日本のミライを明るくする! 園児野生化計画 vol.42
ビル風が吹き荒れる東京都内の小さな公園へ年中さん達と遊びに行きました。子ども達の今回のターゲットは公園の端の方にたくさん落ちていた「間伐材」。子ども達は大量の間伐材を見るやいなや、大きな目的があるわけでもなくあちこちに散らばってみんなでたくさん集めはじめました。
子ども達の手で大物や長物が少しずつ集まる。多様な枝が集まったことがこの後の遊びのきっかけに…
最初はただただ間伐材を拾い集めるだけだったのが、次第に大きな木を遠くから引きずってきて「これすごい長いぞ!」「俺のは太いぞ!」「これ大きすぎるから誰か手伝え!」などと運んできた物の大きさや長さ対決をしたり、大物を大人数で運ぶ遊びに変化しはじめた。次々と集まる間伐材が子ども達の背丈ほど積まれたところで、遊びの内容が突然次のステップに変わりはじめた。
きっかけはひとりの女の子が積まれた間伐材を乗り越えて、その先の枝を拾いに行こうとした瞬間だ。その女の子を見ていた数人の子ども達が、「俺も登る!」「私も!」と、その女の子が通った道をトレースし始めたのだ。
きっかけをつくった女の子はただ間伐材の山を越えて進みたかっただけなのだが、他者からするとその動作が面白そうに見えたのだろう。2人目、3人目の挑戦者達は、「誰か助けて!ここゆれる〜」「ここすごい高いぞ!みんな来いよ!」と、さらに他の子ども達を呼ぶかのごとく自分の心の声を大きく外に発し始める。
間伐材の山を登った子ども達が、新しい面白さに触れた瞬間だ。それを見た他の子ども達がどっと集まり、次々と同じように登り始めた。ある子どもは誰かがのぼった場所と同じ場所をのぼり、またある子は未踏のルートを開拓し始めた。
枝と枝の隙間にズボッとはまり、時に落っこちながら間伐材の山を踏破し始める子ども達
楽しそうな仲間の声を聞きつけて、さらに他の子ども達が集まり始めた。間伐材の山に集まる子どもの数が増えると、十人十色のアイデアが集まってまた遊びに変化が始まる。「登る」という動作の他に、「横切る」「飛び降りる」「揺らす」といった様々な動作が加わりはじめた。
はじめは「集める」という遊びから、アスレチックにも近い自由でちょっと危険な遊びに変化していった。
天然のアスレチックと化した間伐材の山は、新しく積まれ、そしてどんどん難コースが生まれていく
はじめは「間伐材集め」だった遊びが、子ども達の関わりから次々と変化し、この日のゴールは天然のアスレチックにまで変化していった。大人の思考では生まれ得ないこの遊びは、子ども達がひとつの遊びを遊び込んでいくことで生まれた結果だ。
子ども達が持っている「遊び込み力」は、良い意味で大人がリードしないことで生まれる宝物のような時間だ。この遊び込み力は、きっとこれからの日本を面白くする大きなエネルギーになるに違いない。