明治19年に築造、往時の雰囲気を今に伝える江戸川区の富士塚【プロハイカー斉藤正史のTOKYO山頂ガイド File.67】
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    2024.07.23

    明治19年に築造、往時の雰囲気を今に伝える江戸川区の富士塚【プロハイカー斉藤正史のTOKYO山頂ガイド File.67】

    明治19年に築造、往時の雰囲気を今に伝える江戸川区の富士塚【プロハイカー斉藤正史のTOKYO山頂ガイド File.67】
    東京23区内、特に山手線の内側はビル街や飲食店街、住宅街ばかり。そう思っている人が多いかもしれません。でも、目を凝らせば東京都心にも「山」はあります。そんな東京の山の世界を、日本で唯一のプロハイカーである斉藤正史さんが案内します。

    FILE.67は、江戸川区にある 上鎌田富士塚です。

    第67座目「上鎌田富士塚

    都営新宿線瑞江駅北口登山口からの出発

    今回めざすのは、上鎌田の富士塚です。前回に続き、再び東京メトロ新宿線瑞江駅南口登山口からのスタートです。

    駅前のロータリーを出て、前回のFILE66で通った東京都水道局 西瑞江給水所と反対方向に進んでいきます。こちらもルートもあれこれ考えず、最短に近いルートで歩く事にしました。やはり住宅街に一歩入ってしまうネタ無しルートだけはどうしても避けたいという思いもあります。

    都営新宿線瑞江駅南口登山口。

    「ちょっとより道」したいけど…?

    千葉銀行みずえ支店を曲がって進みます。ちょっとお店がある様子でホッとします。まだお昼前ですので、シャッターのしまっているお店もあるようでした。そこで発見したのが居酒屋らしき「ちょっとより道」でした。

    シャッターが閉まっているのでどんな雰囲気か分かりませんでしたが、動画の撮り直しで夕方に通って見たのですが、シャッターの奥からは電気が漏れていたので営業してそうです。気になりググるのですが、なにも情報が出てきません。出てこないと更に気になります。情報お持ちの方はぜひご連絡ください。

    「ちょっとより道」。ググっても情報が出ないので余計に気になります。

    恐竜と出会い、ヘビの公園へ!?

    通りをそのまま進んでいくと、ファーストシーンドリーム瑞江教室(児童発達支援・放課後等デイサービス)が見えてきたのですが、なんと入り口には石で出来た大きな恐竜が!?結構リアルでびっくりします。FILE63で紹介したカバも大きくてびっくりしましたが、この江戸川エリアには動物のオブジェが多いのでしょうか。探して歩くのもちょっと面白いかもしれません。

    結構リアルで大きい恐竜。ティラノサウルスですかね?

    恐竜を過ぎると直ぐ、なんと今度はヘビです。下鎌田へび土手公園は、たくさんの花が飾ってあり、綺麗でコンパクトな公園です。しばし、ベンチに座り休憩。あれ、へび公園だからヘビが出るのか?!とおもいきや、昔この地域にヘビのように曲がりくねった土手があったことから名づけられたそうです。ちょっとホッとします。ただ、上鎌田富士を目指すのに、下鎌田へび土手公園にいるとは、この方向で合っているのか不安になりますね。

    コンパクトでお花が綺麗な公園です。

    下鎌田へび土手公園手前を曲がり、恐怖の住宅街に差し掛かると、喫茶 HIDE OUTというお店が見えてきました。住宅街とは思えないオシャレなお店です。残念ながらイベント出店でお店はCLOSEしていました。

    しかし、調べるとやはりオシャレでした。気になったのはパングラタン。なんとパンにナイフを入れると中からグラタンが…。これは日を改めてぜひ行きたい!

    残念ながらCLOSE…。

    のどかな畑や緑道のある風景

    住宅街を進んでいくと、今度は畑のある風景が現れてきました。国土交通省で生産緑地制度をおこなっているそうです。市街化区域内の農地で、良好な生活環境の確保に効用があり、公共施設等の敷地として適している500平方メートル以上の農地を都市計画に定め、建築行為等を許可制にし規制し、都市農地の計画的な保全を図る目的で制度化しているそうです。

    なるほど、それで江戸川区周辺には畑が多くあるのですね。こんな制度があるとは知りませんでした。

    この辺りまで来ると畑が多くあります。

    畑のエリアを過ぎると、涼しげな堰のある公園が見えてきました。東井堀親水緑道だそうです。

    井堀とは用水路のことだそうで、当時の江戸川区の村々では笹ヶ崎・上篠崎・下篠崎・上鎌田・下鎌田・一之江新田・谷河内・新堀・鹿骨・松本・興之宮・上一色の村が利用していたと言われています。

    用水路としての役目を終えた東井堀は、ほとんどが道路になりましたが、京葉道路から江戸川一丁目までの区間を親水緑道として整備したのだそうです。江戸川区はこうした親水緑道が多く、とても素敵ですね!

    やはり水辺っていいですね。

    東井堀親水緑道沿いに今回の目的地、上鎌田富士のある天祖神社がありました。

    天祖神社

    天祖神社は伊勢神宮の天照大神を主神として祀る神社で、江戸時代までは一般的に神明社(しんめいしゃ)と呼ばれていたそうです。「神明」とは、「神」と同じ意味だそうで平安中期から鎌倉時代にかけて「天照大神」を指しているそうです。天照大神を天祖とする1870年の大教(だいきょう)宣布によって、東京府が府域内の神明社を「天祖神社」に名を改めさせたことから、東京都23区内では、芝大神宮を除いて天祖神社としたそうです。そんなこともあり、江戸川区には16もの天祖神社があるそうです。

    香取神社と並び、天祖神社もこれから多く登場するかもしれませんね。

    立派な天祖神社。

    上鎌田の富士塚

    上鎌田の富士塚は1886年に、旧上鎌田村の丸星講の人々が築造しました。塚の高さは、約1.5メートルで、面積は広く、円墳に近い形をしています。頂上には、「浅間神社」の石祠がまつられています。今までの富士塚のイメージとは少し違い、シンプルな構造になっています。こうしてシンプルにすることで負担なく次の世代に引き継ぐ事が出来る1つの例なのかもしれませんね。

    山頂に浅間神社の石祠がまつられている上鎌田富士。

    今回歩いたルート上に、際立った何かがあるわけではありません。でも、アンテナを張り巡らせてじっくり歩くと、あれこれと気になって興味がかき立てられます。結果的に、今回も思ったよりぐっと中身の濃い山行となりました。

    次回は、江戸川区の篠崎浅間神社の富士塚です。

     ※今回紹介したルートを登った(歩いた)様子は、動画でもご覧いただけます。

    私が書きました!
    プロハイカー
    斉藤正史
    2012年より日本で唯一のプロハイカーとして活動。トレイルカルチャー普及のため、海外のトレイルを歩き、アウトドア媒体を中心に寄稿する傍ら、地元山形にトレイルのコースを作る活動「山形ロングトレイル(YLT)」を行なう。スルーハイク(単年で一気にルートを歩く方法)にこだわり、スルーハイクしたトレイルだけで22.000km(地球半周以上)を超える。最新情報はブログを。

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