このクルマ知ってる?軽EV「ASF2.0」はたっぷり積めてよく走るぞ!
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    2024.04.16

    このクルマ知ってる?軽EV「ASF2.0」はたっぷり積めてよく走るぞ!

    このクルマ知ってる?軽EV「ASF2.0」はたっぷり積めてよく走るぞ!
    日本のEVベンチャー「ASF」が、佐川急便と共同で製品企画を行い、開発と製造を中国企業「五菱(ウーリン)が受け持つことで完成したのが「ASF2.0」。

    ボディサイズやパフォーマンスは軽自動車規格に入る商用バンであり、日本の配送シーンなどで目にする機会はぐんと増えそうです。もちろん個人購入(リース販売)も可能。

    リーズナブルな価格と運送や配達に特化した広い荷室や便利な装備は使い勝手も上々で、アウトドアにも重宝しそうなBEVです。

     ASF2.0」ってどんなクルマ?

    外観

    自家用(黄色ナンバー)で、契約期間が72か月の場合、CEV(クリーンエネルギーヴィークル)補助金は45万円。一方、事業用(黒ナンバー)の場合の補助金は116万円。背の高さと、垂直に切り立ったリアゲートやボディサイドのおかげでたっぷりと積めるボディを実現。見切りもよく、狭いキャンプサイトの道でもスイスイ走れる。

    佐川急便が環境対策の一環として、軽自動車規格に入る配送用のキャブバン(商用車)を、ASFと共同で開発すると発表したのが20206月。開発目標としては、日々の仕事に対応するため、一充電での走行距離が200km以上で、満充電までの時間は6kW(普通充電)で67時間などの条件だったといいます。結果として軽自動車クラスとしては大容量の30kWhバッテリーを搭載し、一充電あたりの航続距離はWLTCモードで243kmを実現。日産・サクラ/三菱・ekクロスEVのバッテリー容量が20kWhで、航続距離はWLTCモードで最大180kmですから、かなりゆとりがあります。

    この走行面での実用性を実現した上で、ドライバーと歩行者の安全を守るために衝突被害軽減ブレーキや誤発進防止機能、車線逸脱警報機能、前方車両発進通知機能、坂道発進サポート機能といった先進の安全装備も充実させました。軽便なバッテリーカーとか、既存の車両をベースにした車両ではなく、基本部分は一から開発し、十分な安全性を確保した上で、将来的な自動運転までも視野に入れた最新のBEVです。

    なおASFは日本企業ですが、独自の生産設備を持たない「ファブレスメーカー」。価格優位性を保つこともあり、車両の開発や製造を中国メーカーが担当するため、輸入車の扱いになります。

    荷室は小さな段ボール45個分を積める広さ

    荷室

    リアゲートを跳ね上げると、タイヤハウスの出っ張りもなく、隅々まで無駄なく使用できる空間が現れる。床の高さは66cmで積み込みも楽。

    ひとつでも多くの荷物を積むことが最優先の商用バンだけあり、荷室は広々。乗車定員を2名とすることで、前席以外のスペースはすべて荷室です。リアゲートを跳ね上げると奥行き1,690mm、荷室幅1,343mm、荷室の高さ1,230mmの、床も壁もフラットなスペースが広がります。メーカーによる積載テストによると、小さな段ボール(幅497mm×奥行き315mm×高さ293mm)なら45箱、大きめサイズ(幅601mm×奥行き450mm×高さ453mm)なら14箱が搭載可能となっています。その上で床下には運搬用の台車を収納できるスペースも確保。シューズや濡れ物を収納する引き出しとして使用してもいいでしょう。

    天井

    荷室や乗員シートの天井には高輝度LEDを装備。暗い時間帯のキャンプギアの積み下ろしで重宝する。

    また、荷室の天井には消費電力の少ないLED荷室照明を装備。夜間の作業にも重宝しますし、車中泊にも便利でしょう。

    後方の左右ドアはスライド式で、両脇にスペースがないような状況でも荷物の積み下ろしで苦労することはありません。またリアゲートを上げたときの間口の広さは幅が1,160mm、高さが1,150mm、そして荷室床の高さは66mmですから、テントやテーブルなど大きめの荷物の積み下ろしで困ることはないと思います。

    スライドドア

    ボディ左右にあるスライド式サイドドアも大きく開き実用性は高い。

    台車入れ

    床下に台車をすっぽり差し込める収納スペースがある。小物類の収納などに活用したい。

    ただ、リース車両となるためキャンピングカー仕様にカスタマイズしたり、ボディに穴を開けたりすることはできません。カスタマイズや塗装の変更などを行った場合、返却時に精算が必要となる場合があります。またラッピングなどを施した場合は、返却時に剥がす必要があります。そうした制約さえ納得すれば、この実用性の高さはアウトドア用としてかなりの可能性を感じさせてくれます。

