四国でのワンダフルエクスペリエンス
気が遠くなるほど蒸し暑い日々が続いておりますが、皆様におかれましてはいかがお過ごしでしょうか。
僕はといえば朝から田んぼの草刈りを終えて、自宅に帰ってはいつものように律儀にコーヒーを淹れ、そしてまたいつものような質素かつ豊かな朝食を摂る前に、蒸し暑さを逆撫でするが如きジョンレノンのソロアルバム「ジョンの魂」のレコード盤に針を落としたところであります、はい。
6月の話になりますが、今年もまた四国の旅に行ってまいりましたのでね、そのご報告をさせていただきます。
今回は特に徳島は海陽町(かいようちょう)エリアでの出来事を、その並々ならぬエクスペリエンスについてお話しようかと思います。
海沿いに佇むカフェ「テイクサンド」
海陽町の宍喰(ししくい)というエリアには、大切な友人が何人か暮らしています。
そのうちの一人、生粋のサーファーであり、徳島のカルチャーシーンにおいてはその名前を知らないものはいないという程にさまざまな場面で活躍している永原レキくんは、15年以上の付き合いになりますが、今回も彼が色々と案内してくれました。
ここ数年海陽町でのライブ会場となっているのは、宍喰のサーフポイントのすぐ脇に佇むカフェ、「テイクサンド」というお店です。こちらもまたレキくんからの紹介で繋がったところです。
たまにいらっしゃいますよね、人と人とを繋ぐことがまるで天から授かったお役目かのように、見返りなど求めることなく自然に出来ちゃう人。彼はまさにそんな人物で、とても尊敬しています。
さてさて、そのテイクサンドで出されているメニューですが、小さな街にあって信じられないほど内容が洗練されていて充実しています。オーガニックの野菜や穀物を、厳選された無添加の調味料などでクッキングした数々のプレート。
ジビエや自然な環境で飼育されてた畜産物の料理や、ナチュールワインやクラフトビールなどなど。とことんこだわり抜かれたものばかりが提供されています。
そんなテイクサンドのオーナーであるチヒロくんに誘われて、ライブの前日僕らは海を離れて、「久尾(くお)」という山間のエリアに足を踏み入れることになりました。
イメージ一転! 山奥でのサウナ体験
このチヒロくん、かつては六本木でクラブを経営していたり、著名なミュージシャンが名を連ねるような音楽事務所で働いていたりという、かなりインタレスティングな経歴の持ち主。その履歴をすべてリセットして、思いっきり逆サイドに振り切ったかのように徳島に奥様と移住され、今では自然と一体となる暮らしを極める道を思うままに邁進されているのです。
僕もね、久しぶりに刺激的な出会いといいますか、友人レキくんからの素晴らしいご縁をいただきましたのでね、チヒロくんのこのお誘いにこれ以上ない期待を寄せて四国入りしたのでした。
久尾の集落はまさしく過疎著しい限界集落。しかしながら清らかな水と豊かな大自然に抱かれた、なんとも言えない安心感を与えてくれる穏やかな場所でした。チヒロくんはここにキャンプインできて、心身ともにリフレッシュするためのコミュニティースペースを作ろうとしているのです。まだ開発の途中で試運転の段階のようですが、この日はそれがオープンした時のイメージを共有する一日と設定して、僕らとそのほか数名の縁のある人々が集まったのでした。
ここで体験した最も印象的なワークは「ある特別なサウナ」。「トトノウ」という奇妙なワードが各地各方面に浸透して、老若男女問わず一大ブームとなって久しいサウナですが、僕はその波には全く乗れていませんでした。
と言いますのも、とにかく苦手なんです、サウナというやつが。なんと言いますかこう息苦しいし、もともと暑苦しいのいやだし、ビッショビショに汗かいてフーフー言ってるおじさん(僕も十分におじさんの領域ですが)のそばで見たくもないテレビ番組見させられながら我慢比べの様相を呈する、スーパー銭湯に常設されているようなサウナとか、スッゲーやなんです。
ところがこの久尾の山奥で体験させてもらったサウナは、僕のサウナに対する、ある種無知から生じるくたびれた先入観を思いっきり蹴り飛ばしてくれたのです、はい。正統派サウナーの皆様、僕が間違っていました。
まさかの“5ラウンド”体験
この日用意されたサウナの環境とそれに属するマテリアルは、それはそれは素晴らしいものでした。チヒロくんの山のご自宅の敷地内、清流のほとりに設置されたロシア製と思われるテント式サウナは、薪によって温められていました。
ストーブの上部にはサウナストーンが組まれており、ロウリュの準備が整えられています。僕もレキくんと一緒にサーフトランクスに着替えて中に入りますとね、なんとも言えない柔らかい直火の温かさが体を包んでくれました。
そして今回チヒロくんがみんなに経験して欲しかったのは、彼が考案した「発酵サウナ」というもので、ロウリュに使用する水がただの水ではなく、微生物が家庭から出る老廃物を分解したときに生まれる、「発酵水」を使用したものなのだそうです。
僕がその有効性の科学的な根拠を示すことはこの場において不可能なのですが、そう聞かされて入ったサウナは、なんだかやけにありがたいし、体にもめちゃくちゃいいような気がする、うん。何事もポジティブな思い込みに勝るものはありませんゆえ。
言うなれば味噌の、あるいは納豆の効能を、サウナというシュチュエーションの中で粒子レベルで全身で受け止めているかのようなね、そんな思い込みと解釈であります、うんまさに。
それからなんと、サウナのローテーションとして不可欠と思われる水風呂についてですが、発酵サウナはその環境からして当然の如く天然の川だったのです。敷地のほど近くを流れる川は上流も上流で、チヒロくんの家から上に民家は見当たりません。アフターサウナに水風呂ならぬ川風呂、これが実に良かった、僕にとってね。
一般的なサウナの後の、あの強制終了を余儀なくされるような硬い印象の水風呂がまた苦手だったのですが、それは大自然がもたらしてくれる清らかな川に取って代われば話は別です。むしろ入りたい!
