テントの設営・撤収が不要でタイパがいいと話題の車中泊旅。
キャンピングカーのような炊事・水道設備がなくても、寝ることに特化した車中泊カーがあれば地面のデコボコを気にせずぐっすり眠れる。キャンプ場やRVパークを転々とする旅だけでなく、どこでもプライベート空間を得られるため防災的な視点からも注目されるスタイルだ。
近年は大容量のポータブル電源が手頃な値段になったこともあり、コーヒーを淹れたりレトルト食品をあたためたり、1日の大半を車内ですごすことも無理な話ではなくなった。
ただ、ここで気になるのが生活臭。
簡単な調理でも湿気とともに匂いが広がるし、就寝時にかいた汗で知らず知らずのうちに匂いがこもってしまうのだから。しかも一度染みついた生活臭は、消臭剤では手に負えないことも。
車内に生活臭が染みこむ前にできるだけ換気するしかないのだが、いくら整備されたキャンプ場であってもクルマのドア全開で眠ったり遊びに行ったりするのはちょっとためらってしまう。
ドアをロックしつつ車内の換気ができるものがあれば…そんな願いを叶えてくれるのがミグラトレイル「バックドアフック」だ。
ミグラトレイルはオートバイのパーツ開発で知られるダートフリークが、アウトドアアクティビティをサポートするために作ったブランドで2022年にスタート。バイク好きキャンパーの目線で、ありそうでなかったキャンプギアや車中泊ギアをリリースしている。
「バックドアフック」(4620円)もそのひとつ。
「バックドアフック」はバックドアを完全に閉じることなく、隙間を設けたままドアロックができるという小技の効いたフック。
アクティビティ参加や入浴などで無人になるキャンプサイトでも、少しだけ開けた窓とバックドアの隙間から換気ができる。夏キャンプではわずかではあるが熱気を低減できるのもありがたい。
もっともドアロックが効いているとはいえ、隙間があるので盗難対策は100%安全とは言えないが、入・退場者が限られているキャンプ場であればなかなか使える。
手持ちのメッシュカーテンと併用すれば、虫や視線を気にすることなく車内に風を通せるのもいい。
使い方は単純だ。
ドアストライカーに「バックドアフック」を引っかけ、真鍮のストッパーナットをひねって好みの長さ(全長180〜210mm)に固定する。
210mm以上にも伸ばせるが、ネジのかかりが少なくなるので壊れやすくなる。厳守しよう。
ちなみにフック側本体に刻まれたネジ山は細かく、伸ばすにはおもいのほか多くストッパーナットを回さなければならない。ちょっと大変だが、いいかえればかなり繊細に調整できるということ。
あとはバックドアのラッチに接続するのみ。
コツと言えば、「バックドアフック」のフックとドアストライカーが同じ向きになるように調整することだけだ。
車体側のドアストライカーを外側に伸ばすイメージだから、一部車両をのぞきバックドアのロックが効く。
ハイエースやキャラバン、デリカD:5、カングーなど車中泊に人気の車種に幅広く対応していて、クルマを買い替えても使える可能性は高い。
使用時の注意点は3つ
試しに「バックドアフック」で換気しながら1泊2日のキャンプを行った。木陰のないキャンプサイトでは日中、まだまだ気温が高くて車内の温度は上がりがちだが、窓を網戸にして全開+バックドアを少しだけ開いておけばかなりいい感じ。
また、朝夕は涼しくても空気の流れがないとムシっとする。日が落ちてから寝る直前まで、バックドア+窓を数センチ開けておくことで通常よりは匂いや湿気を抑えられたようだ。
注意すべき点は3つ。
ひとつは「バックドアフック」を使って隙間を作っているときはエンジンを停止すること。排気ガスが車内に入りかねないためだ。
また、あまりに風が強く、バックドアが動いてしまうようなときも使用不可。
そしてもうひとつ。いくらLEDで消費電力が少なくなったとはいえ、長時間ルームランプやラゲッジルームランプが点灯しっぱなしではバッテリーあがりが心配だ。とくに昼間はわかりづらいので消灯していることを確認しておきたい。
バックドアを跳ね上げたときにも活躍
バックドアに隙間を設ける道具はほかにもあるが、「バックドアフック」は隙間を作るため“だけ“のモノではないのがミソ。使わないときはドア側に吊り下げてハンガーとしても使えるのだから。
LEDランタンを吊り下げたり、2Lほどの重力落下タイプ浄水器を吊り下げたりするのに都合がいいし、釣りやサーフィンの後、ウェットスーツやウェーダーを干すなんてことに使える。
夏であれば扇風機を吊して風を送るなんてことにも役立つ。使用シーンは幅広い。
小さいけれど、車中泊キャンプの悩みを楽しく解決する名脇役だ。
【問】ミグラトレイル https://migratrail.jp