運動不足解消のために登山隊を結成!
東野登山隊とは、東野幸治さんが後輩芸人の天津・木村卓寛さん、知り合いのディレクター・椎葉宏治さんと2016年に結成した登山チームである。
きっかけは、運動不足解消を目的に、登山経験者の木村さんをリーダーに富士山に行ったものの、あえなく6合目で敗退したこと。せっかく揃えた登山道具がもったいないから…と、東京の裏高尾縦走や神奈川の鍋割山・塔ノ岳、山梨の三ツ峠山、長野の八ヶ岳(天狗岳、北横岳)などに足を運ぶようになっていったのだという。
そして『東野登山隊』として番組は2019年にスタートする。品川庄司・庄司智春さんをメンバーに加え、その後毎シーズン”ガチ登山”を続けている。
「正直、岩手山を舐めていました…」
――今回、岩手山を選んだ理由は?
東野:天津木村君が岩手に移住したこともあり、「岩手の山、登ってへんな」ということで岩手山にしました。岩手山は富士山みたいな感じの山で、簡単やと思ってたんです。ところが、めちゃくちゃきつくて、下山後1週間ぐらい足が痛くて、ずーっとひきずっていました。今までで一番酷かったかもしれません。
庄司:全員が岩手山を舐めていましたね。僕らだけじゃなく、スタッフさんも皆舐めていました。岩手山でしょ、大丈夫大丈夫。エンジョイしましょって感じで。でも、本当にきつかったです。
――剱と比べても岩手山のほうがきつかった?
東野:剱はやっぱり心の準備もあるし、きついのが当然やと思うけど、岩手山は「え?」という感じでした。いままでいろいろな山に登って成功体験がたくさんあるから大丈夫だろうと思っていたし、剱に登ったからもう一丁前のつもりになっていました。
庄司:2合目までが長くて…。2合目にようやく着いても「こんなに歩いたのに、まだ2合目なんだ」という気持ちでメンタルを削られましたね。
東野:途中ほんまにつらかった。体力的にも準備万端じゃなかった。ちょっと舐めていたから、しばらく低山にも行っていなくて筋力も落ちているから、めちゃくちゃつらくて。定期的に山に行かないと体力は衰えていくんやなと痛感しました。
「番組になる前からプライベートで登っています」
――東野登山隊は”ガチ登山”をうたっています。
東野:登山をテレビ番組にするとき、タレントが体力的にきついとなると、スタッフやガイドさんが荷物を持ってくれるんです。ザックを背負っていても中身はスカスカだったりして。でも、僕らは自分の荷物は自分で背負っています。
庄司:初めて参加したとき「みんな、そんなにちゃんと持っているんですか」とびっくりしたんですよ。僕は登山経験はほぼなかったんですが、番組で何回か山に登ったことがありました。そのときは、”芸能人登山”だったので、歩荷(ぼっか)さんがいて自分は身ひとつでガーっと登る感じのロケでした。
だから、東野登山隊では、「自分の荷物を自分で背負うってマジっすか!?」と最初思ったんですけど、東野さんがそうだったんで文句は言えませんでした(笑)。
東野:もともと番組の前にプライベートで登山してたから、それが普通、ガチなんです。ただ「無理はしない、無理はさせない」というルールもあるんですよ。
「一刻も早くしんどいこの場から立ち去りたいと思って登っています」
――山の中での東野さんはどういう人ですか?
庄司:気付いたら休憩なしでガンガン行っちゃう。とにかく歩くのが速いんです。
東野:しんどいのが嫌で、つらいのを早く終わらせたいと思うタイプなんですよ。だからスピードが上がっていく。「一刻も早くこの場から立ち去りたい」と思いながら登っています(笑)。
庄司:それと、東野さんは一番アグレッシブで、岩場とか鎖場とかアドベンチャー系が好きなんです。
東野:普通に登っているときつくなってくるじゃないですか。でもアドベンチャーが入ると疲れが和らぐ。危ないと、そっち側に意識がいくから。
――山の中での庄司さんは?
東野:体育会系だから力強い。きついところで、「もうちょい!」とか声もよく出ますしね。登山に向いてんやろうなと思う。庄司、おまえ山好きやろ?
庄司:好きです!景色を見て自然に涙が出てきたことがあって、そんなの初めてでした。新型コロナに罹った後、体力的に不安を抱えながら行った山で、しんどいゾーンを越えた後に見た景色に涙があふれてきたんです。
「下山してビールを飲んでいると次の山に行きたくなるんです」
――あらためて…なぜ山に登るのでしょうか? 山登りの魅力を教えてください。
東野:僕にとって最大の魅力は達成感。頂上に着いたときに、下から見上げたあのてっぺんに今立ってんねんな、ていうので大満足なんです。
そしたら、とっとと下りて、下でビール飲みながら焼肉とか食べたい。ビール飲みながら、あそこ登ってんなとなるのがまた気持ちいいし、次の山に行きたい気持ちが湧いてきます。
庄司:ロケが全部終わって車で移動しているときも、車窓から山を見上げて、「あー、あれ登ったんだよな」と皆で話したりして。ちょっと誇りに思えますもんね。
――次に登りたい山はどこですか?
東野:絶対にいつか行きたいのは、西穂からジャンダルム、奥穂高。
庄司:やっぱ東野さんはアグレッシブだよなあ。
東野:真面目な話をすると、日本中にいろんな山があるので、これからの人生の後半の趣味としてはめちゃくちゃいい趣味に出会えたなと。健康にもなるし、なおかつ土地の美味しいものも食べられる。贅沢な趣味だなと思ってやってます。
険しい山じゃなくても、低くて緩やかな山も楽しいです。ビーパルさんもぜひハイクの特集とかやってください。
――6月号で『100ラク低山ハイク』特集やりました。
東野:まじですか! さすがビーパルさんや。
『PEAK HUNT 東野登山隊』シーズン10概要
PEAK HUNT 東野登山隊 シーズン10~残雪期 岩手山編~
【出演】
東野幸治 / 庄司智春(品川庄司)/ 木村卓寛(天津)
【配信日】
1話:6/28(金)13:00/2話:7/5(金)13:00/3話:7/12(金)13:00/4話:7/19(金)13:00/5話:7/26(金)13:00
準備編①:8/2(金) 13:00/準備編②:8/9(金) 13:00
【配信プラットフォーム】
Amazon Prime Videoチャンネル「大阪チャンネルセレクト」
【東野登山隊これまでの足跡】
シーズン1(2019年):龍王岳(2,872m 北アルプス立山)
シーズン2(2019年):厳冬期の赤岳を大同心稜から(2,899m 八ヶ岳)
シーズン3(2019年):妙義山(1,103m 上信)
シーズン4(2020年):八海山(1,778m 越後)
巻機山で沢登り(1,967m 越後)
シーズン5(2020年):厳冬期の八甲田山(1,585m 青森)
厳冬期の天狗岳(2,640m 八ヶ岳)
シーズン6(2021年):北アルプス鹿島槍ヶ岳(2,889m)・五竜岳(2,814m)縦走
シーズン7(2021年)、8(2022年)、9(2023年):剱岳(2,999m 北アルプス)
取材・文/鍋田吉郎 人物撮影/黒石あみ