あの川に入りたいからこそサウナやりたい、しかもそのサウナの熱波は発酵水!こうしてまさかの自分史上初、サウナおかわり5ラウンドを展開したのであります。
ロングドライブの直後でしたのでね、自分自身かなり疲れていたはずなのですが、かつて六本木の夜を演出していた男が現代に繰り出す、自然の恵みを最大限に活かした特製サウナで、気力体力を完全に復活させられました。
川から上がって、程よくクールダウンした体をタオルで吹きながら、夕暮れ時の四国山脈の山々に目をやると、まるで遠くの木々の葉っぱの一枚一枚の輪郭すら見えるような気がします。そう、もしかしたら疲れが除去されて、視力までも回復したのかもしれません。すごいね、サウナって。
再会に刺激を受け、憧れのサーフポイントへ
さてさてそれから翌日、これまでに僕のサーフボードを何本も削ってくれたシェイパーであり、長年日本のサーフシーンを牽引してきた立役者の一人である、田中宗豊氏の仕事場に表敬訪問しました。
彼は近年、木を削って木製のサーフボード製作に力を入れています。この日はちょうど仕上がったばかりという、ある木製作品を見せて頂きました。それはサーフボードの形をした「器」だそうです。ほとんど芸術作品とも言えるアウトラインと雰囲気は、もうサーフボードシェイパーの領域を超えていましたね。久しぶりに彼の工房を訪れましたが、その進化っぷりと、あくなき探究心にかなり刺激を受けました、いやほんと。
それから僕とレキくんは海へと向かいました。サーファーであれば誰もが羨む徳島のある河口のサーフポイントをチェックするために。
なんとその日の波はね、大きすぎず小さすぎない、ある意味僕のようなビジターにとっては奇跡的に程よい波がもたらされていました。と言いますのも小さすぎるとサーフィンできないし、でかくていい波だとローカルのサーファーの方々だけに許されるべき状況です。それはマナーと言いますか暗黙の了解としてね。
この日はローカルサーファーの方々も、そのポイントで認められている人のナビゲーションで訪れたビジターであれば受け入れてくださるような、ちょうどそれにフィットする波が届いていたのです。
僕もね、一度はこのポイントでサーフィンしてみたかったのですよ、サーファーであるからには。そんな憧れのサーフポイントでサーフィンができました。短時間でしたが三本、リバーマウス特有の地形がもたらす完成されたライトのブレイクを堪能できたのです。ああレキくんありがとう。
彼は駐車場でも海の上でも、僕のことをみんなに紹介してくれてね、みなさん初めましてなのにも関わらず、笑顔で応えてくださって。おかげさまでサーフトリッパー冥利に尽きる、そんな時間を過ごすことができました。
このような調子で旅しましたから、ライブもどの会場も盛り上がりました。魅惑のアイランド四国の奥地にもやはり、素晴らしい人たちがそれぞれの暮らしを楽しんでいるのです。ぜひ皆さんも四国の海陽町に遊びに行ってみてくださいね。
今月のアウトドアにおすすめの一曲
Wallners 「in my mind」
サウナから飛び出して川面に浮かんでる時の浮遊感そのものですこの曲。
東田トモヒロNEWS
最新のLiveスケジュール
http://live.higashidatomohiro.
シンガーソングライター東田トモヒロとつくる、
月額制のサブスクリプションで、独自の配信ライブや、
https://community.camp-fire.