キャンプブームは本当に終わった?
確かにキャンプブームは落ち着きを見せていますが、人気を失ったかというと、必ずしもそうではないようです。どのような変化があったのか、詳しく見ていきましょう。
ブームが起こったきっかけとは
第一次・第二次キャンプブームといわれるように、これまで何度かキャンプ人気が高まる時期がありました。2010年ごろからじわじわと人気が出てきたキャンプが、近年大きく盛り上がったきっかけは、2020年から始まった『新型コロナウィルスの蔓延』です。
密閉・密接・密集の3密を避けるために、屋外アクティビティとしてキャンプが注目され、多くの人々が新たにキャンプを始めました。その結果、アウトドアメーカーの売り上げも急増し、キャンプギアが飛ぶように売れ始めたのです。
人気レジャーとして定着しつつある
ところが2024年2月に、大手アウトドアメーカーが純利益の大幅な減少を公表します。これが『キャンプブーム失速』と報道され、キャンプ人気が衰えた印象を与えました。
しかし、実際にキャンプ人口が激減したわけではありません。ほとんどのキャンプギアは毎年買い替えるようなものではなく、一度購入したら何年も使用するのが一般的です。
ブーム終了といわれる原因は、新しくギアを購入する人が減ったことと、性に合わなかった人がキャンプ離れしたことだと考えられます。むしろ、キャンプは一時的なブームを過ぎて、アウトドアカルチャーとして定着したといえるでしょう。
キャンプブームによる市場の変化
キャンプブームは、市場にも大きな影響をもたらしました。これまで以上に多様化し、個々のニーズに対応した、キャンプ市場の変化について見ていきましょう。
アウトドアギアの種類が増えた
キャンプブームに伴い、選ばれるアウトドアギアが変わってきました。他人と同じものを使いたくないという心理から、定番ブランド以外の個性的なブランドを選ぶ人も少なくありません。
また、多様化するキャンプスタイルに対応するため、アウトドアギアの種類が大幅に増えています。
男女問わずソロキャンプを楽しむ人が増加し、グループでソロキャンプを行う『ソログルキャン』も新たな定番となりました。この影響から、ソロで使いやすいコンパクトギアが充実を見せています。
続々とキャンプ場が開設された
キャンプ人気が高まる中、新しいキャンプ場が次々と開設されました。これによりキャンプを楽しむ場所が増え、さらに多くの人がキャンプに足を運びやすくなっています。
キャンプ場の増加を後押ししたのは、単なるキャンプ人気だけではありません。中小企業庁による『事業再構築補助金』も、キャンプ場増加の大きな要因でしょう。
事業再構築補助金とは、ポストコロナ時代のビジネスを支えるための補助金で、個人でも利用できる点が大きなポイントです。キャンプ場・グランピング事業が成長産業として認定されたことも、新設の追い風となったといえます。
キャンプ場の整備が進んだ
キャンプ場の施設も、進化を続けています。特にお風呂・トイレなどの清潔さが重要視され、水回りがしっかりと整備されたキャンプ場が増えました。
Wi-Fi・電源を備えたキャンプ場も多く登場し、スマホやヒーターを気軽に使えるようになっています。レンタルサービスが充実しており、手ぶらでキャンプをしに行ける施設も珍しくありません。
利便性・安全性が向上することで、キャンプ初心者や家族連れでも安心して楽しめる環境が整いつつあります。
古参キャンパーがブーム下火を喜ぶ理由
一部の古参キャンパーたちは、諸手を挙げてキャンプブームの終了を喜んでいるようです。その理由は、主に次の3点にあります。
迷惑キャンパーが減る
キャンプのベテラン勢をうんざりさせているのが、ブームに乗って増加した『にわかキャンパー』によるマナーの悪化です。
キャンプに不慣れな人は、気付かないうちに周囲への配慮に欠けた行動を取ることがあります。例えば、ごみの放置や禁止場所でのたき火、深夜の騒音などです。
中には、たき火を適切に処理しないまま帰ってしまう人もおり、これらはキャンプ施設にとっても頭の痛い問題となっています。キャンプブームが落ち着くことで、このような困ったキャンパーが減り、迷惑行為も減少するだろうと期待されています。
