「じゃーん、ホンモノの小松菜を入手してきました」
と蓮池陽子さんが取り出したのは、見たところ普通の小松菜。聞けば、東京都江戸川区産だという。江戸時代、八代将軍徳川吉宗が、小松川村(現江戸川区西部)で栽培されていたこの葉物野菜をいたく気に入り、「小松菜」と名付けたそうだ。
いつでもどこでも安く手に入るから、とくに大切に思っていなかったけれど、あらゆる食品の価格が高騰するなか、小松菜はもっと評価されていいのかもしれない。
小松菜は生でも食べられるから、みそ汁にするとき、火を止めてから入れてシャキシャキの食感を楽しむことも多いが、陽子さんはあえてしっかり火を通すという。
「茎の繊維がくたくたに柔らかくなるくらい煮ると、甘みが出るんです」
小松菜と合わせるのは、これもありふれた食材のちくわ。ひょっとしてどこかの産地の超高級品では…と思って盗み見ると、スーパーで売られているごくふつうの品だったので、ご安心を。
しかし、飲んでみると、すごくおいしい。小松菜とちくわの甘みが溶け合って、具が2つだけとは思えないほど、こくのある味になっている。
「みそは、2つの具に合わせて、甘みのある麦みそを使っています」
ありふれた食材だけど、火の通し方とみその選び方でこんなに味が良くなるとは。陽子さんのマジックを見た思いがしました。
みそ大好き、アウトドア大好きの蓮池陽子さんによる「ソトみそスープ」は、Facebookの「みそパル」でも月に2回公開中です。その中から厳選したメニューを『BE-PAL』本誌奇数月発売号(次回は7月9日発売の8月号)でも紹介しています。こちらもお楽しみください。
【陽子さんのソトみそスープ 第29回 ちくわと小松菜のおみそ汁】
- 材料(2~3人分)
ちくわ…1〜2本
小松菜…大1~2束
だしパック…1個
酒…大さじ1/2
麦みそ…大さじ1
- 作り方
1、ちくわは輪切り、小松菜は3cm幅に切って茎と葉の部分に分けておく。
2、鍋にちくわと小松菜の茎、水400ml(分量外)、だしパック、酒を入れて火にかける。
3、沸騰したら茎が柔らかくなるまで中弱火で加熱し、葉を加えて2〜3分たったらみそを溶き入れる。
協力:みそ健康づくり委員会