そんな山登りの醍醐味に、グルメや歴史探訪などのお楽しみをプラス。いつもよりもっともっと心躍る低山ワールドへご案内。
今回はご当地グルメ尽くしの満腹ハイクだ!
香川県観音寺市の七宝山(445m)へ!
コースタイム:4時間30分
総距離:8.41㎞
標高差:370m
登山口は高屋神社外宮。本宮がある稲積山の頂上まで、約1時間程度。七宝山まで行く今回のコースは往復約4時間30分。危険箇所などはないため、初心者でも安心して登ることができる。
START GOAL
高屋神社外宮駐車場
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稲積山(天空の鳥居)
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高野山
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つず(七宝山系最高地)
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七宝山
でかけた人 ライター 櫻井 卓
最近、オノレの肥大化にビビっているアラフィフ。食事制限は無理なので、登山回数を増やすことでなんとかしようとしている。
心置きなく食べるために、まずは登る
いきなりですが、最近ボディーがゆるい&重い。食事制限なるものも試したけど、やっぱり旨いモノが食べたい。そこで最近ハマっているのが登山&グルメの合わせ技。4時間の登山で消費するのは約2000㎉。ということは、登山後ならば罪悪感なく食べられるというワケだ。
そこで向かった香川県。香川グルメといえばうどん? だけじゃないけん。骨付き鳥という背徳感的にトップクラスのグルメがあるのだ。
だが心置きなく食を楽しむためには、まずは登らねばならぬ。というわけで観音寺市街からほど近い、稲積山の登山口に向かう。いきなりかなりの急登。四国のたおやかな山のイメージとちょっと違うぞ。そうか、標高差350mを1時間で一気に登る感じか! ただ、常に市街地を一望できるのが面白い。
スコーンと海が見える場所に出たらおやつタイム。観音寺名物・あいむす焼き。いわゆる海老せんで、ミネラルたっぷり。軽量だし、山のスナックとしても優秀だ。ほかにも、観音寺名物・かまぼこも持参しているし、頂上で茹でるための讃岐うどんもバックパックに入れてある。
ただ、ここで気付いてしまった。うどんつゆを忘れるという痛恨のミスに……。しかしここで引き返すワケにはいかない。最悪、塩うどんだと、気を取り直して登山を再開すると、歴史を感じる石段が登場。見上げると鬼のような直線系だ。これも下山後のご褒美のため。張り切って行きましょう。
登りきるとそこには立派な鳥居が。一礼して通り過ぎ、振り返ると景色がドーン。この稲積山は高屋神社の本宮で、立派な社殿もあり、まずはお詣り。そして振り返ると、まさかのうどんつゆ自販機を発見! さすがうどん県……。山頂でうどんを食べろ、と神様も導いてくれている。
そこからは、適度なアップダウンのある稜線が続く。人の数もグッと減って、静かな山歩きだ。ところどころ、立派な山桜もある。そして今回の目的地である七宝山の頂上に到着。ここも視界が開けたご褒美感ある良ピークで、大きなベンチもある。いよいよ山頂でのうどんタイム。これはなかなか贅沢な趣向だ。山頂うどんとご当地行動食で満腹になったあとは、のんびりと来た道を戻っていく。
下山後にログをチェックするとアクティブ消費カロリーは見事、2000㎉超え! うん、食ってよし! ということで、観音寺駅前にある「骨付き鳥 観音寺」へ可及的速やかに入店。まずは、ビール! そして骨付き鳥! 疲れた体に、ガツンと効いたガーリックと鶏の肉汁&オリーブオイルが染み渡る。そして後からやってくる瀬戸内レモンの爽やかさ。最後はおにぎりにたっぷり油を吸わせて食べるという背徳感しかない締め。でも山登ったあとだもんね! カロリー問題だけではない、登った後だと味だってブーストされるのだ。本当に旨いものを食べたいなら、登山せよ! と声を大にしていいたい。さて、まだ時間は宵の口。当然もう一軒行くぞ! だんだんカロリー収支が合わなくなってきた気もするけど……。
09:00 まずはうどんをゲット
地元の人に勧められた「将八うどん」で朝食をとりつつ、山頂で食べるためのお土産用うどんを購入。
09:30 いきなり急登の洗礼
スタートすると稲積山まで約1時間は基本的に急登! 脇道がいくつかあり、そこを進むと鼻ご岩という見晴らし台もある。
10:00 天に召されそうな階段の先には……
高屋神社に至る石段は270段。ひいこら登った先には、天空の鳥居という映えスポットが。鳥居越しに市街地や瀬戸内海を望める。
ひとつひとつ手作り!
「満久屋」のあいむす焼き。海老の風味が凝縮。
標高404mにある高屋神社の本宮には稲の神様が祀られている。立派なしめ縄は麓の水田で育った古代米の藁を使ったものだそう。
まさかすぎるミラクル
今回最大のサプライズはこの自販機。お守りのほかに、なんとうどんつゆも売っている! 記念バッジ付きで880円。
バスあるの、いま知った……
実は稲積山頂上まではクルマでも行ける……。休日にはマイカー規制がされるが、有明グラウンドからシャトルバスが運行。
11:00 気持ちの良い稜線へ
稲積山から七宝山への道は本格的な山道になる。ところどころ景色が開けるので、瀬戸内海を眺めながらのんびり。桜の名所で花見登山も楽しめる。
絶対買うべき激ウマ行動食
「山地蒲鉾」で購入。ワッフルは魚肉とは思えない優しい甘さ。ドーナツはタコやイカがぎっしり。
12:00 頂上でご褒美うどん!
事前に購入していたうどんを茹で、エビ天、イカ天と温泉卵をトッピング。透きとおった出汁が美しい正統派讃岐うどんを山頂でいただく!
エビ天、イカ天も「山地蒲鉾」でゲット。工場直結でできたてを購入可。
17:30 お待ちかね、骨付き鳥に舌鼓!
お酒好きなら"おや"が合う
名物「俺ん家の骨付き鳥」は観音寺の高校生が考案したもの。香川のオリーブオイル、瀬戸内レモン、香川本鷹など、地元食材をたっぷり使用。
骨付き鳥 観音寺
住所:香川県観音寺市観音寺町甲1235
電話:TEL:0875(23)3210
営業時間:17:30〜21:30
休日:祝定休
22:00 そして夜の街へ……
観音寺には、そんなに飲み屋があるわけではないんだけど、たまたま入ったスナックが大当たり。地元話をたっぷり聞けました。
ハイクで一句!
急登は
下山飯への
隠し味
山飯さく麻呂
※構成/櫻井 卓 写真/小倉雄一郎
(BE-PAL 2024年6月号より)