、今から闘いに行くような凛々しい顔で“野ション”を選ぶことを宣言した。
すぐさま用を足せそうな場所を探してみたのだが、ここでも問題が…。標高が上がれば上がるほど荒地になるヒマラヤ山脈。木がほとんど生えていない。お尻を隠せるような場所がないのだ。
ここでもツアースタッフが「テントを立てるよ!」と言ってくれたのだが、“野ション”は大丈夫なのに「テントはとにかく恥ずかしい」という変な乙女心が。
もうここまで来たら「仕方ない。遠くからなら尻の1つや2つぐらい見られてもいいだろう」と人目から少し離れた場所まで歩き、何とか用を足すことができた。ホッ。覚悟を決めた女は強かった。
ちなみに…トイレペーパーの代わりにお尻拭きを常備していた。ビニール袋を持ち歩きゴミを入れ、宿泊先に着いてから捨てるようにした。一度アルコールが入った除菌シートで拭いたら、スースーし過ぎちゃってたいへんな事に…皆さんも気をつけて!
その2!シャワーが浴びられない&メイクどうしたらいいんだー
続いて、お風呂問題。標高4500mまでは茶色く濁ったお湯でシャワーを浴びる事が出来たが、4700mを越えるとお湯も出なくなり、宿泊先に電源もなくなった。「テレビもねぇ!風呂もねぇ!工事現場はツルハシだ!」という場所で、3日間風呂無しの状態で過ごした。
そのときに役に立ったのが〝ドライシャンプー”だ。私はTHE ALFEEの高見沢さんぐらいの長さがあるロングヘアー。日本でも一日お風呂に入らないだけで髪がパサパサになってしまう。しかもヒマラヤの砂埃は視界が真っ白になるほど凄まじく、1日走り終えた髪はギシギシのバッサバサになり、安いウィッグかのようになっていた。
こんな時にはドライシャンプー!なのだが、昔使った事があるものに良い思い出がなく…今回購入して持って行っていたドライシャンプーも「風呂に入らないよりはいくらかマシだろう」と期待していなかった。
ところが「え?今ってこんなに進化してるの?」と前言即撤回。今すぐ謝りたくなるぐらいに爽快感があり、サラサラヘアーになったのには驚いた。そんな進化したドライシャンプーのおかげで、お風呂に入らなくても不快感なく数日過ごす事が出来たのはありがたかった。(身体は汗拭きシートとおしり拭きで拭いた)日本に帰国後すぐ、自宅の防災グッズにドライシャンプーを追加したのは言うまでもない。
あと私の中で重要だったのがメイク事情だ。標高が高くなればなるほど、呼吸もしづらく高山病にもなりやすい。そんな環境下にいるにも関わらず、私は3度の飯より「つけまつ毛」が大好きな女。気合い入れる為にもどうしてもメイクをしたかった。
そこで驚いたのは、標高が高ければ高いほど「つけまつ毛」を付けるノリがすぐに乾いてしまうということだった。これはびっくり。そうなると瞼に「つけまつ毛」を付ける事が出来ない。いつもだったら「つけまつ毛」にノリを付けて、時間を置いてから瞼に付けるのだが、ヒマラヤでは瞼にノリを直付けし、すぐさま「つけまつ毛」をくっつけるという荒技で、なんとかやり過ごした。(良い子は絶対マネしないでね!)
その中でもD-UPのつけまつげ接着剤「アイラッシュフィクサーEX 552」は一度つけたらなかなか外れず、ヒマラヤ山脈でも素晴らしい仕事をしてくれた。ありがとう、D-UP。これからもよろしく、D-UP。
そして何よりヒマラヤツーリングは体力だけではなく、肌にも過酷だった。標高が高くなればなるほどカラッカラに肌が乾燥。粉も吹き、唇もパックリ割れた。紫外線も強いため、どんなに日焼け止めを塗っても、ヒリヒリと日焼けをしてしまったのである。どうにか抗おうと毎日朝夜美容パックをしていたが、パックをして1・2分経つとシートがカピカピに乾燥してしまうのには本当に驚いた。
『そうか、私は思い出とシミを作りにヒマラヤに来たんだ』
そんなことを思いながらヒマラヤツーリングを堪能してきた。我ながら今ある顔のシミは、ヒマラヤツーリングを達成した勲章のようで愛らしい。そんな驚くことが多かったヒマラヤツーリング。
この爆夢旅でもお話したが『標高5600m越え!車やバイクで走れる世界一標高の高い峠越えを達成』、そして『ヒマラヤ山脈の雪が解け、自然発生して出来た川下りも怪我なく走り終えた話』がまだヒマラヤツーリングを開始してから2日しか経ってない…という事実が1番の驚きである。
ここから10日間ほどかけて、本格的に過酷なヒマラヤツーリングは展開されていく。
“野ション”でまた一つ成長した、独身38歳の女は無事に怪我なく走り切る事が出来るのだろうか!?
次回も乞うご期待!!