このSUVは2002年に登場した初代からスポーツカーにも劣らないフットワークの良さで定評があったが、最新モデルは他のSUVを寄せ付けないほど、相当に高いレベルのパフォーマンスを獲得している。
ポルシェ・カイエンってどんなクルマ?
カイエンはポルシェというスポーツカーブランドが手掛けた、オンロードの走りも得意なSUVとして、ブランドのファンのみならず多くのセレブリティからも人気を集めてきた。おかげで一時期低迷状態にあったポルシェの経営状況は一気に好転し、現在は弟分であるマカンとの2本柱としてその屋台骨を支えるまでに至っている。
現行の3代目カイエンは2018年に登場、昨年大幅な改良を受けた。ボディバリエーションは一般的なSUVタイプと、なだらかなルーフラインが特徴のスタイリッシュなクーペタイプの2種を用意。いずれもその走りだけでなく、実用性の高さをしっかりと確保しているのが特徴だ。今回試乗したのはクーペのSグレードで、一般的なクーペボディでは後席頭上空間の狭さが槍玉に挙げられることがあるが、カイエンではその立派な体躯が有効活用されているから、運転席はもちろんリアシートでも窮屈さを覚えることはない。
カイエンとは「積めるスポーツカー」なり!
外遊びユーザーが重視するラゲッジルームは592〜1,502ℓと一般的な SUVにもひけを取らない容量が確保されている。たしかに標準ボディのそれと比べると容量は少なくなってはいるものの、アウトドアギアを隙間なく詰め込めるという視点で見れば、荷物が無闇やたらと動かず、運転に集中できるのがいい。
そう思わせるのは何より、最新型カイエンSクーペの心臓部に収められた4.8ℓというV8気筒ツインターボユニットが、このクルマの走りの楽しさを倍加させていたからだ。経済性や環境性が問われる現代において、V8ツインターボは時代に逆行しているのではとの思いが頭をよぎるが、その独特のエンジンフィールを味わってしまうと余計な心配は吹き飛んでしまう。
どこまでも運転したくなる最高の走り
低速域から重低音を響かせるエグゾーストノートは、大排気量ユニットならではのもの。スロットルペダルに置いた足に力を込めると、どの回転からでもモリモリと湧き出すパワーと乗員の体がシートに埋まっていくような強烈な加速が味わえる。ドライバーの胸の高鳴りとシンクロするその加速フィールは、スポーツカー作りを得意とするポルシェならではの仕立てと言えるだろう。
大きく重い車体ながらも、ドライバーや他の乗員を不安にさせるようなボディの余計な動きが皆無なのも嬉しいところ。それはこの試乗車に装着されていたオプションの最新仕様のエアサスペンションがいい仕事をしてくれているからにほかならず、つまりは抜群に良い乗り心地も提供し続けてくれるということだ。街中やワインディングロードはもちろん、高速でも車体の姿勢変化は少なく、長距離移動も快適に過ごせるのはグランドツーリングを好むアウトドアパーソンには重宝されるだろう。
最新のSUVだからして4WDシステムにもまったく抜かりなく、適切な駆動力配分を自動で行ってくれるのはもちろん、ノーマル/スポーツ/スポーツ+/オフロードというドライブモード選択も可能で、どんなシチュエーションでも最大限のパフォーマンスが引き出せるようになっている。
電動化が叫ばれる自動車界にあって、古典的な大排気量エンジンの豪快な味わいと最新の緻密なシャシー制御技術を組み合わせているのがカイエンSクーペというスーパーSUVである。それだけ力が注がれたポルシェという高級ブランドのモデルだから、おいそれと手を出せるようなものではないが、進化を続けてきた内燃機SUVのひとつの頂点として、あるいは純粋な憧れとして、ブランドのファンはもちろん、アウトドア好きのユーザーにとっても残り続けてほしいSUVの一台だと言えるだろう。
Porsche Cayenne S Coupe
- ボディサイズ:全長×全幅×全高:4,930×1,983×1,678mm
- 車両重量:2,250kg
- 駆動方式:4WD
- トランスミッション:8速AT
- エンジン:4.0ℓV型8気筒ツインターボ
- 最高出力:349kW(474PS)/6,000rpm
- 最大トルク:600Nm/2,000~5,000rpm
- 車両本体価格:16,440,000円
問い合わせ先
ポルシェ
TEL:0120-846-911