FILE.62は、豊島区にある豊島長崎の富士塚(長崎富士)です。
第62座目「豊島長崎の富士塚(長崎富士)」
今回は、豊島区長崎にある富士塚です。
JR池袋駅からだと少し遠く(個人的な感覚です)、山手線沿線の山からは外れていました。今回は東京23区の山ということでの登場です。
今回の登山口は東京メトロ要町駅
池袋駅からほど近い要町駅。有楽町線と副都心線が乗り入れる駅ですが、降り立ったのは人生初です。年に数度も行く池袋の隣なのに足を伸ばしたことがありませんでした。学生時代、山手線のど真ん中に住んでいた僕の行動範囲は山手線の内側のみ。この連載「東京山頂ガイド」で山手線沿線の山々を巡り終えたので、その外側となると未開の地ばかりです。
ということで、東京メトロ要町駅1番出口登山口より出発。
どこをどう通って豊島長崎の富士塚を目指そうかと考えましたが、今回は目立ったランドマークを見つけることが出来ませんでした。しかも、Wikipediaを見ても目立った記載はありません。さて、目標はない。今回も気分次第(行き当たりばったり?)な登山の始まり。とりあえず、駅1番出口沿いにある要町通りを進んでいきます。
えびす通り商店街
歩き始めて直ぐに目に入ってきたのが、えびす通り商店街の大きな看板でした。商店街を通らず豊島長崎の富士塚を目指すのは、あまりにも無粋で無謀です。色々なネタもありそうですし、通らない理由がみつかりません。
さっそく、商店街を進んでいく事にしました。
商店街と言っても、商店が軒を連ねるような、大きなアーケードのあるような商店街ではなく、住宅や会社の立ち並ぶ中にお店があるようなイメージです。
えびす通り商店街は、昭和レトロなお店が多くあります。その中でも気になったのがミハシベーカーリーです。レトロな外観ですが、僕が通った時は夕方に差し掛かる時間で、陳列棚にはほぼパンが置いてありませんでした。地元の人たちに愛される名店といった雰囲気です。
後日ググってみると、カレーパンが人気のお店のようです。朝7時から営業しているようですので、カレーパンを狙うなら午前中かな。ミハシベーカリーの他にも気になるお店がちらほら。さらに進もうと思いましたが、どんどん豊島長崎の富士塚から遠ざかっていくようで適当に住宅街を曲がってみました。
ロスト!ロスト!
ん?グーグル先生を頼りながら歩いていきますが、住宅街に入ると目標物がないので行ったり来たり。ヤバイ、完全にロストしています。普段のトレイルではあまりロストすることはないのですが、むしろ東京を歩いているとかなりの確率でロストします。
しかし、今回はこのロストで発見したものがありました。
【TOKYO<β> MANGA-SO】って?
細い住宅街の並びに、【TOKYO<β> MANGA-SO】なる建物を発見しました。もしやあの手塚治虫さんや藤子不二雄などが売れる前に住んでいたトキワ荘なのか?調べてみると、WEBTOONクリエイターのプロを目指す人が1年間家賃・水道光熱費も無料で入居できる家だそうです。
①一年間家賃無償&作品印税による出世払い方式
②国内最大手のWEBTOONスタジオ「Studio No.9」と協業
③充実した制作環境を用意
と、漫画を製作するのに最適な環境だそうです。
第2期募集は終了したようですが、気になるクリエーターの卵の方はチェックしてみてもいいかもしれませんね!
いよいよ豊島長崎の富士塚へ
【TOKYO<β> MANGA-SO】を過ぎ、しばらく住宅街を歩くと、富士神社通りにでます。一富士(飲食店)の看板のある方に曲がり、荒井建築さんの前を曲がると、公園があり、大きな柵に囲われた何とも不自然な敷地がありました。
そうです、立ち入り禁止ですが、この敷地にあるのが豊島長崎の富士塚なのです。
長崎の富士塚は、椎名町元講によって、1862年に作られたそうです。高さ約8メートル、直径は約21メートルと大きな富士塚で、塚全体が富士の熔岩でおおわれているのだそうです。
頂上にある石祠をはじめ、太郎坊大権現碑(たろうぼうだいごんげんひ)、亀岩八大龍王神碑(かめいわはちだいりゅうおうひ)、月三講の講碑、同行碑、登山道の合目石、手水鉢など、築造された当時のものも多く残っているのが特徴です。
1979年、国の重要有形民俗文化財に指定され、1987年には昭和の大修理が行なわれたそうです。また、東日本大震災後にも平成の大修復が行なわれるなど、現在も浅間神社 豊島 長崎富士塚 富士塚保存会によって保全管理が行なわれているそうです。
外側から見るだけでも、奉納された数多くの講碑が見え、地元の方々の富士信仰の強さを伺い知ることが出来ます。残念ながら、普段は登ることが出来ませんが、年に2回開かれるお山開きでは登ることが出来るそうですよ。
かつて都内にはたくさんの富士塚がありましたが、その多くが取り壊されてしまいました。そうした中、多くの方の力により保存された豊島長崎の富士塚。その姿が現在もこうして残っていることに感謝です。次の世代にも引き継げたらいいですね。
次回は、江戸川区にある桑川富士です。
※今回紹介したルートを登った(歩いた)様子は、動画でもご覧いただけます。