お出かけ先で愛犬の素敵な写真を撮りたい!でも、いざ撮ってみると何だかイマイチ‥‥。今回は、自然の中での愛犬撮影を得意とするフォトグラファー・あなべるさんに撮影のコツを教えてもらいました。
愛犬をアウトドアで上手に撮りたい!スマホでも一眼レフでも共通するアドバイスとは
カメラを持って全国を撮影して歩いているあなべるさんを知ったのは、SNSで見た一枚の写真がきっかけでした。 それは浜辺に立つ一頭のジャーマンシェパードの写真で、水面にはそのシェパードの姿が映っていました。美しい写真に感銘を受けた私はあなべるさんのSNS をフォロー。
コアの前に一緒に暮らしていた先代犬の面差しに似た、あなべるさんの愛犬ジェイク君の写真が掲載されるのを楽しみにするようになりました。
しばらくすると、あなべるさんが関東で愛犬撮影会をすると書いてあったので、またとない機会だと思い、私もコアを撮影してもらうことにしました。
その時に撮影していただいた写真がとても素敵で「こんな写真を自分も 撮ってみたい」と、あなべるさんに相談。ついには一眼レフカメラを購入してしまいました。今回はあなべるさんから、スマホの方にも一眼レフの方にも、共通するアドバイスもいただいたので、参考にしてたくさんの思い出を残してみてくださいね。
愛犬がリラックスして、良い表情になるように
カメラを向けられた愛犬が緊張してしまったり、そっぽを向いてしまったり。これでは良い写真は撮れません。せっかくアウトドアで撮影するなら、のびのびと自然でリラックスした姿を撮りたいですよね。
あなべるさんの撮影会は、モデルの犬がリラックスできるように、自然豊かな場所で飼い主さんと一緒にお散歩しながら行われます。あらかじめ準備しておいたおやつをカメラの上から投げてキャッチさせてみたり、愛犬が大好きなおもちゃを持って声をかけたりしながら撮影します。
すると、次に何が起こるか期待して、犬の表情がイキイキしてくるので、ぜひ試してみてください。
カメラを向けると嫌がったり、表情が硬くなってしまう子はポーズを決めて撮影するのではなく、家族と自然に歩いている姿や、望遠レンズを使って遠くから撮影したりして、ストレスの無いようにします。
人間の目線で上から見下ろして撮影するだけではなく、犬と同じくらいの目線で撮影することを基本にして、カメラの角度や高さを変えて、いろいろな構図、いろいろな表情を撮ってみましょう。そうすることで、思わぬ良いアングルが見つかるかもしれません。
それと、とにかくフットワーク。 歩いて、実際に見てみるのが一番!背景や時間、その日の光量によっても、撮影スポットは変わるので、実際にぐるぐると歩き回り、ベストな場所を探してみるのがおすすめです。
ローアングルから撮影して、躍動感を!
走っているシーンなど躍動感のある写真を撮影したい時は、思いきりローアングルにカメラを構えると迫力のある写真になります。家族にカメラの後ろに立ってもらい、おやつやおもちゃを持って犬を呼んでもらうと、走ってくる写真が撮りやすくなります。
あなべるさんは地面に伏せた状態で撮影するので、撮影会の時はいつも洋服がドロドロになるそうです。
順光と逆光、光の向きを意識しよう
この日、私たちが行った公園には、雨水が溜まってできたような小さな池がありました。 ここであなべるさんからおもしろい提案がありました。 「同じ場所で撮影しても、順光と逆光で全く違うイメージになるので、両方撮ってみましょう」
まずは、モデルに対して前から光が当たる“順光”で撮影してみることに。私とコアは、太陽を正面に見るよう池の反対側に移動。あなべるさんは池を挟んだ反対から、望遠レンズで撮影しました。
風のない水面にはコアの姿が鏡のように映っています。色も形もくっきり際立ちますが、眩しくて瞳が細くなるようです。
次に太陽を背にして“逆光”で撮影します。
水面がきらきら光って、色合いもふんわりやさしく、幻想的な雰囲気です。同じ場所でこうも印象が変わるとは驚きです。アウトドアで撮影する時は、太陽の位置を確認し、光線を意識することが重要になるのですね。
季節の花と撮ってみよう
散歩の途中などに季節の花を見かけると、つい撮ってみたくなる“花と愛犬“の組み合わせ。撮る前に花をじっくりと観察して、その魅力を活かすように撮影をすると、さらに素敵な雰囲気の写真に仕上がります。
例えば、桜はひらひらと幻想的な雰囲気が魅力。柔らかい雰囲気になるように、絞りを設定できるカメラであれば絞りを開放(F 値を小さく)します。また、桜は昼間だと白っぽく写ってしまうので、 光が柔らかい朝や夕方の時間帯に撮影してみてください。
6月のこの時期は、紫陽花との撮影がおすすめです。紫陽花の一番の魅力は、枝先に付いた花のかたまりの高さが、犬と並んで撮影するのにぴったりなこと。また色がとても派手できれいなので、ぐんと近づいて撮影してみるのがおすすめ。
花や葉をレンズのすぐ前に持ってくると前ボケを作ることができます。前ボケができるだけで、立体感のある写真になり、幻想的な雰囲気になります。トップの写真が、あなべるさんからのアドバイスをもとに、手前の紫陽花が前ボケになるようにして、私が撮影したコアと紫陽花。いかがですか?
