1番礼所を午前中から歩き始めて、順に歩き続けると日暮れ前に到着するのが6番礼所の安楽寺。一日で6か所も歩いてまわれる場所は、88か所中このエリアだけかもしれない。1番礼所から6番は礼所は、初めてお遍路するには達成感のあるコースだ。安楽寺には宿坊があり、お遍路初日に宿坊のご飯と温泉に浸かれるのはありがたい。といっても、自転車操業で日々生活している私は寝袋でまわろうと企んでいた。しかし、極寒で真っ暗な吹きさらしの場所で眠れるほど、逞しくはなかった……。

煩悩⑥
ひとと繋がりたい
集団行動は苦手なのだが、あまりにもひとりだと孤独だ。とくに身の危険を感じる場所でひとりだと、どうしようもなく怖い。弱いからこそ、寄り添って生きる。当たり前のように、家族や学校、会社など他人とともに行動してきたのは、身を守るためだったのだろう。お遍路中は基本的にはひとりだ。ひとりで黙々と歩く。お遍路さん同士、初対面なのにヘンに強い仲間意識があり、出会った瞬間からなぜか仲良くなれることがある。ひとりきりで歩いてきた寂しさやしんどさを共有できるからだろう。ひとりではしんどいことも、誰かと共有するとすっと楽になる。
☆プロフィール☆
フォトグラファー。ハンで押したような日常生活が苦手で、常に変化を求めている。安住の地はいずこ……。
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