山岳信仰の山
集合したころは氷点下だった気温も、スタートからしばらくして日差しの温かさを感じるようになり、ひたすら登坂が続く木漏れ日の中を進み始めると、あっという間に体がぽかぽかしてきました。すでに汗をだらだら流している人もいます。広くて歩きやすい登山道から、ときおりケーブルカーが山頂へ向かって登っていくのが見えます。歩くには気持ちのいい登山道です。歩いている分には全く問題ないのですが、走ると途端に息が切れます。練習不足を痛感しながら、とにかく途切れず歩くことを心がけました。
御岳山は標高929m。山頂付近にある武蔵御嶽神社前がゴール地点です。ゴールに到着する前に、山の中に広がる庭園のような周遊登山道をぐるりとくまなく回って、ゴールを目指します。山の中腹には宿坊が数多く残っています。昔から山岳信仰の山として多くの登山者を受け入れてきた歴史のある山です。まずは第一の吸水ポイントである、ケーブルカーの終点「御岳山駅」を目指してひたすら登りが続きます。
吸水ポイントを過ぎて積雪の残る細めの登山道に入りました。道が平らになって楽になったものの、数日前の積雪が凍って滑りやすくなっているため、足元を見ながら慎重に走ります。登山道に設置された休憩ベンチの多くで、お湯を沸かしコーヒーやカップラーメンを楽しむ登山者たちの姿が多く、横目に見ながら駆け抜けました。
関門は10k地点
給水所を通過し、いよいよ足元の悪い難関を通過します。目指すは10k地点の時間制限。足元を確認しながら、川を越え、岩を登り、滝を横目に見ながら、なんとか到着したものの、制限時間に10分及ばず…。ここまで抜きつ抜かれつ、同じペースで走ってきた数人の選手たちと一緒に、「残念ながら間に合わなかった~」ポーズで記念撮影をして、レースを離脱しました。
ゴール前は、ひたすら階段!
10k地点で離脱後、エスケープルートを通って、ゴール前へ向かいます。途中、レース中の選手たちと合流し、「がんばれー」と応援しながら、先回りしてゴールへ。
最後に待ち構える参道の石段を登り切ったところがゴールです。最後の石段はかなり手ごわかったものの、登り切って周りを見渡すと、周辺の山々のシルエットが美しく、クールダウンするのに心地よい風が吹いていて、レースを終えた選手たちが思い思いに身体をいたわっていました。
その後、レースの終了時間が刻々と迫り、900名近い全参加者のうち、600名程度が制限時間内にゴールしてレースは終了。終了後も完走者は続々と続いて到着し、その中にスタート地点で出会ったナスの人を発見しました!
レース後は宿坊へ
ゴール付近で参加賞のTシャツを受け取り、そのまま指定の宿坊へ。参加者は、指定の宿坊で入浴することができるのです。走った後、体が冷え切る前に入浴できるのは、とてもありがたい!!熱めのお湯でしっかり体をほぐして、心地よい疲労感とともに、帰路につきました。応援に来た息子は、ケーブルカーを楽しみ、コースの途中で選手たちに手を振り、山頂周辺の宿坊街でおいしいそばを堪能し、名物のくるみ味噌がおいしい御岳だんごを味わい、大満足の様子で合流。残念ながら制限時間をクリアできませんでしたが、親子がそれぞれ、楽しい時間を過ごすことができた1日でした。親子で登山するにも、ちょうどいい山だと思います。次こそは、時間内の完走をめざしたい!そしてそれとは別に、じっくり山歩きを楽しむ計画でも、訪れたいと思います。
<取材先>
みたけ山トレイルラン http://www.kfctriathlon.com/
渡部郁子(わたなべいくこ)
フリーアナウンサー/ライター
JFNアウトドア番組「JOYFUL LIFE」パーソナリティほか、アウトドア、温泉、音楽をテーマに新聞・雑誌で情報を発信。ライフワークのフジロックほか、数多くのフェスで子連れスタイルを実践中。www.watanabeikuko.jimdo.com/