キャンプ場の予約が取りやすくなった
空前のキャンプブームにより、予約を確保するために四苦八苦した人も多かったのではないでしょうか。予約不要のキャンプ場が、争奪戦に敗れた人々であふれかえる光景も見られました。
ブームが落ち着いた現状では、こうした状況も改善され、フレキシブルにキャンプの日程を組みやすくなっています。
人気の高いキャンプ場や大型連休は、依然として予約が難しい状況が続いていますが、全体的にはキャンプを楽しむチャンスが増えたといえるでしょう。
中古のキャンプギアが出回るようになった
キャンプブームの最盛期には、人気アウトドアブランドのキャンプギアが品切れ状態になることが多々ありました。最近では、中古市場にさまざまなキャンプギア・アウトドアウエアが出回っています。
これは、3密を避けるためにキャンプを始めたライト層が、使わなくなったキャンプ用品をリサイクルショップに持ち込み始めたためだと考えられます。
新たにアウトドアブランドを扱うリサイクルショップもあり、使ってみたかったギアを安く購入するチャンスが増えました。古参キャンパーにとっては、ブームが落ち着いたことによる大きなメリットといえそうです。
狙い目の中古アウトドアブランド3選
ブームが急速に落ち着く時期こそ、手頃な価格で人気ブランドのアウトドア用品を手に入れるチャンスです。特に注目したい、三つのアウトドアブランドを紹介します。
THE NORTH FACE(ザ・ノース・フェイス)
ザ・ノース・フェイスは、常に最高の製品を作り続けることをビジョンに掲げているアウトドアブランドです。
シンプルかつ機能性を重視したアパレル製品は、年齢・性別を問わず取り入れやすく、幅広い層に支持されてきました。
中古市場でも人気が高く、状態のよいものが出回れば即売れてしまうことがほとんどです。お目当てのアイテムを見つけたら、早めに確保しておくのが賢明でしょう。
THE NORTH FACE – ザ・ノース・フェイスブランドサイト
Snow Peak(スノーピーク)
スノーピークは、キャンプブームの前から安定した人気を誇る代表的なアウトドアブランドです。キャンプギアの品質の高さには定評があり、多くのキャンパーが愛用しています。
ところが、価格はやや高めの設定です。新品のギアをそろえるとなると、出費が痛手となってしまう人もいるでしょう。複数のギアをスノーピークでそろえるのであれば、そのうち数アイテムは中古品を探すという手もあります。
リサイクルショップにスノーピーク製品が並ぶこともあるので、気になるアイテムがある場合は、小まめにチェックしておくとよいでしょう。
昨年からスノーピーク自らが中古品の公式リユースサイト「スノーピーク サーキュレーションコア」を開始しました。お得なアイテムを探せるほか、将来売りに出すときの買取価格の目安を確認するのにも便利です。買い物前に、ぜひ一度サイトをチェックしてみてください。
Columbia(コロンビア)
コロンビアは、アメリカ・オレゴン州から始まったアウトドア・スポーツウエアブランドで、独自素材による機能性に優れた製品で知られています。
日本にも直営店を展開しており、国内で企画・デザインされる製品もあるため、日本の気候や風土に適したアイテムを選ぶことが可能です。
中古市場にも、目を引くデザインのアイテムが出回っています。ライバルが多いので、人気商品は即押さえておいた方がよいでしょう。
コロンビア(Columbia)公式オンラインストア │ アウトドア総合ブランド「コロンビア」オフィシャルサイト
まとめ
白熱した時期は去りつつありますが、キャンプ人気は健在です。アウトドア離れしたライト層がいる一方で、ブームをきっかけにキャンプにはまった人も少なくありません。
「キャンプブームが終了した」とささやかれるのは、コロナ禍による需要と供給のバランスが、一時的に崩れていることが一因だと考えられます。
今回のブームは、アウトドアギアの多様化やキャンプ場の整備促進など、多方面に影響を与えました。キャンプ市場は文化の一つとして、今後も成長を続けていくでしょう。