ところで、紫陽花の青や紫色の花びらに見える部分は装飾花と呼ばれるガクで、中心にあるのが小さな花なのです。ご存じでしたか?自然の中での愛犬との撮影で、植物への興味も深まります。そしてひとつ大切なことが。紫陽花は毒性があるので、犬が口に入れてしまわないように注意しましょう!
画像編集ソフトでリードや人工物を消してみよう
自然の中で撮影した愛犬の美しい写真。ここにリードや人工物が写っていると、ちょっぴり浮いてしまいます。 あなべるさんは、犬のリードを画像編集ソフトで消して仕上げています。
一枚一枚手間はかかるけれど、その方が自然の中で犬が際立ち、美しいので、がんばって消しているそうです。あなべるさんが使用しているのは Photoshop という本格的な画像編集ソフトですが、スマホの画像編集アプリでもリード等を消せるものがあるので、使いやすいものを試してみてください。
また、撮影する時にリードを犬の身体の後ろにまわす等、目立たなくするのもいいでしょう。
ちょっとランクアップ!憧れの玉ボケを撮ってみたい
あなべるさんが水たまりを背景にとても素敵な写真を撮ってくれました。コアの背景の水面がシャボン玉のようにキラキラしています。こんな“玉ボケ”写真は、被写体と背景の距離をなるべくたくさんとり、望遠レンズを使い、絞りを解放 (F2.8 など)にして撮影します。
背景とする葉っぱに光が当たって白くなっている部分や、海や川が波立って光を反射しキラキラしている部分をボカすと玉ボケになります。綺麗な玉ボケができる背景を探すのは最初は少し難しいかもしれませんが、いろんな角度、いろんな時間帯に、とにかくキラキラしている部分を探して撮影を重ねると、見つけるコツが身につくと思います。
愛犬と自分や家族を一緒に撮ってみよう
「かわいい愛犬の写真はいっぱい撮るけど、自分と愛犬の写真はない」「自分は写真に写りたくな い」という方は多いかと思いますが、愛犬との家族写真を撮っておくことを強くおすすめします!
愛犬とのツーショットを撮影する際には、二人でカメラを見ている写真ももちろん良いのですが、愛犬に話しかけてカメラを見ていない状態や愛犬と遊びながら撮影をすると、さらに自然なやりとりや関係性を写真に収めることができます。
あなべるさんからメッセージ
「私は小学生の頃、クリスマスプレゼントにもらったおもちゃのカメラをきっかけに愛犬や家族の写真を撮るようになりました。 写真撮影は、朝ちょっと早起きして日の出を見に行ったり、いつもは行かないお花畑に行ってみたりと、ちょっと特別な楽しいことを愛犬とするきっかけになります。
そして特別ではない“ただの日常”をじっくりと眺めて、何気ない瞬間に潜む美しさに気づかせてくれます。
ずっと写真のモデルをしてくれていた大好きな愛犬ジェイクが去年の秋に亡くなってしまい、今でも悲しくてたまらなくなります。そんな時に写真を見ると、撮影した時のことはもちろん、前後の出来事やその時の気持ちを鮮明に思い出し、ジェイクを近くに感じることができて、すごく心の支えになっています。
写真にはたくさんの魅力があります。撮れば撮るほど、写真を撮ることもきっと大好きになると思い ます。みなさんも、愛犬の思い出をどんどん写真に残してみてくださいね」
[今回、あなべるさんが使った機材]
Canon EOS R6
Canon EF 70-200mm IS USM ii TAMRON SP 35MM F1.4 Di USD
あなべるさん HP ←撮影の依頼はこちらから。