ラダック・ザンスカールの旅5
カルギルからパルカチックを経て、車の走る道はいったん東へと続きます。もちろん舗装路などではなく、うっかりすると、車が跳ねた際に頭を天井にぶつけるほどの悪路です。でも、窓の外に現れる、氷河の作り出した風景の圧倒的な迫力は、頭をぶつけないように用心するのを忘れ、見とれてしまうほどでした。
パルカチックからジュルドと呼ばれる集落のあたりまでは、思いがけないほどみずみずしい湿原が至るところで見られます。夏の湿地帯には青々と草が生えていて、近くの村で飼われている牛や羊やヤギの群が、無我夢中で草を頬張っているのに何度も出会いました。
ジュルドの近くの小高い丘の上にあるチベット仏教の僧院、ランドゥム・ゴンパ。イスラーム教と仏教の文化圏の境界線上に位置している僧院です。訪ねていくと、この地方独特の形の僧帽をかぶった僧侶が穏やかな表情で出迎えてくれました。