    背が高いのにカーブも走りやすい

    運転席まわり

    室内の質感は乗用車としてまったく不満のないレベル。ハンドルの形は下側がフラットになっていて、ドライバーの乗り降り時に邪魔にならないよう配慮。

    実用性に高さを理解したところで、次に気になるのは走りです。まずドライバーシートに座って周囲を確認。前面の操作パネルは案外と言っては失礼ですが、しっかりと乗用車レベルを実現しています。さすがにサクラ/ekクロスEVのような上質さはありませんが、かといってチープな感じもしません。走り出してからもビビり音などはなく、長時間のドライブでストレスを感じることは少ないでしょう。

    コンソール収納

    前席のサンバイザー後方に、オーバーヘッドコンソール(フタ付き)を装備。本来は伝票などを入れるための装備だが、ヘッドランプやレインウェアなどの収納に使える。センターコンソールにも収納スペースがあり、使い勝手はいい。

     走りだせば、最高出力41PS、最大トルク120Nmのモーターで後輪を駆動するBEVらしく、加速も減速もスムーズで、アクセル操作に対するレスポンスも良好。この点においては高回転で走るエンジン車の商用バンより、かなり疲労感は減ります。

    その代わり、加速時にBEVらしい強烈さがありません。実はこれ、急発進などによる荷崩れを防ぐための味つけとのこと。決してもたついた感覚ではありませんし、なにより大切なキャンプギアの破損も防げるわけです。また、フロア下に駆動用のリチウムイオンバッテリーを積んでいる関係で、低重心となっています。全高が1,950mmもある「ASF2.0」ですが、カーブでは左右に大きく傾いたりすることもなく、意外なほどスムーズに曲がれるため、安心感もあります。

    シート

    シートの開発にあたり、約7,000人の現役配送ドライバーによるアンケート結果を反映。1日走っても疲労感が少ないものに仕上げたという。

    商用バンにつき静粛性は相応のレベル

    一方で遮音や防音のための装備は、乗用車のレベルに達していません。そのため、走行時の風切り音やタイヤの走行ノイズもそれなりに入ってきます。特に高速走行では相応の騒音となり、静かに高速クルージングというわけにはいきません。

    走り終えたところで、公道上ではない広い場所にクルマを停め、ASFが独自開発したという「自走事故防止機能」を試すため、Dレンジに入れたままシートベルトを外してドアを開けてみました。すると自動的にPレンジに入ります。本来は配送ドライバーのケアレスミスに対応する安全装備ですが、万が一にサポートしてくれるのは安心です。

    モニター画面

    USB接続でスマホの画面をセンターディスプレイに表示できるようになっている。またAC100V/1500Wのコンセントを1個、USB電源2個、12Vシガーソケット電源1個をそれぞれ装備。

    自家用として購入する場合、販売やメンテナンスについてはコスモ石油が展開する「コスモMyカーリース」を始め、全国にある販売店が対応します。ただし、現状は寒冷地など販売店がない地域については対応ができない場合もあるそうです。

    ただ昨年末、オートバックスセブンがASFへの出資を発表。これを機に「ASF2.0」を、オートバックスグループの店舗を活用して展示や販売、整備やメンテナンス、そして専用のカー用品開発や販売などを行う可能性が高くなりました。オートバックスセブンではさらに、EV充電器設置などを含めた総合的にサポートできる体制構築も検討を始めています。これなら遠方にあるアウトドアフィールドにも遊びに行けそうです。

     ASF 2.0

    • 全長×全幅×全高:3,395×1,1475×1,950mm
    • 最小回転半径:4.4m
    • 最低地上高:140mm(満載時130mm
    • 車両重量:1,130kg
    • トランスミッション:リアアクスル一体型減速機
    • 駆動方式:後輪駆動
    • モーター最高出力:30kW41PS
    • 最大トルク:120Nm
    • 一充電走行距離:243kmWLTCモード)
    • 車両本体価格:¥2,607,000~(税込み)

    ※受注生産のため納期の目安は34か月。

     

    問い合わせ先

    ASF

     

    私が書きました!
    自動車ライター
    佐藤篤司
    男性週刊誌、ライフスタイル誌、夕刊紙など一般誌を中心に、2輪から4輪まで“いかに乗り物のある生活を楽しむか”をテーマに、多くの情報を発信・提案を行なう自動車ライター。著書『クルマ界歴史の証人』(講談社刊)。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。

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