大型バイクに乗り始めて数年。ふと「でけぇ山を走りたい!」と思い立ち、様々なトラブルに見舞われながらもインドにあるヒマラヤ山脈を走ること数日。
本日も朝から張り切ってヒマラヤ山脈をバイクで走る予定!…のはずだったが、体調が悪い。そう…またもや高山病になってしまったのである!!
まさか二度目の高山病…体調回復の救いとなった食べ物とは
「一度なったのに?また?」と我ながら思ったが…油断も隙もないのが高山病。標高が高くなればなるほどリスクは高くなる。
睡眠はもちろん!食事と水分をしっかり取り、高山病にならないようにと毎日高山病予防薬を飲んでいたが、標高の高さに身体が耐えきれず、ダウンしてしまった…。
「この体調でバイクに乗れるのか…??」
しかも今日は「世界で1番天に近い湖」と「標高5000m越えのヒマラヤ」を攻めに行く予定だ。標高5000mの高い壁はすでに経験済みだが、この体調では行ける気がしない。
吐き気が止まらず…身体もだるい。だが、これ以上高山病がひどくならない為にも食事を少しでも取った方がいいと言われたが、全く食欲がない。
「無理やりでも食べよう」と宿泊先の食堂に入ってみたものの、カレーのスパイシーな香りにやられてしまい…ダウン。仕方なく、宿泊している部屋で日本から持ってきた乾燥フード(非常食)を食すことにした。
でもここで問題が一つ!標高が高くなればなるほどお湯が出ない事が多い。(お風呂ももちろん入れない)ましてやインドは「歯を磨く時もミネラルウォーター」と言われているほど、水が危険。これ以上体調を壊すわけにはいかないので、宿泊先のスタッフにミネラルウォーターを渡す事にした。
「これをホットにして欲しい」
『OK !OK!』
笑顔で快く引き受けてくれた。10分後、スタッフが持ってきてくれた物は、熱々のお湯!…ではなく、渡した時と同じぐらいの常温の水だった。
「どうして…?」と思ったが、インドで起きる出来事は深く考えてはいけない。バナナジュースを頼んで1時間経っても出てこなかった事もあったし、チャイを頼んだらオムレツが出てきた事もあった。
「まぁ…常温でも何とかなるっしょ!」と切り替えの早い私は日本から持ってきた非常食に常温の水を入れてみる事にした。
私が持っていった非常食は、熱湯だと15分。水の場合は60分ほど時間がかかる。水を入れ、一眠りすること1時間。「まずくても仕方ない。腹を満たせればいいか…」と思いながら一口食べてみる。
「えっ…美味しい!!」
また一口。また一口。久しぶりの日本食ということもあり、止まらない美味しさ。今の非常食ってこんなに美味しいのか。昔食べた乾燥フードや非常食が残念な味だった記憶があったので衝撃を受けた。
特に「尾西食品」の乾燥フードは、味のバリエーションも多く飽きさせないラインナップ。私は五目ごはんが1番好みだったが、どれも美味しかった。
食事と水分を摂取出来た事により体調が少し復活。宿泊先に留まることも出来ないので、バイクで走り出す事にした。
ギリギリな体調ではあるが、過酷なオフロードに挑戦。何とか食らいついていくが、エネルギー切れで転倒してしまった!
いつもだったら転んでもすぐに起き上がるダルマ精神がある私。今回は体調不良も相まってかなかなか起き上がる事が出来なかった。「これはやばいぞ!」とポケットに忍ばせていたエネルギーバーを探す。
ヒマラヤは標高が高く呼吸をするだけでカロリーを消費し、水分も身体から蒸発していく。消費してしまったカロリーを補うためにエネルギーバーが命綱と言っていいほどだった。
エネルギーバーでカロリーを摂取したおかげで、何とか立ち上がる事が出来た。このまま過酷なオフロードをガシガシ走るぞ!と思ったが、ツアースタッフに「無理しちゃいけない。君はゆったり湖の横を走ろう」と提案されみんなと違う道へ。
悔しかった。なかなか走る事の出来ないヒマラヤツーリングを全力で堪能したかった…。「高山病にならなければ…」とヒマラヤの太陽の光を遮るためにかけていたサングラスの下に涙を浮かべながら走り出すこと1時間。そこには今まで見たことないぐらい綺麗なブルーの湖が!!!
その名は「パンゴンツォ」。標高4250mに位置し、世界で一番天に近く”天空の湖“と呼ばれている湖。塩気を含み、藻が生えず、魚も生息していない。太陽の光が当たりキラキラと光り輝く水色の湖面は、その日の天候や時期によって少しずつ色合いや見え方が変わるらしい。時間が経つのを忘れてしまうほど見惚れてしまった。
「私は天国にいるのではないか…?」
そんな経験した事ない澄んだ色をした天空の湖を見て、昇天。さっきまで落ち込んでいた気持ちも晴れてきた。美しい湖をゆったり眺めながら走るツーリングも優雅で良いじゃないか。気持ちと共に体調も復活してきた。
パンゴンツォをゆったり走りながら、別のルートを走っていたツアーメンバーと合流。「体調万全でもキツかったよ…」と言う彼らの顔は、砂埃で真っ黒。過酷さを物語っていた。
いつか体調万全で過酷ルートも挑戦したいなと思いつつ、もう一つの目的地「標高5000m越えのヒマラヤ」へ向かう事にした。
体調が復活し「余裕しゃくしゃく釈由美子!」と誰も笑わないダジャレを繰り出してしまうほど、絶好調になってきた私だったが、まさか…標高5000m越えのツーリング中に、今度はあんなトラブルに見舞われてしまうなんて…。
果たして、無事に走り切る事が出来るのか!?
次回へつづく!