身も心も癒してくれる「ヘンロ小屋」巡り
![ライター 櫻井 卓](https://www.bepal.net/wp-content/uploads/2024/06/11960765506672422ae32562_88169080.png)
ライター 櫻井 卓
歩き旅が大好物で、これまで国内外の国立公園を中心にウロウロしてきている。特に米カリフォルニア州のヨセミテ国立公園あたりは、毎年のように通っている。
そろそろ徳を積みたいのだ。だけどドーンと寄付できるほどの財力はないし……。そうだ、お遍路だ。歩きでやればお金もかからない。ロングトレイルを楽しみつつ、タダで徳を積ませていただけるなんて!
今回は実際に徳島のお遍路の一部を歩いてみたけれど、これが予想していたよりもハード。登山のような急斜面が続くわけではないのに、舗装路を歩くパートも多く、意外と足にくる。そして座って休める場所やトイレが予想外に少ない。そんなときにと現われるオアシスが、個性豊かな「ヘンロ小屋」たち。
「ヘンロ小屋プロジェクト」として、建築家の歌 一洋さんらが歩き遍路のために無料の休憩・仮眠小屋を四国全土89か所にボランティアで作っているというもの。すべて屋根付きで雨風がしのげるよう工夫されていたり、みんなのメッセージが残された遍路ノートがあったりと、身も心も癒やしてくれる場所だ。
まさに無償の行為。徳を積むとはこういうことなのだ。見習いたい……。
36号 神山
![36号 神山](https://www.bepal.net/wp-content/uploads/2024/06/7975384296672422ad93672_66593915.png)
永住したいロケーション。
遍路ころがしと呼ばれる難所を抜けた先、12番の焼山寺から約7㎞ほど進んだところにある。崖から突き出す超絶ロケーション。
11号 勝浦
19番の立江寺から古道を抜けて約12㎞で到着。道の駅が併設されているので、飲食物の補給もできるしトイレを借りることもできる。
個性豊かなヘンロ小屋たち
57号 土成
なんと三木武夫元首相の生家跡地の一角。設計コンセプトは名物たらいうどん。公園のトイレを利用可。
39号 NASA
![39号 NASA](https://www.bepal.net/wp-content/uploads/2024/06/19202918016672422ae9dad5_27294911.png)
あのNASAではなく地名の那佐!
23番薬王寺から23㎞という長い道のりの末に辿り着く。デザインは近くの川に住むオオウナギから。
50号 牟岐
地元の篤志家40人以上の寄付により総工費260万円で建てられたという善意の塊のヘンロ小屋。
6号 宍喰
国道越しに海が眺められるように高床式の構造を採用している。内部には大きなテーブルもある。
12号 眉山
徳島駅からも近い「阿波踊り会館」前にあるヘンロ小屋。デザインモチーフはもちろん阿波踊りの笠。
52号 日和佐海賊舟
![52号 日和佐海賊舟](https://www.bepal.net/wp-content/uploads/2024/06/19102330686672422aeedf42_29447113.png)
背後に巨大な海賊船も!
海賊船型の「ドライブイン海賊舟」の敷地内にある舟形のヘンロ小屋。簡易トイレも併設されている。
1号 香峰
最大級の規模を誇るヘンロ小屋。中にはなんと囲炉裏があり、超絶綺麗な洋式トイレまで完備している。
45号 空海庵・切幡
![45号 空海庵・切幡](https://www.bepal.net/wp-content/uploads/2024/06/844490998667245380a14e8_89191067.png)
ソーラー発電の照明もあるよ。
高床式で風通しのよい小屋。記念植樹されたブルーベリー、キンカン、スダチもすくすく育っている。
歩き遍路&キャンプでのんびり0円旅
お遍路にも電車やバス、クルマでまわったりと、さまざまなスタイルがあるが、アウトドア好きなら、やっぱ歩きでしょう!(交通費0だし)。ただし、ヘンロ小屋は宿泊NGなので、今回は無料のキャンプ場である「前川キャンプ場」を組み合わせてみた。アウトドア感も満喫できるし、コストカットもできる。四国には他にも無料キャンプ場多数。
![お遍路](https://www.bepal.net/wp-content/uploads/2024/06/1021176067667245380f6670_55965833.png)
もりもり徳を積みます。
最初の難所である藤井寺から焼山寺への登り。
休憩ポイントは無料のヘンロ小屋を利用。
季節を変えて何度も訪れたくなる風景の数々。
![お遍路](https://www.bepal.net/wp-content/uploads/2024/06/7870621886672453820f376_75506430.png)
次はどのエリア 歩こうかな。
渓谷沿いの美しい風景が望めるキャンプ場。タダで良いんですか!?
※構成/櫻井 卓 撮影/小倉雄一郎
(BE-PAL 2024年7月号より)