夜明け前にカルギルの街を車で出発し、一路南東へと向かいます。このあたりはスル渓谷と呼ばれていて、ところどころにこぢんまりとした村が点在しています。スル渓谷もイスラーム教徒の暮らす土地なので、村にはたいてい、小さなモスクが建っています。
スル渓谷の南には、ヌンとクンという、ともに7000メートルを超える高峰がそびえています。ヌン・クン山塊から吹き下ろす風は僕が訪れた夏でもとても冷たく、この一帯の冬の寒さは、ラダックと比べても非常に厳しいそうです。
パルカチックという村の茶店で、小休止。目の前にはパルカチック氷河が横たわっています。この村の近くから、ヌン・クン山塊への登山ルートが始まっているそうです。車は、さらに先へと向かいます。
◎文/写真=山本高樹 Takaki Yamamoto
著述家・編集者・写真家。インド北部のラダック地方の取材がライフワーク。著書『ラダックの風息 空の果てで暮らした日々[新装版]』(雷鳥社)ほか多数。
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